『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』最終話 クリスマスに奇跡は起きたか
#ONEDAY
さて、この『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』(フジテレビ系)というドラマが何をやりたくて、どんな素性で、正体がなんなのかは前回のレビューでだいたい書いてしまいました。最終回を迎えて人物相関は混乱を極め、もはや誰が何を言っているのか、ほとんどわかりません。
わかる範囲で言えば、キャスターの中谷美紀が警察から引っ張った情報をもとに、麻薬取引現場にカメラを引き連れて突入し、生放送を敢行した場面。
「麻薬取引現場です!」と断言していますが、この人、まったく裏を取ってません。状況証拠だけで、一般人を「麻薬取引犯」として生放送に乗せてる。さんざん報道マンとしてのなんやらかんやらを説いてきたくせに、最後の最後で報道マンの原理原則を蔑ろにしている。しかもその状況で、キャスターのみならず局全体が「スクープだ!」と大はしゃぎしている。
真実を伝えることより、スクープを取ることが優先されている。はき違えている。まずはそういうことが起こりました。
続いて、洋食屋ではクリスマスディナーのメインディッシュに、ゆで卵やらハンバーグやらナポリタンやら、お弁当の具とおにぎりが供されることになりました。シェフの大沢たかおいわく、「ずっと作り続けてきたのが、お弁当だから」とのこと。いや、知らんよ。それは仕事じゃないだろ。
しかも、ソムリエールは提供の直前まで料理の内容を知らされず、当然、ワインを選ぶこともできず、単なる給仕となる。
完全にシェフのひとりよがりですが、客は喜んで帰る。ドラマは「別に何をやっても、客が喜んでるんだからいいだろ」とでも言いたげに、この暴挙を擁護して見せる。
まあ、最終回の前半はそんな感じです。到底、ドラマを楽しもうとして見ていたら納得できる展開ではないけれど、そのへんは前回までで総括したので、置いておきます。
残りの後半で、期待したんです。このドラマはクリスマスイブを描いたドラマですから、このドラマならではの「クリスマスイブの奇跡」というやつを用意しているんじゃないか。これだけあちこちからモチーフを引っ張ってきた作品ですから、クリスマスであることにも当然、何か仕掛けがあるんじゃないかと。例えば、そうですねえ、『東京ゴッドファーザーズ』(03)で吹いた強烈なビル風とか、うーん、ほかにすぐには思い浮かばないけど、そういう類のね、人知を超えたロマンチックというものが起こる夜、というより、ドラマなんだから、ロマンチックを起こさなきゃいけない夜だと思うんですよね。
「こんなことありえないだろ! いや、クリスマスか……」みたいな、そういう奇跡を視聴者に見せるのも、クリスマスを描く作品の使命だと思うし、ここのスタッフならそれはやってくるかなと期待してたんです。
それも、なかったー。なかったなぁ。会いそうな人が会いそうな人に会って、帰ってきそうな犬が帰ってきて、なんとなく大団円。ほっこり終わり。前回、失敗はしてるけど志の高さはいいよね、みたいなこと書いたけど、それもちょっとなー、クリスマスだぜ、という感じです。
総じて見ると、大沢たかおが無茶苦茶な人物設定に無茶苦茶な展開を与えられて、しかも熱量高い芝居を求められたので不憫でした。ずっとバカで身勝手なやつに見えてた。大損こいてるなと思いました。
よかったのは桜井ユキさん。ずっと何かしら出てますし、今さら評価がどうこうって俳優さんじゃないけど、やっぱすごい上手いですね。ニノさんも安定感あっていいと思います。
そんな感じで。なんか最終回なのに流し見してしまったなぁ、という印象でした。もうちょいなんかあんでしょうよ、だってさ、クリスマスだぜ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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