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日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > 『M-1』最下位くらげの明日は!?

『M-1グランプリ』最下位コンビ列伝 23年ドンケツ・くらげの明日はどっちだ!?

延長戦 | TVer

「9位より最下位なんで、今日1日楽屋で『昨日最下位取ったんですよ』って言ったら、芸人は笑ってくれて、そのボケずっとやってたら5時くらいにウケなくなりました」

 今年の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)で最下位となったくらげ・杉昇の“最下位漫談”は、大会翌日にはもう完成していた。

 その日、もっとも面白かった漫才師を決める漫才頂上決戦『M-1グランプリ』のエントリー数は今年、8,540組に達している。その中から24日のファイナルに進出した10組は当然エリート中のエリートだが、やはり最下位という順位にはネガティブなイメージが付きまとうことになる。

 しかし、多くの芸人が言う。

「8位や9位なら最下位がいい。ネタにできるから」

 おそらく杉は最下位という順位が確定した瞬間から、『M-1』最下位トークを練り始めていたに違いない。翌日に生放送された『速報!M-1ネクストデイ』(同)の延長戦、TVerでの限定配信中に、ようやくそれを披露するチャンスが回ってきたというわけだ。スタジオは爆笑。MCの今田耕司も満足そうに「おもしろいやん!」とくらげを指さしていた。

 来年、くらげにはそれなりの『M-1』特需が訪れ、バラエティへの出演も増えるだろう。『M-1ツアースペシャル』という出演メンバーが順繰りで参加する全国ライブツアーも控えている。そのすべてで、くらげは「最下位」を武器にトークする権利を勝ち取ったのだ。

 今回を含め、過去19回開催されている『M-1』では、延べ19組の最下位コンビが生まれている。今回は、『M-1』で最下位を取った後に活躍を見せているコンビをピックアップしてみたい。

■2001年大会 おぎやはぎ

第1回大会に登場したおぎやはぎ。第1回大会では地方会場でモニター観覧している一般審査員の投票も反映されるシステムだったが、当時まったくの無名だったおぎやはぎは大阪会場で100票中9票しか入らないという伝説的な惨敗を喫する。

だが、一般投票がなくなった翌年には4位に入り、露出を増やしていくと、05年には現在でもMCを務める『ゴッドタン』(テレビ東京)が放送開始。10年代に入ると数々のゴールデン番組でMC台に立つようになり、現在は“上がり”の芸人として若手からの羨望を集める存在になった。

■2003・2004年大会 千鳥

03年、04年と2年連続でトップバッターを引き、2年連続で最下位に沈んだ千鳥。03年の敗退時には「これで最後のテレビになるんかなぁ」(大悟)というセリフを残して姿を消したが、計4回のファイナル進出は9回の笑い飯、5回の麒麟、和牛、ハライチに次ぐ成績だった。

今や押しも押されもせぬトップオブトップに君臨している千鳥。『せやねん!』(毎日放送)、『なるトモ!』(読売テレビ)など関西の情報番組における独特なロケで名を上げ、上京後には『ピカルの定理』(フジテレビ系)の終了や『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「帰ろか千鳥」回が放送されるなど停滞期もあったが、間もなく完全ブレークを果たしている。

■2017年大会 マヂカルラブリー

準決勝では大ハマりした「野田ミュージカル」がまったくウケず、ネタ後の審査員コメントでは上沼恵美子に怒鳴られ、シャツを脱ぎすてて「マッチョッチョ」したものの、これまたスベリ倒して最悪の1日を過ごしたマヂカルラブリー。

だが、その後も挑戦を止めることなく20年大会で再びファイナル進出。せり上がりを土下座で上がってくるという完璧な伏線回収で観客の心をつかむと、一気に優勝まで駆け上がって見せた。

その後、翌年も「なんかヤバいやつ」というパブリックイメージが付きまとって思うように仕事量が増えなかった時期もあったが、徐々に野田の持ち前の上品さやクリエイティビティが知られるようになり、今では賞レースの審査員を数多く務めるなど信頼の厚い芸人となった。まだ3年前の話である。

■2020年大会 東京ホテイソン

17年から19年の3年連続準決勝進出で業界内知名度を高め、20年に満を持してファイナル進出。アキナが現在でも語り継がれるほど盛大なスベリを見せたが8位、いまだに井口浩之が「20年は10位よりウケなかった」という定番フレーズを使い続けているウエストランドの9位を下回り、大会内ではいかにも印象の薄い最下位となった。

しかし、当時20代中盤という若さや清潔感、たけるの平場での立ち回りの達者さは20年大会以前から注目されており、いわばこの年のファイナル進出が最終チケットとなった形でブレーク。今年のテレビ出演本数ランキングでは、たけるが8位(464本)、ショーゴが12位(446本)と、超売れっ子の仲間入りを果たしている。

 * * *

 そのほか、南海キャンディーズ(05年)、ハライチ(15年)、ニューヨーク(19年)、ランジャタイ(21年)など、『M-1』最下位を経験している売れっ子は決して少なくない。

 今年の最下位、くらげは光り輝きながら浮上することができるだろうか?

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2023/12/26 19:00
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