『IPPONグランプリ』チェアマンにバカリズム 「大喜利の強さ」の裏側を語る
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来月3日に放送される『IPPONグランプリ』(フジテレビ系)のチェアマンを、バカリズムが代理で担当するという。今回で29回目となる同番組は、1990年代前半に放送されていた『ダウンタウン汁』(TBS系)の系譜を継ぐ「フリップ大喜利」に特化した番組だ。
テレビでのバラエティはもちろん、毎年のように単独ライブを開催しているバカリズム。17年度には『架空OL日記』(読売テレビ)で「向田邦子賞」を受賞し、昨年の『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)では日本国内のみならず、カンヌで開催された『MIPCOM2023』の『Content Innovation Awards』で受賞するなど脚本家としての活躍も目覚ましい。
そんなバカリズムだが、『IPPON』では無類の強さを発揮している。過去28回中27回に出場し、6回の優勝を誇る圧倒的な実力者であり、松本人志の代役としては申し分ない人選だろう。
なぜ、バカリズムはフリップ大喜利が強いのか。その秘密をバカリズム本人が紐解いている動画がある。
22年4月にYouTubeチャンネル「ナイツ塙会長の自由時間」に出演したバカリズムは、『こうすればZAZYは優勝だった…「フリップ」芸の極意【笑辞苑】』の中で、お見送り芸人しんいちとZAZYの一騎打ちとなったその年の『R-1グランプリ』(フジテレビ系)の審査について解説。特にZAZYのネタについての分析にはバカリズム独自の理論が盛り込まれており、極めて刺激的な内容だった。
その動画の後半で、『IPPON』に2度の出場経験がある塙宣之の「フリップの1番ウケるタイミングがいまだにわからない」という問いに対し、「俺もね、長い歴史の中でね、試してるの」と語り、長い文面のときは最後に出すのか、最初に出してから読み上げるのか、など、試行錯誤の経緯を明かしている。
この塙の動画がバカリズムの「大喜利論」の導入だとすれば、実践編と呼べるのが同年11月に「佐久間宣行のNOBROCK TV」で公開された「【名回答10選】バカリズム&佐久間Pが解説する大喜利名回答10選!『バカリズムの歴代大喜利をもう一度味わおう!』」という動画だ。
過去にバカリズムが『IPPON』や『ゴッドタン』(テレビ東京系)のコーナー「オオギリッシュNight」などで回答した大喜利回答を10個選び、本人が再現しながら解説するという企画である。
「おかん、マジシャンと不倫してるな。なぜわかった?」というお題に対する回答では、地味な発想が競技性大喜利の中で不利になることを解説し、数あるマジシャンの動作の中で何を選ぶかという話を広げ、「ステイホーム、ソーシャルディスタンスのように熟年離婚を言い換えてください」というお題では、自分が好きだったが評価されなかった答えが後に千原ジュニアに評価されたというエピソードや、それが評価されなかったがゆえに「瞬発力を上げた」という回答を披露した上で、「あんま好きじゃない答えだけど」と明かすなど、やはり競技性大喜利という大会の特性を解説している。
そのほかにも、長寿企画になった『IPPON』におけるお題の傾向の変遷や、回答を出す順番によって観客や審査員の目線をコントロールする手法など、バカリズムならではの「大喜利論」が語られている贅沢な動画となっている。
松ちゃんでさえ、ここまでは考えてないんじゃないか? と思わせるほどのバカリズムの分析力と言語化力。次回『IPPON』の前に見返してみると、本番の見え方が変わってみるかもしれない。
(文=新越谷ノリヲ)
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