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『呼び出し先生タナカ』が『ジョブチューン』『プレバト』の類似企画続々のワケ

『呼び出し先生タナカ』が『ジョブチューン』『プレバト』の類似企画続々のワケの画像1
アンガールズの田中卓志

 アンガールズの田中卓志がMCを務める、フジテレビ系バラエティー番組『呼び出し先生タナカ』。2022年の番組開始当初、同じくフジテレビ系の人気番組『めちゃ×2イケてるッ!』の「抜き打ちテスト」と酷似していると指摘されていたが、それ以外の番組との類似性も囁かれている。

 1月22日の同番組では、「ガチンコすぎる職業体験!大人気店の裏側潜入SP」なる企画が放送された。普段は生徒として出演しているレギュラー陣が人気チェーン店に店員として潜入。職業体験を通して、そのサービスの裏側や人気の秘密を学ぶというものだ。

 えなこと横川尚隆が焼肉チェーン『焼肉きんぐ』で、ゆうちゃみが『MEGAドン・キホーテ』でそれぞれ店員を体験。そのVTRをレギュラー出演者がスタジオで見るという内容だった。

 この企画は昨年9月にも第1弾が放送されており、そこでは村重杏奈、やす子、横川尚隆がユニバーサル・スタジオ・ジャパンで職業体験をしている。

「この職業体験企画は、タレントたちの働きぶりを見つつ、人気店の裏側を探るという主旨。人気チェーンに関する豆知識や、知られざるマニュアルなどが明かされていきます。見せ方こそ違いますが、やっている内容はTBS系の『ジョブチューン』や『坂上&指原のつぶれない店』とほぼ同じ。その点について“パクリなのではないか”という声があるのは事実です」(テレビ局関係者)

 昨年11月には「芸術の秋・水彩画テストSP」と銘打ち、絵に自信があるタレントが生徒として登場し、テーマに沿った水彩画を描く実技試験と美術に関する知識を問う筆記試験を実施した。この企画についても、TBS系の人気番組『プレバト!!』との類似性が指摘されている。

「芸能人が絵を描き、それを専門家が評価して順位を発表するという内容は、完全に『プレバト』そのもの。学校の授業や試験がテーマとなった番組で美術を扱うと、あのような形になるのは仕方ない部分もあると思うものの、それでも見せ方も含めて『プレバト』そのまま。ある意味、開き直りといえるくらいにそっくりな企画でした」(同)

 また、『呼び出し先生タナカ』では、“体育SP”や“体育祭”として生徒たちによる運動会企画も放送している。とある構成作家はこう話す。

「体育関連の企画は、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)のスポーツテストに似ています。芸能人が運動会やスポーツテストをするような企画はよくあるので、すぐさま“パクリ”と言ってしまうのはどうかと思いますが、カブっているのは間違いないし、『呼び出し先生タナカ』独自の要素も少ない。良く言えば“人気の定番企画を上手く引用している”という感じですかね」

 さらに、かつて数多くの“おバカタレント”を輩出したフジテレビ系『クイズ!ヘキサゴンII』との共通点もある。『呼び出し先生タナカ』では、『ヘキサゴン』の“羞恥心”や“Pabo”のように、番組内ユニット“小中大”“東京湾岸がーるず”が結成されている。それぞれ楽曲を配信しているほか、東京湾岸がーるずは昨年11月に写真集も発売された。

「そもそも“小中大”は、羞恥心のメンバーであるつるの剛士が、『呼び出し先生タナカ』に出演した際に提案して結成されたもの。パクリではなく、オマージュということですね。『ヘキサゴン』のように大ブームにはなっていませんが、企画の幅を持たせるには、有効な手段でしょう。当時の『ヘキサゴン』を懐かしむ視聴者もいるでしょうしね」(前出・構成作家)

『めちゃイケ』だけでなく、さまざまな人気番組から“いいとこ取り”をしている『呼び出し先生タナカ』。こういった番組作りは、もはや常識になりつつあるとの見方もある。

「バラエティー番組における人気企画は、ある程度やり尽くされていて、すでにフォーマット化されている。学力テストやスポーツテストをやるなら『めちゃイケ』や『ロンハー』のスタイルが王道だし、似たようなことをやれば外す可能性も低い。美術の企画も『プレバト!!』のフォーマット以上のものはなかなか出ないし、職業にスポットを当てた企画なら『ジョブチューン』の要素を入れるのが確実。さまざまなジャンルで“ウケるフォーマット”が固まっている。

 制作サイドとしては、もちろん完全なるオリジナルな企画を打ち出せればいいんですが、それをやるには時間もかかるし、大コケするリスクも大きい。そんな大博打に出るよりは、ウケるフォーマットを上手く取り入れる方法を模索したほうがいい、という判断になることも珍しくないわけです。

『呼び出し先生タナカ』の場合、少々露骨なようにも見えますが、元ネタとなっている番組へのリスペクトも感じさせつつ、上手く作っているほうですよ。とはいえ、どうせいいとこ取りをするならば、もうちょっと話題になったり、視聴率を稼いだりしてもいいかなと思います」(同)

 番組制作の予算が減り、スポンサーの力が強くなっているなか、制作サイドがリスクを負って、斬新な企画を押し通すことも難しくなっている。『呼び出し先生タナカ』は、まさにそんなテレビ界の現状を象徴する番組なのかもしれない。

浜松貴憲(ライター)

1980年生まれ、東京都出身。大学卒業後、出版社に入社。その後、いくつかの出版社を渡り歩いた末に、現在はフリーライターとして、テレビ番組、お笑い、YouTubeなど、エンターテインメント全般について執筆している。

はままつたかのり

最終更新:2024/02/05 09:00
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