『おもしろ荘』出場芸人12組発表! 「一発屋芸人製造工場」の功罪
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年末年始恒例の「おもしろ荘」に出演する芸人が18日、発表された。今年は以下の12組となる。
橘井と小池
じぐざぐ
シンクロニシティ
戦慄のピーカブー
ツンツクツン万博
猫怪獣
バッチトゥース
骨付きバナナ
めしあがれ
夜歩き
リバーマン
リンダカラー∞
「おもしろ荘」は『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)で毎年開催されているネタ見せ企画。今年も大みそかの深夜に放送されることになり、テレビの前のお笑いファンのみならず、関係者からも大いに注目を集めそうだ。
現在のお笑い界において、「おもしろ荘」は大きな役割を担っている。多くの芸人が『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)や『キングオブコント』(TBS系)などメジャーな賞レースをきっかけに売れていく中、芸歴数年で経験が浅く、荒削りな魅力しかない若手がブレークするための、ほとんど唯一の入り口となっているのだ。
前回大会で優勝したのは、ちゃんぴおんず。ピンクの衣装に身を包んだおじさん2人が「ちょんってすなよ」というフレーズを繰り返すという誰も見たことのないリズムネタで圧倒的な勝利を飾ると、さっそく年明けの情報番組やバラエティから引っ張りだこに。1年近くたった今でも、その勢いは衰えていない。
過去にも、「おもしろ荘」をきっかけにブレークを果たした芸人は枚挙にいとまがない。
20年大みそかには、ピン芸人・やす子が出演。3位と敗れたものの、その後の活躍は凄まじく、今年は295番組に出演(ニホンモニター調べ)するブレークぶり。ロケでの出演も多いことから、「やす子、働き過ぎでは?」と心配の声が方々から聞こえてくるほど多忙を極めている(そういう状況で『THE W』ファイナルまで上がったのは本当にすごい)。
その以前にも18年末には夢屋まさるの「パンケーキ食べたい」がプチ流行語になったし、17年末にはひょっこりはんが芸能界にひょっこり顔を出すきっかけにもなった。時代をさかのぼれば、ブルゾンちえみ、クマムシ、8.6秒バズーカー、日本エレキテル連合と、その年のバラエティ界を彩った芸人たちの名前がズラズラと並んでいる。
そして、そのほとんどが「一発屋」と呼ばれる芸人たちだ。
世間ではネガティブなイメージで語られることの多い「一発屋芸人」だが、その存在を「時代の栞」と例えた芸人がいる。ほかでもない、一発屋にくくられながら今年の吉本興業でもっとも営業の多かったコンビ・ジョイマンの高木晋哉だ。17日に『M-1』の公式YouTubeチャンネルで公開された『M-1ラジオ』で、マヂカルラブリーの野田クリスタルと語り合っている。
野田「俺はいたほうがいいと思う、一発屋芸人みたいなノリの芸人が各時代に存在するべきだと思うし」
高木「もう生まれないのよ」
野田「そのせいで、お笑いが今、なんの時代かわからないと思う。思い出せないっていうか、そのときの笑いを」
高木「確かに。流行歌みたいなもんだからね」
野田「つぶやきシローさんとか、一発屋芸人たちが時代を区切ってくれてるのよ。それがないから怖いっちゃ怖いんですよね」
高木「一発屋、作っていかないと、栞だから」
野田は、一発当てることの難しさを「普通の社会だったら大成功。笑っちゃうくらいのこと」と語り、ジョイマン・池谷和志は「これで一生困らないと思った」と、本音を明かしている。
完成度が求められるメジャー系の賞レースに評価軸が偏重しつつある現在のお笑い界において、それを突き抜けるコンテスト番組は、もはや「おもしろ荘」しか残っていないのかもしれない。時代に栞を挟む。次にその役割を課されるのは、誰だろうか。
(文=新越谷ノリヲ)
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