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オフ恒例のプロ野球選手ひな壇トーク番組の“地雷”と笑いと引き換える“大きなリスク”

オフ恒例のプロ野球選手ひな壇トーク番組の地雷と笑いと引き換える大きなリスクの画像1
大谷翔平(写真/Getty Imagesより)

 プロ野球はシーズンオフを終えキャプに突入するが、オフの楽しみといえば選手たちのテレビ出演。普段は見られない表情が拝めるのはうれしい限りだが、今年のオフは特に追い風だったという。

「昨年はWBCが盛大に盛り上がり、その勢いのまま大谷翔平がメジャーリーグのホームラン王やMVPを獲得。日本では阪神が38年ぶりに日本一になって、こちらも大騒ぎでしたし、シーズン後には大谷が巨額契約を結ぶなど、野球の話題が尽きない1年でした。ロッテ・佐々木朗希の“ギリギリ”の契約更改もありましたが、他に明るい話題が少なかったこともあり、年末年始は野球関連の番組だらけ。ただ、大谷がロングインタビューに答えた『NHKスペシャル』や、大みそかにTBSで放送されたWBC特番はいずれも比較的好視聴率をマーク。ラグビーW杯やバスケットボールW杯もそれなりに盛り上がりましたが、スポーツバラエティ番組は野球の独り勝ちですね」(民放バラエティ番組制作関係者)

 ただ、露出が増えれば“ボロ”が出ることもある。1月20日には『ジョブチューン』(TBS系)、1月21日には『ジャンクSPORTS』(フジテレビ系)が、立て続けにプロ野球特集を放送。各球団のスター選手がひな壇トークに登場し、スタジオは笑いに包まれたが、その内容は見る人が見ればヒヤヒヤものだった。

「バラエティ番組に出演するのは、基本的に目立ちたがりの選手ばかり。ぶっちゃけトークを披露すれば、番組関係者や視聴者は喜びますが、相応のリスクはあります。例えば今回の『ジャンクSPORTS』では、施設や待遇に関する不満をぶっちゃける場面がありましたが、あれは組織批判以外の何物でもない。試合中にもらえる景品を面白おかしくイジったのも非常に良くありません。スポンサーの機嫌を損ねるのは絶対にご法度ですから。

 また、選手の容姿を笑いのネタにする場面も見られましたが、あれは絶対にカットするべきでした。プロ野球選手は人に見られることには慣れていますが、しゃべりに関しては所詮、素人。コンプライアンス的なことについて無知な選手も多く、一歩間違えば大炎上しかねないので、番組側も強い配慮が必要だったと思います」(キー局関係者)

 それでも、球団や先輩からお小言を頂戴するぐらいならまだマシ。調子に乗って披露した裏話が、トラブルのタネになる可能性さえある。

「プロ野球選手のトーク番組では、お金の話は鉄板。“1晩にいくら使った”だの“高級車を次々と買い替えた”という話は確かに面白いですが、最近しばしば耳にする後輩や同僚へのプレゼントの話は要注意です。球界では、先輩が頑張った後輩に高額なプレゼントを渡す風習がありますが、数百万円の腕時計ともなると、贈与税が発生する可能性があります。もちろんきちんと申告していると思いますが、テレビ番組がきっかけで露見すれば、“知らなかった”では済みません。

 引退して評論家になったOBともなると、あらゆる方面に気を遣って話すのが当たり前です。発言が同業者から不興を買えば、すぐに噂が回って干されますし、逆にちょっとしたきっかけで仕事が飛び込んでくることもある。

 先輩を持ち上げることでコーチの声が掛かるかもしれない。古巣との繋がりをアピールすることでイベントに呼ばれる場合もある。あらゆるケースを想定し、誰もが傷つかずに笑えるネタを提供できなければ、食べていくことはできないと知っているからです。

 ちなみに今回の『ジョブチューン』や『ジャンクSPORTS』では所属チームの監督を面白おかしくイジる場面も見られましたが、監督やコーチは間違いなく番組をチェックしているので、お目玉を喰らう選手もいるでしょう。かつてほどではないとはいえ、プロ野球界は今も厳然とした縦型社会。笑い欲しさに先輩や上司をイジっても良いことなど1つもありません」(ベテラン野球記者)

 スター選手といえども、テレビカメラの前では舞い上がってしまうよう。周囲の人を喜ばせるサービス精神も大事だが、トークよりも本業で目立つことを目指した方が良さそうだ。

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2024/02/01 09:00
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