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旧ジャニーズ新会社「STARTO」が掲げる目標に「何も変わっていない」という現状

旧ジャニーズ新会社「STARTO」が掲げる目標に「何も変わっていない」という現状の画像1

 解体された旧ジャニーズ事務所のマネジメント業務を引き継ぐ形で設立された、新しいエージェント会社「STARTO ENTERTAINMENT」の全容が明らかになった。代表取締役CEOには、女優のんのエージェントを担当する「スピーディ」の社長を務めた福田淳氏が就任。20th Centuryの井ノ原快彦は取締役COO(最高執行責任者)に就任し、SMILE-UP.の副社長は辞任する。

 旧ジャニーズ事務所での創業家一家による支配的で閉鎖的なやり方から脱却し、開かれた事務所を目指すはずのSTARTO ENTERTAINMENT。公開された公式サイトでは、「DX化:独自の音楽配信サービスを立ち上げる」「グローバル展開:米国、韓国等、世界展開」「メタバース市場参入:最先端技術でアーティストの才能を拡張」という3つの目標を掲げているが、すでに疑問の声もあがっている。

「“独自の音楽配信サービスを立ち上げる”ということは、Apple MusicやSpotifyでは旧ジャニーズ系の楽曲は配信しないということなのでしょうか。もしそうだとしたら、まったく意味がない。結局はファン向けの閉じた配信サービスを作って、利益を確保しようとしているだけで、全然“開かれる”ことにはなりません。現状、多くの旧ジャニーズ系の楽曲がサブスクで配信されていないため、ファンはみんなCDを買っているわけで、独自の配信サービスにはあまり需要がない。結局ファンが毎月の料金を払うサービスが増えるだけ。まさに“お布施”を上乗せして徴収するだけです」(音楽業界関係者)

 また「独自の音楽配信サービス」が、第2の目標である「グローバル展開:米国、韓国等、世界展開」を妨げることにもなるという。

「世界的に展開されているサブスクでの楽曲配信がないと、世界展開は難しいというのは常識中の常識です。たとえばモーニング娘。などが所属するハロー!プロジェクトは、サブスクが普及する前は日本の女性アイドルとして世界でも人気が高かったんですが、現在はサブスクを解禁していないということもあり、世界展開がほとんどできていない。それこそK-POPアーティストやYOASOBIなどのように、サブスクやネットでの展開に力を入れるアーティストが世界で成功しているんです。旧ジャニーズも日本国内の人気の高さからすると、世界的な知名度はかなり低い。今後、世界展開を目指すというのであれば、サブスクの全面解禁は必須条件であり、独自サービスで配信したところで、何の意味もありません」(同)

 そもそも旧ジャニーズ事務所では、日本国内のファンこそを重要視しており、世界展開には消極的だった。King & Princeが分裂したのも、旧ジャニーズが世界進出を許さなかったことが原因だ。

 もともとキンプリは世界進出を目標に掲げていたグループであり、メンバーが旧ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長に海外進出を直談判するも玉砕。そこで特に海外志向の強かった平野紫耀、神宮寺勇太、岸優太の3人が退所し、滝沢秀明氏が率いるTOBEに移籍。そして、3人で新グループNumber_iを結成した。

「旧ジャニーズが海外進出に消極的なだけでなく、日本国内の旧ジャニーズファンも海外進出を歓迎していない現状があるんですよね。それこそ2人になったキンプリのファンが、Number_iの海外志向をバッシングすることも多い。そういう意味では、今回のSTARTO社の“グローバル展開”という目標は、ファンからしてみればあまりうれしくないものでしょう。STARTO社も当然そんなことは承知しているはずで、だからこそ“独自の配信サービス”というものを立ち上げるといって、日本国内のファンをしっかり囲い込もうとしているわけですよね。旧ジャニーズのやり方から脱却し、“変わった”ということをアピールするために“グローバル展開”という目標を掲げているだけで、何も見えていない。国内ファンこそを最重視する方針は、旧ジャニーズ時代から何も変わっていないということですよ」(同)

 どうやらトップと看板が変わっただけで、“ジャニーズイズム”はそのまま継承しているとも言えそうだ。

「故ジャニー喜多川氏の性加害問題により、世界的にも“問題ある芸能事務所”として認識されたわけです。いくら名前が変わったとしても“旧ジャニーズ”である事実は変わらない。この状況でいきなり海外進出を試みても、“かつてトップが少年たちに性的暴力を繰り返した芸能事務所”が海外のエンタメ業界に受け入れられるとは考え難い。そういう意味でも、今のSTARTO社が海外進出するのは無理な話です」(同)

 そして「メタバース市場参入:最先端技術でアーティストの才能を拡張」という目標についても、あまり期待できそうにない。

「“メタバース市場”が何を指しているのかよくわかりませんが、コンサートが基本のスタイルでやってきた旧ジャニーズとの親和性が低いのはわかりきっていること。この点については、とにかくファンからの反発が大きい。今後、何かしらの“メタバース関連”のコンテンツが登場したとしても長続きしないことは目に見えている。結局これも本当にやるかどうかも怪しいもので、ほとんど中身がない“掲げているだけの目標”なのがミエミエです」(同)

 掘り下げていけばいくほど、“実現性の乏しさ”が浮き彫りになってくるSTARTO社の3つの目標。本当の意味で旧ジャニーズ事務所の呪縛から逃れるには、まだまだ時間がかかりそうだ。

手山足実(ジャーナリスト)

出版業界歴20年超のベテランジャーナリスト。新聞、週刊誌、カルチャー誌、ギャンブル誌、ファンクラブ会報、企業パンフレット、オウンドメディア、広告など、あらゆる媒体に執筆。趣味はペットの動画を見ること、有名人の出没スポットパトロール。

てやまあしみ

最終更新:2023/12/25 08:00
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