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日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > 『M-1』決勝は「2年かけて上がる」?

『M-1グランプリ』決勝は「2年かけて上がる」マヂラブ・野田クリスタルが語った仮説

ナイツ ザ・ラジオショー | ニッポン放送 ラジオAM1242+FM93

 14日に放送された『ナイツ ザ・ラジオショー』(TBSラジオ)に、マヂカルラブリーが出演。自らも2020年に優勝を果たしている『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)について、持論を語った。

 今年、『M-1』決勝進出者発表記者会見のMCを務めたマヂカルラブリー。番組ホストのナイツとともに、その様子を振り返っている。

 今回、準決勝を初めて通して見たという野田クリスタルは、その現場について「全ウケです。こんなの、評価が割れようがない」と語り、「昔のが1個、繰り上がってる感じ」と、独特の表現でそのレベルの高さを評した。つまりは、昔の決勝レベルの漫才師が準決勝にひしめき、昔の準決勝レベルが現在の準々決勝に揃っているということだ。

 ナイツ・塙宣之が「(準決勝で)外したやつはいなかった?」と尋ねると、野田は「いなかったです」と即答。村上も「全然いなかったです」と口をそろえ、準決勝終了時に決勝進出者の予想を試みるも「全然当たらなかったです」と、当落の差がなかったことも明かしている。

 そんな野田に、決勝進出者選出について気になる発言があった。

「2年かけて(決勝に)上がるってシステムないですか? 『M-1』って」

 当然、『M-1』の公式ルールにそんなシステムはないし、そう明言している審査員がいるわけでもない。だが、野田の解説にはやはり現場を知っている人間ならではの説得力が宿っていた。

「去年、もう準決でウケてて、すごい話題になって、そのとき上がれなかったけど、その次の年、去年の貯金があって『合わせ技決勝上がり』があるんですよ」

 この話に、相方の村上とナイツの2人も大いに賛同。塙は「同率になったときに、去年も次点だったしっていうね」と首肯していた。

 さらに野田が話を続ける。

「決勝上がって、どのネタやりますか? って相談するときに、めっちゃ全ネタを(運営が)メモってたから、把握してるんですよ、こっちのネタを全部。去年のネタも全部覚えてるから、蓄積がまったくないというわけではない大会だと思うんですよ。すごい情報量ですよ。審査員もずっとそれ見てきてるし」

『M-1』の決勝進出者は、準決勝の一発の出来で決めることになっている。だが、決勝でファイナルステージまで勝ち進めば、年末の生放送で2本のネタを披露することになる。

 1本だけ異常に強い漫才師を決勝に上げてしまった場合、番組のクライマックスである2本目で大スベリしてしまうかもしれない。審査員は放送作家やテレビ朝日、ABCテレビの局員たちだ。番組を成功させるために、やはり2本目のクオリティも含めて、安心して送り出せる漫才師を選びたくなるところだろう。『キングオブコント』(TBS系)はこの「2本目でコケる問題」を嫌い、準決勝でも2本のネタを披露させている。

 野田の仮説をもとに、今年決勝進出を決めている9組を眺めてみる。初出場はヤーレンズ、ダンビラムーチョ、くらげ、令和ロマン、マユリカの5組。

 このうちマユリカは3年連続4度目、令和ロマンは2年連続3度目の準決勝から決勝に上がっており、そのほかダンビラムーチョとヤーレンズが昨年の準決勝に顔を出している。くらげは19年以来、4年ぶり2度目の準決勝だった。

 野田の言う「2年かけて」にもっとも当てはまりそうなのが、令和ロマンだ。昨年の敗者復活戦でオズワルドに続く2位に入り、その評価を大いに高めている。今年の決勝進出は、順当といえる結果だった。

 ヤーレンズとダンビラムーチョも、昨年の敗者復活戦を盛り上げた。とはいえ、そのスタンスは対照的だった。ヤーレンズはキンキンに仕上げ切った勝負ネタで挑み、ダンビラムーチョは森山直太朗の「生きとし生ける物へ」を歌い切るというインパクト重視のネタを披露している。この2組も「2年かけて」に当てはまりそうだ。ダンビラムーチョの勝ち上がりは、21年の敗者復活での「からあげ4」から22年決勝進出、準優勝したさや香のイメージに近い。さや香は17年にも決勝に上がっているが、そのときとはボケツッコミも入れ替わっており、まったく別のコンビになっていたと言っていい。

 マユリカは「2年かけて」より、さらに1年多く時間がかかったコンビといえそうだ。このあたりは、準決勝のレベルの向上が影響しているとも見える。

 あくまで野田の仮説に半ばこじつけた形にはなったが、こうしてさまざまな側面から漫才について考えられるのも『M-1』のひとつの魅力だろう。今年の敗者復活戦を経て、決勝に上がってくるのは誰なのか、そしてその裏で、密かに来年への布石を打つコンビは……?

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2023/12/14 19:00
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