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まさかのエース・四番降格、『下剋上球児』準決勝師弟対決で南雲の奇策発動

まさかのエース・四番降格、『下剋上球児』準決勝師弟対決で南雲の奇策発動の画像1
TBS 日曜劇場『下剋上球児』公式サイトより

 12月3日、日曜劇場『下剋上球児』(TBS系)の第8話が放送された。教師免許を持たない“偽りの教師”南雲脩司(鈴木亮平)が弱小高校を率いて甲子園出場を目指す本作。南雲が監督に就任し、やる気のない部員たちに野球の楽しさを伝えたのも束の間、教員免許を持たないことが発覚。南雲は越山高校を去ったが、罪を償い、越山高校野球部の監督として戻ってきた。そこからの野球部の急成長、2018年の三重県大会での快進撃は目を見張るものがある。第8話は34年ぶりにベスト8に進出し、ベスト4を懸けた準々決勝から始まった。

 準々決勝の相手である香良洲高校は春に対戦し、勝っていることもあり、越山高校ナインは余裕しゃくしゃく。予告ホームランや「はよ帰りたい」と小言を言うなどその振る舞いは目に余るものがあり、南雲も山住(黒木華)も足をすくわれないか危機感をにじませる。チャンスを再三つぶしながらも8回にようやく先制点をもぎ取り、辛くも勝利した越山高校。準決勝の相手は南雲の恩師・賀門(松平健)率いる強豪・星葉高校ということもあり、視聴者に不安を抱かせた。

 越山高校野球部の面々にも不安が走る出来事が起きた。準決勝ではここまでエースピッチャーとして牽引してきた翔(中沢元紀)が先発落ちし、成長著しい根室(兵頭功海)が登板する可能性が浮上したのだ。メンバーたちが快進撃を続けてきただけに「なせ翔がベンチに座るのか?」と疑問に思うのは当然である。当落線上に位置づけられた翔と根室も急によそよそしくなり、チームとしてはぎくしゃくしたムードに。誰もいないと思い先発について密談していた南雲と山住はやや不用意だったといえる。

 そんな翔と祖父・犬塚(小日向文世)とのやりとりは涙腺崩壊ものだった。翔の活躍を少しでも長く見るために、視力低下が進行する目の手術を拒む犬塚は、先発落ちの可能性に気を落とす翔を励まそうとキャッチボールに誘う。かつては幼い翔を犬塚がリードしていたことだろう。しかし、眼前のボールを見つけることすらままならない状況でも、翔に不安をかけまいといつものように白々しくとぼける姿は名優・小日向文世だからこそなせる業だった。

 第9話ではいよいよ星葉高校との一戦が始まる。南雲が繰り出す奇策は吉と出るのか凶と出るのか。エースピッチャーの翔とキャプテン・椿谷(伊藤あさひ)を先発から外し、4番バッターを務めてきた楡(生田俊平)を3番に繰り上げるという大ナタは、対策を用意してきたであろう星葉高校以上に、越山高校ナインの動揺が大きいと思う。「メンバー18人全員で戦う」と言う南雲の言葉からすると、代打や投手交代のタイミングが勝負を制するカギになるのだろう。

 不安材料は試合目前にして病院に搬送された山住の容態だろう。山住は練習中の不注意により打球が脇腹に当たったものの平静を装っていたが、やはり無事ではなかったようだ。山住自身が言ったように打球から目を離してグラウンドに入ったことによる事故だが、野球部員たちは動揺を隠せない。とにかく山住の無事を祈りつつ試合に集中したいところだが果たして……。

 南雲が非情なまでの采配を振るうのは、越山高校が甲子園に出場することよりも、野球を愛する生徒たちに少しでも長く白球を追う日々を続けてほしいからこそ。南雲の厳しい言葉の裏にある真意を汲み取る越山高校野球部一同。大一番を前にしてついに越山高校はひとつになったのだ。下剋上ストーリーにおける山場であり、負けられない戦いがいよいよ始まる。

■番組情報
日曜劇場『下剋上球児』

TBS系毎週日曜21時~
出演:鈴木亮平、黒木華、井川遥、小泉孝太郎、中沢元紀、生瀬勝久、小日向文世、松平健 ほか

脚本:奥寺佐渡子
原案:「下剋上球児」(菊地高弘/カンゼン刊)
音楽:jizue
主題歌:Superfly
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子、山室大輔、濱野大輝
編成:黎 景怡、広瀬泰斗
製作:TBSスパークル、TBS

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/gekokujo_kyuji_tbs/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2023/12/10 12:00
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