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納得させたゾフィー、宙ぶらりんの和牛……2023年、お笑い界の「解散」を振り返る

#200:【ゾフィー解散】10年間コンビだった2人が解散に至るまでを全告白【コント芸人】 – しくじり先生 俺みたいになるな!! – 本編バラエティ) | 無料動画・見逃し配信を見るなら | ABEMA

 お笑いコンビの解散は、やはり寂しいものである。毎年のことだが、2023年も多くのコンビが解散という結論を選んで離れ離れになっていった。私たちファンにできることといえば、その先行きを見守ることだけである。

 売れているから残念だとか、有名だからもったいないとか、そういうのはこちらの勝手な感傷であって、本人たちの人生の決断に大きいも小さいもない。ひとりひとり、その個人の芸人人生であって、そもそも個人の人生である。続けていれば幸せなわけではないし、解散したから不幸なわけでもない。

 そういうことを考えさせられたのが、9月のゾフィーの解散発表と、それに続く『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(ABEMA)での解散報告回だった。

 とことん異例の番組だった。2人が顔をそろえて、芸人仲間とカメラを前に解散を宣言する。その理由は「サイトウナオキの酒と女遊びだ」と明言し、当のサイトウにもその場で釈明させる。

 ゾフィーでの活動に対する2人の意識の乖離を視聴者が理解できるまで丹念に説明し、まるで「自分たちの解散の意味を理解し、納得しろ」と迫るような番組構成だった。

 そこまでやる必要があるのか、と思った。番組の最後に、上田航平がその意図を語る。

「『解散』っていう言葉だけで、みんな寄ってきて『やめろ』って言うんだけど、もしかしたら僕らみたいな、方向性が違うのに無理やり同じ場で活動させられてる人もいるかもしれないと考えたときに、これ(解散の理由)は言ったほうがいいなと思って、この機会をもらった」

 それが、上田がこの企画を受けた理由だった。「解散という選択肢も、前向きではある」と、ゾフィーほどのコンビが身をもって語ることで「誰かがハッピーになれるかもしれない」というのが、上田の真意だった。上田はゾフィーを解散し、今はコント作家としてコントを書きまくっている。

 和牛。

 表向きはゾフィーと同じような理由だった。「水田信二の遅刻、漫才への取り組み方の違い」。解散発表直後の『和牛のモーモーラジオ』(文化放送)では、川西賢志郎が、漫才師にとって一番大切なものは「漫才が好きかどうかという気持ち」だと語った。それが、今の水田には足りないという意味だった。そして「漫才は水田と向き合ったから、もうやらない」と言う。「1年くらい休んでもいい」と。水田はこの日、数えるほどしか口を開かなかった。

 和牛の解散発表は来春の予定だった。週刊誌の取材が入ったことで強引に日程が早められた中で、じゅうぶんな説明が用意できなかった側面もあるだろう。ファンや芸人仲間の思いは、どこか宙ぶらりんのままになっている。

 一方、K-PROのバトルライブで2連覇するなど勢いに乗り始めたところで解散を選んだ竹内ズのケースは、異例中の異例だった。『水曜日のダウンタウン』(TBS系)での「ホントドッキリ」に仕掛け人として出演し、鬼越トマホークを相手に「解散するぞ」と思わせて「『水ダウ』でした」とネタバラシし、鬼越の2人が「ドッキリか、解散しないのか」と安心したところで「ホントに解散します」と宣言するという、実に入り組んだ構成。

 かつて、ナイツ・土屋伸之やバナナマン・設楽統が相方に解散を迫るドッキリ企画が放送されたことはあったが、本当に解散するコンビをキャスティングするという『水ダウ』の企画力・実行力に驚かされるばかりの竹内ズの解散劇だった。

 コマンダンテは『M-1』ラストイヤー、全国15都市を巡るツアーを直前で全キャンセルして突然、解散した。公式YouTubeで公開された報告動画でも具体的な説明はなく、2人のとことん暗い表情と、とことん暗い照明だけが印象に残っている。

 昨年の『M-1』敗者復活戦を体調不良で辞退し、そのまま解散に至ったコウテイは、すでに2人とも再始動している。シモタは同じくなにわスワンキーズを解散したばかりの前田龍二とシモリュウを結成し、今年の『M-1』にエントリー。3回戦で敗退したが、まだ14回の参加権利を残す。一方の九条ジョーもピン芸人としてよしもと漫才劇場の『グランドバトル』を勝ち抜き、見事、所属に返り咲いている。

 * * *

 まったく、寂しいものである。来年はコンビになるべく解散してほしくない、という話でもないし、せめてファンの納得する形で、と望むのも身勝手なことだろう。それぞれ事情があるし、考えてみれば、最初から解散したいと思って組んだコンビはひとつもないのだから。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2023/12/29 16:00
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