『マルコポロリ!』『しくじり先生』……盛り上がりを見せる“派生賞レース”たち
#マルコポロリ! #キングオブう大
いよいよ、この週末に迫った漫才頂上決戦『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)。今年は15時から敗者復活戦が始まり、クリスマスイブの夜に7時間ブチ抜きで放送されることになった。
もはや国民的イベントとなった『M-1』に加え、秋を彩った『キングオブコント』(TBS系)、来年春には芸歴制限撤廃で無差別バトルロワイヤルになることが予想される『R-1グランプリ』(フジテレビ系)など、各局がお笑いコンテストに総力を挙げて取り組んでいる。
そんな中、バラエティ番組でもこうした賞レースから派生した企画が多くみられるようになっている。
17日放送の『マルコポロリ!』(関西テレビ)では、「マルコポロリ-1グランプリ」と称したコンテスト企画が行われ、同番組の常連であるタイムマシーン3号・山本浩司、ウエストランド・井口浩之、永野、三浦マイルド、にゃんこスター・スーパー3助の5人が、それぞれ芸人を推薦。「マルコポロリ!にハマる芸人」を選出するという趣旨だった。ナレーションは本家『M-1』と同じ、畑中ふうが務めている。
審査員にはポロリ!メンバーのメッセンジャー・あいはら、シャンプーハット、ほんこん、月亭方正、月亭八光の6名。審査基準は「ネタ4、トーク4、なんとなく2」という、いかにも同番組らしい、いい加減なもの。推薦された出場者も、いわゆるキワモノが揃って……と思われたが、意外な展開となった。
1番手は井口が推薦するシティホテル3号室。井口にとってタイタンの後輩にあたり、今年の『キングオブコント』で準決勝まで残ったコント師だ。シティホテル3号室は、その実力通りの手堅いコントを披露。ネタ終了後にMCの東野幸治が「途中から、ここで(ネタを披露)さすの申し訳ないなって」、方正も「もっとちゃんとしたとこ行ったらいいのに」と、そのマルコポロリ!らしくないネタの出来に困惑。結果、推薦した井口が非難されるという不可思議な展開になった。
その後は、山本推薦の古賀シュウがベテランらしくない緊張スベリを見せると、マイルド推薦のスーズがド下ネタでスタジオを凍り付かせ、スーパー3助は後輩の都トム・可児仁に便乗して大いに失敗し、永野推薦の八幡カオルは過去の古賀シュウとの熱愛が発覚するなど、ポロリらしい展開となった。
だが、優勝はネタがもっともおもしろかったシティホテル3号室に。『マルコポロリ!』メインゲスト出演の権利を手にしている。
とことんユルかった「マルコポロリ-1」に比べて、こうした派生賞レースの中でもっとも“ガチ感”を醸し出しているのが、Abemaの『しくじり先生』内で行われている「キングオブう大」だろう。2013年『キングオブコント』優勝者のかもめんたる・岩崎う大がひとりで審査員を務め、独断で優勝者を決めるこのコンテストは今年で4回目。う大に評価されたいというコント師が集まり、今年も真剣勝負を繰り広げている。
賞レースとしての実績も凄まじい。20年には今年の『キングオブコント』で優勝したサルゴリラが出場しており、そのほかにもザ・マミィ、ジェラードン、ファイヤーサンダー、コットン、滝音、ネルソンズ、ロングコートダディ、うるとらブギーズ、ゾフィーとファイナリストが顔をそろえている。
さらに今年も、昨年のトップバッターで『キングオブコント』を盛り上げたクロコップ、ファイナルを4度経験しているザ・ギースに加え、昨年王者・ビスケットブラザーズも参戦するという豪華さだ。
「キングオブう大」の最大の特色は、出場者と審査員・う大の真剣なやり取りにある。ネタ披露中には緊張感が漂い、終了後のう大の寸評に対しては、メモを取る者もいれば、涙ぐんで喜ぶ者もある。う大の寸評の内容も、ネタ作りの裏側にある書き手の心の動きを推察したり、微妙な妥協点を指摘したりと、特にネタを作る側の芸人に深く刺さるアドバイスとなっている。「キングオブう大」が多くのファイナリストを輩出しているとまでは言わないが、確かにう大のアドバイスが効いているのだろうと思わせる空気が、スタジオを包んでいるのだ。
そのほか、今月『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で放送された「スベリ-1GP」は不遇のベテランに露出の機会を与え、『ナインティナインのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)の年末恒例企画「岡-1グランプリ」は今年も全組優勝としながら、インパルス・堤下敦をフックアップし続けている。
こうした派生賞レースは、始まりは単なるパロディ企画だろうが、回数を重ねるにつれて、それぞれの役割が明確になっていくように見える。今年初開催だった「マルコポロリ-1グランプリ」は、今後どんな役割を抱いたコンテストになっていくのだろうか。いや、あれはどうにもならないか。
(文=新越谷ノリヲ)
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