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性被害者への補償金の〝上限〟が見えてしまった旧ジャニーズ事務所の狙い

性被害者への補償金の〝上限〟が見えてしまった旧ジャニーズ事務所の狙いの画像1

 創業者のジャニー喜多川氏の性加害問題で渦中の旧ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)が12月1日、公式ホームページを更新し、《補償内容の合意および補償金の支払い開始について》として報告した。ジャニー氏の性加害をめぐっては、11月下旬までに800人を超える被害者が名乗り出ていることを同社は発表し、1000人を超えるのも時間の問題とみられている。

 そんな中、今月1日に公式サイトでは、《本年11月22日に、被害者救済委員会から、性被害に関する事実確認等が終了した対象者35名(以下「当該対象者」といいます。)に対して個別に補償内容の連絡が開始された旨をお知らせいたしましたが、昨日までに当該対象者の方々のうち30名の方から補償内容に同意するとのご連絡をいただきました》とし、11月30日までにそのうち23人に対して補償金の支払いを完了したことを明かした。しかし、具体的な金額などについては明かしてはいなかった。

「続々と被害者が名乗り出ているようだが、公式サイトでは虚偽申告に対しての〝警告〟と思える文章を掲載していた。これに批判も多く聞かれたが、SMILE-UP.はもはや、被害者に対する補償のみの業務を行う会社。その業務を終えたら廃業することを宣言しているだけに、補償申告者が本当の被害者かどうかは徹底的に精査することになるだろう」(全国紙社会部記者)

 4日には公式サイト内の被害者補償特設サイトを更新し、同事務所への所属が確認できていない補償申告者に対し、具体的な手続きの案内を開始したと発表。もともと、所属していたジャニーズJr.(現ジュニア)たちと雇用契約を交わしていなかったツケとして労力を費やすことになった格好だが、公式サイトの文面から、補償金の上限はほぼ見えているというのだ。

「公式サイトでは、《慰謝料金額を算定するに当たっては、日本国内における過去の裁判例だけでなく、英国国営放送(BBC)のキャスターの性的加害事案における賠償額やカトリック教会での性加害事案に関する海外諸国での賠償事案なども参照しつつ》としているが、カトリックの性加害は世界各地に及び、賠償金の額もバラバラだった。それと比較すると、BBCのキャスターだった故ジミー・サヴィル氏の案件については、500人以上の被害者がいたが、サヴィル氏の遺産額などから計算して被害者は一人あたり最大日本円に換算して約1100万円の請求を上限とすることを裁判所が承認。つまり、旧ジャニーズも最大でそのくらいの金額だと見られている」(芸能記者)

 旧ジャニーズの東山紀之社長は、9月7日の会見で「法を超えて救済、補償が必要だ。時間を区切るなどはないので、長い道のりだと覚悟を持っています」と述べた。また、国内での性被害者への賠償金の支払いは多くても300万円と言われているだけに、たしかに東山氏の言葉通り補償額は「法を超えて」いるとは思われるのだが……。

「結局、旧ジャニーズの資産の範囲内で補償額を支払うため、補償額の上限を抑えようとしているのが浮き彫りになってしまった。要はジャニー氏、ジャニー氏の性加害を見逃し続けていて〝共犯〟とも言える姉の故メリー喜多川氏の個人資産からは支払いたくないのかもしれない。本来ならば、真っ先に2人の遺産が支払いに充てられるべきなのだが」(同)

 加害者が身銭を切らないのでは、被害者たちは報われないままだ。

黒崎さとし(編集者・ライター)

1983年、茨城県生まれ。ライター・編集者。普段は某エンタメ企業に勤務してます。

Twitter:@kurosakisatoshi

くろさきさとし

最終更新:2023/12/11 08:00
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