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日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > 川島明「売れる」ことを決めた男の15年間

麒麟・川島明が「出演本数ランキング」1位獲得! 「売れる」ことを心に決めた男の15年間

ラヴィット!|TBSテレビ

 6日に発表された2023年の「テレビ番組出演本数ランキング」(ニホンモニター調べ/関東地区)で麒麟・川島明が自身初の1位を獲得。朝の帯番組『ラヴィット!』をはじめとして、586本の番組に出演したことがわかった。

 川島は同日の同番組で、「今年は(本数ではなく)質を上げていこうというところを逆にいただけた」と語り、「連覇を目指したい」と意気込んだ。

 その一方で、相方の田村裕も同日のラジオ『メッセンジャーあいはらのYouはこれから!』(MBSラジオ)に出演。心境を明かしている。

「めでたいなぁと思って。リアルに僕も数えたんですよ、全国ネット何本でたか。そしたら、11本。11本中10本がバスケです。あまりにも川島と差がデカすぎて」

 これにメインMCのメッセンジャー・あいはらが「バスケの仕事に呼ばれてるんやから目論見通りやんか」「有吉(弘行)の元相方よりマシやんか」とフォローするものの、やはりその差は歴然となった。

 麒麟ほど、波乱万丈なコンビ人生を歩んでいる漫才師も珍しい。

 結成からわずか2年で迎えた『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)の第1回で、MCの島田紳助いわく「吉本関係者も存在を知りませんでした」と評されるほど、まったくのノーマークながら決勝に進出。順位は5位ながら、その紳助は「今のはいってたと思うねんけどなぁ」と悔しそうに首を傾げ、審査員の松本人志も「僕は今まででいちばんよかったですね」と高評価を与えるなど、存在感を示す結果となった。

 この『M-1』を受けて、麒麟は関西を中心にブレーク。多くのバラエティ番組に出演することになるが、経験不足が露呈して迷走。漫才にも支障をきたすことになり、翌02年の『M-1』では準決勝で時間オーバーの強制終了を犯し、あえなく敗退している。

 バラエティ出演もすっかり減った03年には『M-1』決勝に返り咲くものの、1番手・千鳥、2番手・麒麟、3番手・スピードワゴンが相次いでふるわず、川島自身が「伝説の3スベリ」と振り返る結果に。

 だが、04~06年と連続で3組の最終ファイナルに進み、その評価を確かなものとする。その最終年の06年には田村が『人志松本のすべらない話』(フジテレビ系)で披露した貧乏話が評判を呼び、翌07年に田村は『ホームレス中学生』(ワニブックス)を出版。これが、麒麟というコンビの関係性を大きく変えることになる。

『ホームレス中学生』は200万部を超えるベストセラーになり、マンガ、映画、ドラマなど多方面に展開。田村には2億円を超える印税収入が舞い込み、一躍、時の人となっていく。

 それまで川島が主導してきたコンビバランスは完全に逆転し、田村のバーターで川島もついでにテレビに呼ばれるという時期が続く。この時期、川島にはピンマイクがつかない(発言権がない)番組も数多くあったという。このころの心境を川島は後にこう明かしている。20年12月、ラジオ『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』(ニッポン放送)に出演したときの話だ。

「だから初めてですね。『売れよう』と思ったのは。それまでは『M-1』もあって、面白かったら売れるんやろう、売れるのは後からついてくることだっていう意識で頑張っていたんですけど。これは売れるためには売れなあかんなって思ったんですよ」

「売れるためには、売れなあかん──」

 15年前、「売れる」ことを心に決めた男が、今日、日本でもっとも売れている男になった。「売れる」ことを決めれば、芸人は売れるわけではない。だが、川島が売れた理由のひとつに、あの日の決意があったことだけは間違いないだろう。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2023/12/06 20:16
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