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『伊東家の食卓』ほか“平成の人気番組”の復活と「炎上リスクが低い」というメリット

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写真/Getty Imagesより

 2023年の大みそかに放送された日本テレビ系『笑って年越し!THE 笑(ワラ)晦日』で1夜限りの復活となったのが、『伊東家の食卓』だ。1997年から10年にわたって放送された同番組は、まさに平成を代表する日テレの人気番組。昨今は、この『伊東家の食卓』のように、平成の人気番組の復活が増加している。

 2023年11月には、フジテレビ系クイズ番組『クイズ!年の差なんて』が、『坂上どうぶつ王国プレゼンツ!クイズ年の差だよねSP』として復活。同12月にはテレビ東京系『TVチャンピオン』も復活している。また、“復活”という形ではないが、ダウンタウンらが出演していたTBS系『リンカーン』の遺伝子を引き継ぐ『ジョンソン』は、同10月にスタートした。

 平成の人気番組が相次いで復活しているのは、どういった背景があるのだろうか。ある構成作家はこう話す。

「2022年くらいから、“平成レトロブーム”の流れがかなり強まっている。音楽番組でも平成のヒットソングを歌うものが多いですし、バラエティー番組でも同様にちょっと懐かしい企画が人気です」

 平成の人気番組の復活は、スポンサーを喜ばせるために“ありがたいもの”なのだという。

「最近はコア視聴率を重視すると言われていますが、コア層だけをターゲットにしたところで、実際に視聴率は上がらないのが現実です。結局地上波テレビは40代、50代以上がメインの視聴者層なので、そこをしっかり意識した内容でないと数字は取れない。平成の人気番組のリバイバルであれば、40代・50代以上にも懐かしいと思ってもらえるし、昨今の“平成レトロブーム”を意識しているということで、若い視聴者向けにもなっている。結果的にかなり幅広い視聴者層がターゲットになるという旨味があり、その点でスポンサーを納得させやすい。下手に若者を狙いすぎてコケるくらいなら、過去の人気番組を復活させたほうが確実なんですよ」(同)

 懐かしい番組の焼き直しであれば、新たな企画を考え出す必要もなく、制作スタッフとしても“手抜き”ができる。この点もまた、現場としてはかなり“ありがたい”ようだ。

「コンプラを考えると、尖った企画を考えるのは難しく、正直“できないこと”が多い。でも平成の人気番組の焼き直しなら多少攻めた内容でも“当時はこんな感じだった”という形で理解を得られる部分がある。逆に、ユルユルな内容であっても“当時はひどかった”で済まされる。制作サイドからすると“考える手間”が見事に省けるんですよね。昔のように番組の予算も多いわけではないし、スタッフの数も少ないなかだと、こういった作り方でないとやっていけない事情もある。そういう意味でも、平成の人気番組の復活は今の地上波に合った手法ですね」(同)

 ただし斬新な番組が次々と生まれていたかつてのテレビ界からすると、過去のレガシーに頼ってばかりの現在は、あまりにも寂しい状況だと言えそうだ。

「刺激的な内容だからといって、数字が取れるわけもなく、高く評価されるわけでもない。ただただネットで叩かれて終わってしまうことも多い。そういったリスクを負ってくれるスポンサーもいないし、テレビ局も基本的には波風を立てたくないというのが本音。さらに地上波の番組を観てネットに書き込むのは、40代以上の世代が多いと言われますが、その世代が懐かしむような内容は、“今の時代に合わない”という声がある一方で、必ず“当時は良かった”“今はこんなことできないからテレビがつまらなくなった”といった擁護も寄せられる。総合的に考慮すると、結局人気番組の焼き直しをしているのが、最善策なんですよね」(同)

 消極的になるしかない現在の地上波テレビ。令和6年になっても、平成の人気番組の復活は、続きそうだ。

浜松貴憲(ライター)

1980年生まれ、東京都出身。大学卒業後、出版社に入社。その後、いくつかの出版社を渡り歩いた末に、現在はフリーライターとして、テレビ番組、お笑い、YouTubeなど、エンターテインメント全般について執筆している。

はままつたかのり

最終更新:2024/01/08 15:00
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