オードリー・若林正恭『ANN』で初の「ジングル止めて」発言 その特異なフリートーク術
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来月18日に行われる番組イベント「オードリーのオールナイトニッポンin東京ドーム」には、4万5,000席に対して19万人の応募があったという。“落選祭り”となった現地参加に加えて、全国47都道府県の劇場で実施されるライブビューイングのチケットも入手困難だ。15周年を迎えた『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)は、自他ともに認める「お化け番組」となった。
そんな『オードリーANN』の6日深夜放送分で、珍しいシーンがあった。いつものように若林正恭のフリートークが終わり、ジングルが鳴ったときだった。
「ちょっと1回、ジングル止めて」
普通にオチがあって、ジングルが鳴る。それを若林が止めたことがあっただろうか? ジングルが鳴り始めた瞬間、すでに気持ちは春日俊彰の“トーク待ち”になっていたこともあって、妙な違和感を抱いた。
再び話し始めて数秒後、若林は思い出したように、こう言った。
「初めてジングル止めたわ」
やっぱりそうだ。正確に一度もなかったかどうか定かではないが、若林はジングルを止めない。毎回、ジングルとともにきれいにトークを落として春日にバトンタッチしている。今回はどうしても大切な手紙を紹介したいという思いから、ジングルを止めて再度話し始めたようだ。
ジングルのタイミングは、話し手がオチのタイミングでディレクターに合図を送っているものと思い込んでいた。たぶん、伊集院光がそうしていると話していたような、おぼろげな記憶もある。だが、そういえば若林は違ったのだ。あまりにも違和感なく毎回トークにオチがあってからジングルが鳴っていたために忘れていたが、合図を送っているなら、今週のようなことにはならない。自分で合図を送って、自分でジングルを中断させるわけがなかった。
若林のトークゾーンのジングルのタイミングについて、その特異性が明かされていたことがある。音声配信サービス「AuDee」でパンサー・向井慧がMCを担当していた『向井と裏方』という、ラジオスタッフをゲストに迎えて話を聞くというコンテンツに、石井玄という裏方がゲスト出演したときの話だ。
『オードリーANN』で2016年から20年までディレクターを務めていた石井は、実際に若林のトークゾーン終わりにジングルを打っていた立場である。その石井が、若林のトークについて、こんな話をしているのである。
「若林さんはメモ取ってるんですけど、流れで順番を変えたりしてるんですよ、自分の中で。だから、(ディレクターは)オチがまったくわからないんですよ」(石井)
「ほぅー。どこでジングル打つっていうのが?」(向井)
「若林さんってウケが悪かったり、こっちいったら面白いってなったら、そこを広げたりするんで、聞いてる方としては、これどこで(ジングル)打つの? みたいなことになる」(石井)
そんな若林に対し、石井は相談をしたことがあるのだという。「ジングルを打つタイミングがわからないときがある」。その答えが、今回の「1回ジングル止めて」という発言につがなるものだったのだ。
「いつでも打っていいって。超カッコいいんですけど、いつでも打ったらジングル内で落とすからって」
ANNのジングルの長さは約10秒。どんなタイミングであれ、ディレクター判断でジングルが鳴れば、若林はその10秒の間にフリオチを作って終わらせるというのだ。
現在、平日午前のワイド番組『パンサー向井の♯ふらっと』(TBSラジオ)をはじめ4本のラジオレギュラーを抱え、“令和のラジオ王”とも呼ばれ始めている向井も、これには「くぃーーーーーっ!」と、よくわからない奇声を上げるしかなかった。
当時、制作会社のスタッフだった石井はその後ニッポン放送に入社し、番組イベントなどを取り仕切る立場にある。現在、オードリーの東京ドームライブに向けて奔走していることも、若林の口からしばしば語られている。
ちなみに春日も間延びしたトークをジングルで強制的に切られることがあるが、その際には「……という話」で終わらせるというテクニックを持っていることは、リスナーによく知られている。
(文=新越谷ノリヲ)
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