『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』第9話 イカサマしてんじゃないよ
#ONEDAY
「脈拍80、呼吸数12回、サチュレーション98%、バイタル安定してます!」
冒頭、拳銃で腹部を撃たれたニノさんが救急車で運ばれています。口には、何かの機械にチューブがつながった吸入器。そして、救急隊員が緊迫感のある声で、冒頭のセリフをしゃべるわけです。
脈拍80、正常。呼吸数12回、正常。サチュレーション98%。サチュレーションというのは新型コロナウイルスが日本中を席巻していた時期によく話題になっていた血液中の酸素飽和度のことですね。指先を洗濯ばさみみたいなので挟んで計るやつ。正常値が96%~99%とされていますので、ニノさんの98%は、もちろん正常。救急隊員がバイタル安定してますと言っている通り、ニノさんは健康です。
では、なぜ救急車で運ばれているのか。それは拳銃で腹部を撃たれたからです。でも、実際には撃たれてないんです。すぐ脱走するからね。撃たれてないから、バイタルも安定している。健康である。では、なぜ救急車で運ばれているか。拳銃で腹部を撃たれたからです。撃たれてないのに。救急隊員は腹部を撃たれたと言っているニノさんと、撃ったと言っている江口洋介の言葉をそのまま信じて、患部を目視することもなく、銃創に対する応急処置について検討することもなく、ただその手に塗りたくったケチャップを流れ出た血液だと信じて、撃たれた部位の服を脱がすこともなくニノさんをストレッチャーに乗せて救急車に運び込んだ。
撃たれた人間を、どこをどう撃たれてるか確認もしないで、ストレッチャーに乗せたんです。超危ない、激ヤバ救急隊員です。でも運転手はちゃんと運転できるみたいだし、ほかの隊員もちゃんとバイタルを取ることはできる。そして、その数値をいかにもヤバげな感じでしゃべる。正常なのに、健康体なのに。
「脈拍80、呼吸数12回、サチュレーション98%、バイタル安定してます!」
この数値がウソじゃないから、視聴者を騙してるわけではないと言いたいの? どうせたいして聞いてねえだろ、救急隊員がこんな感じでしゃべってればニノさんがヤバいんだってみんな見るだろ、そう思ったの? バカにすんのもいいかげんにしなさいよ。
冒頭でそんなクソみたいなイカサマを見せられて、残り約1時間をどう楽しめというのよ。
先週、ようやくエピソード1が始まったと書きました。ここからは、本来ドラマが語りたかったストーリーが始まる、これでも少しは楽しみにしてたんです。3人の主人公、3つのシチュエーションが絡まり合うというギミックこそ失敗はしたけれど、ドラマ自体には何かちゃんと芯というか、軸というか、メッセージというか、そういうものが用意されてると期待したんです。ホントにガッカリです。
冒頭の救急車のシーンだけじゃない。記憶が戻ったニノと中川大志のくだりも、江口洋介の策略も、それらしいセリフとカットを並べただけで、まるで成立していない。
あいかわらず大沢たかおのシェフ役はバカで、何かにうつつを抜かしては「はっ、ディナーの準備しなきゃ!」の繰り返し。さっきまで「ディナーの準備っ!」って走り出してたのに、次のシーンでは港の公園で「ビートルズってバンド、知ってるか?」なんて無駄口を叩いてる。で、店に戻ったら戻ったでまた「ギャルソンの奥さん……?」とか言って時間を浪費してる。早くやれよ。
がんばって失敗してることには怒るつもりないけど、今回の冒頭シーンみたいな人様を小バカにした創作行為をする奴に対しては、一生敵でいたいと思いました。いや、ホントに。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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