誰かを愛する人のための映画『ふたりごっこ』主演俳優・久保寺淳インタビュー
#ふたりごっこ #久保寺淳
あなたの大切な人は誰ですかーー。
映画『ふたりごっこ』は、観るものの胸にそんなことを問いかけてくる。
美術館のキュレーターとして働いているあかり(46歳)は、ひとり暮らしながら、食事をきちんと作るなど、丁寧に生活を送っている。ある日、消息不明だった母親が亡くなったとの知らせを受け、向かった老人ホームで、野良猫のような少女、エミコと出会う。行き場所のないエミコが自分の家を訪れた時、最初は拒絶するあかりだが、放っておくことができず家の中に迎え入れる。そのときから、ふたりの時間が動き出して――。
あかりを演じるのは、台湾での俳優活動歴も長い久保寺淳。この秋公開され好評を博した『過去負う者』に続き主役を演じるが、実は主演はこの2作品が初めて。俳優としては遅咲きだが、心の奥底まで描き出す落ち着いた演技を見せ、これからの活躍が期待される。その久保寺淳に、本作『ふたりごっこ』に込めた思いを聞いた。
「この映画のあかりは46歳で、かつて子どもを事故で流産して結婚生活がうまくいかなくなり、いまはひとりで暮らしています。私もそれに近い年ですけど、女性にとっての46歳って、子どもがいない人にとっては一生子どもを産まないことがほぼ確定する頃。でもまだまだ人生は続いていくわけで、じゃあこれからどう生きていこうかって改めて考える年代だと思うんです」
『ひとりで暮らすのが楽しい』と言いながらも、本当は誰かと一緒に幸せになりたいのでは。そんなことを心の奥底では考えていたあかりの前に、エミコという少女が突然現れる。エミコは食事といえばカップラーメンとか菓子パンばかりで、おそらく手作りの料理をほとんど食べたことがない環境で育ってきた。そんなエミコの面倒を見ているうちに、あかりの中で人生に対してこれまでとは違った気持ちが芽生えていくーー。
過去に交通事故で子どもを流産したことで自分を責めている、どちらかというとネガティブなあかりという女性について、自分とは性格が違うと最初は思った久保寺。だが、そんな彼女と自分の共通するところを感じたときがあった。
「監督とLINEをしていて、『もっと有名な俳優さんが主演だったら、プロモーションもうまくいったかもしれないのに、私が主演で申し訳ないです』と書いてしまったとき、『あかりみたいになってるよ』と言われたんです。あかりのようなネガティブな部分が自分にもあることに気づいて、それから一層あかりの心に近づけるようになりました」
人恋しくなる季節とも言われる年末に公開される本作を、どんなふうに見て欲しいか聞くと、こんなふうに答えた。
「いまって結婚したり子どもを持つことがすごく難しい社会になっているから、誰もが家族を持っているわけじゃないし、家族という仕組みからはぐれている人はたくさんいる。けれど、人と人のつながりは血縁だけがすべてじゃない。他人同士でも家族みたいな信頼関係を築けることもあるんだって、私もこの映画のヒロインを演じて気づきました。観た人が抱えている孤独みたいなものを癒せる映画になっていればいいなと思っています」
寂しく感じても、人は決してひとりじゃないーー。映画『ふたりごっこ』は、そんなことを観るものの胸に感じさせてくれる優しい作品だ。
米国・台湾での俳優修行を経て海外の映画やドラマにも多数出演するトライリンガル女優。2018 年、ヒロインを演じた李榮浩 MV『年少有為』 は中華圏で大ヒット。2023 年、映画『ふたりごっこ』(冨樫森監督)と 『過去負う者』(舩橋淳監督)で念願の主演を果たす。
『ふたりごっこ』
日本/2023年/カラー/83分/シネマスコープ/日本語
久保寺淳 成海花音 吉沢悠 監督:冨樫森 原案・脚本 窪田信介 撮影:鈴木周一郎 照明:斉藤徹 録音:出口藍子 音楽:大友良英
https://futari-gokko.com/
【上映スケジュール】
12/14(木)~12/28(木)
横浜シネマノヴェチェント
https://cinema1900.wixsite.com/home
12/14(木) 14:10
12/15(金) 14:10
12/18(月) 12:30
12/21(木) 12:30
12/22(金) 12:30
12/24(日) 14:10
12/25(月) 12:05
12/26(火) 10:30 / 12:05
12/27(水) 10:30 / 12:05
12/28(木) 12:05 / 14:10 / 16:10
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