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「東大ブーム」の次は「東京藝大」か――フジが掘り当てたバラエティ番組の新たな鉱脈

「東大ブーム」の次は「東京藝大」か――フジが掘り当てたバラエティ番組の新たな鉱脈の画像1
フジテレビ『藝大よ、地球を救え。』公式サイトより

 ここ数年、テレビ界を席巻しているのが「東大生」。『さんまの東大方程式』(フジテレビ系)、『東大王』(TBS系)など、偏差値ヒエラルキーの頂点に立つ東京大学の学生を取り上げた番組が大流行だが、そろそろブームに陰りも見えるなか、それに代わる新たなスター候補が現れた。

 26日、フジテレビが「史上初の東京藝大バラエティ」と謳うバラエティ番組『藝大よ、地球を救え。』を放送。学歴ブランド番組に新たな地平を切り拓きそうだ。

「『藝大よ』は、東京藝術大学教授でクリエイティブディレクターの箭内道彦と、同大の客員教授を務めるさだまさしの企画で実現した番組。アートの力を必要としている企業や自治体と東京藝大の学生をマッチングさせ、アートの力で世の中を変えることを目指す内容で、6月に続く第2弾となる今回は、神奈川県大磯町の産業観光課、すき焼きでおなじみの人形町今半、千葉県鴨川市の観光施設の要望に学生が応えました。各クライアントのオーダーは、モニュメント制作、オリジナルグッズ制作、さらに“SNSで映えるフォトスポットが欲しい”というもので、番組は学生によるプレゼンの様子から紹介。勝ち抜いた藝大生の制作風景や実際に納品する姿に密着し、クライアントが満足する様子には、学生のみならず箭内やさだからも笑みがこぼれました」(テレビ情報誌記者)

 藝大といえば日本の芸術系大学の最高峰。卒業生には横山大観、平山郁夫、藤田嗣治、佐伯祐三、岡本太郎、村上隆、坂本龍一、葉加瀬太郎、野村萬斎らがおり、日本の芸術界をリードしてきた。東大に入るのが難しいのは言うまでもないが、入るだけなら藝大はさらなる難関だ。

「偏差値だけを見れば藝大を上回る大学はありますが、合格するのが難しい点では藝大は特別。特に美術学部は倍率も高く、1浪や2浪は当たり前という超難関です。学問の特性上、定員が少ないのも特徴で、音楽学部の指揮科の定員は2人。ここまで行くと、実力を超えた何かがないと現役合格は難しいでしょう」(教育ライター)

 そんな藝大だが、テレビ界と交わる要素はいったいどこにあるのか。

「これまでアートは“高尚”“小難しい”“訳がわからない”という文脈で捉えられがちでしたが、昨今は自己表現の手段という側面より、社会的課題の解決を目指す流れが強くなっています。また、多様性の実現が強く意識されるようになるなかで、アートで自由に表現することの重要性が改めて脚光を浴びている。最近のテレビ界はSDGsにも強い関心が向けられており、アートとのコラボが実現しやすい状況は整っています」(カルチャー誌編集者)

 そのさきがけとなったのが今回の『藝大よ、』だが、視聴者にアートが受け入れられる土壌はあるのだろうか?

「日本人はとにかく権威に弱い。東大ブランドを全面に押し出した番組が当たったのは何よりの証拠ですが、“東京藝大”というブランドも強力で、新鮮味もあります。藝大の存在はこれまでずっと謎に包まれていましたが、藝大生の生態に迫る『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』(新潮社)という本が2016年に発売され、40万部以上を売り上げる大ヒットを記録しました。興味がある人は少なくなかったということです。最近の話題で言えば、King Gnuの井口理は藝大の卒業生ですし、乃木坂46の池田瑛紗が今年、藝大に合格して大きな話題になりました。“観せる”や“聴かせる”のが命の芸術はテレビで映えますし、アートなら老若男女にも受け入れられやすい。スポンサーに好まれそうな企画を立てることもできそうですし、現場レベルでいえば、自己顕示欲が強い藝大生なら出演してくれる人を探しやすいというメリットもあります」(キー局関係者)

 東大王の次は藝大王かもしれない。

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2023/12/08 09:00
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