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『RIZIN.45』でドーピング陽性だった木村ミノル、陰性でも“シロ”にならない理由

『RIZIN.45』でドーピング陽性だった木村ミノル、陰性でもシロにならない理由の画像1
榊原信行CEO(写真/Getty Imagesより)

 大みそかに開催が予定されている格闘技イベント『RIZIN.45』の会見が24日に都内で行われ、木村“フィリップ”ミノルのドーピング検査結果が陽性だったため、予定されていた安保瑠輝也戦が中止になったことが発表された。

 木村は6月のロクク・ダリ戦後に行ったドーピング検査の結果が陽性で、半年間のRIZIN出場停止処分を受けていた。その後、11月11日に大みそかの復帰が発表されたが、「米国の検査機関によるドーピング検査の結果待ち状態で、これが陽性だった場合には試合は中止となる」との条件付きだったという。

 対戦を発表した会見で安保が「(ドーピングが)抜けてきた感じある?」とイジると、木村は「もっかい大きくしようか」と挑発的に返し、「ドーピングがなくても不安は無い、安保だからイージー」と不敵な笑みを浮かべていた。

 24日の会見冒頭、榊原信行CEOは「検査の結果が出ました。なんと陽性。また陽性かよっていう……。お粗末な結果になりまして……。木村ミノルと安保瑠輝也の試合は実現しません」と苦笑。前回の検査に比べて「引っかかっている項目数が減っているのは事実だけども、引っかかっているのも事実で。まだ完全ではないということで」とし、「2024年に帰ってこれたらいい」と復帰させる意向を表明した。

 これについて会見に出席しなかった木村は、コメントを発表。安保とファンに謝罪しつつ、「必ず戻ってくるので来年このカードが実現できるように頑張ります」と復帰に意欲を見せたのだが……。

「古巣のK-1時代からドーピング使用疑惑をささやかれていた木村だが、まさかRIZIN側が検査を実施するとは夢にも思わなかったのでは。RIZINは業界ではドーピング検査はしないことで知られていますが、2回も引っかかったら永久追放のレベル。米の世界最大の格闘技団体・UFCは厳格な薬物検査を実施し、違反した場合、かなり厳しいペナルティーを課せられるので選手たちも細心の注意を払っている。それに比べ、RIZINは木村には検査を実施したが、特に強豪外国人たちには相変わらず“グレーゾーン”のまま。世界的団体を目指すならもっと検査を厳格に行うべきだが、そもそも、業務提携している米の格闘団体・ベラトールも検査がないので、同団体と交流している限り、厳格な検査は行わないままだと見られている」(格闘技ライター)

 これまでキックボクサーとして活躍していた木村だが、キックボクシングでの戦績は37勝10敗1分2無効試合。2つの無効試合は今年6月のダリ戦、その前戦の3月の試合だったが、ほかにも“ドーピングパワー”で粉砕された選手たちがいるはず。今となってはヤブの中だが、検査結果が陰性で復帰できたとしても、そう簡単にドーピングパワーは衰えないようだ。

「すでにYouTubeなどで指摘している専門家もいるが、ドーピング使用を止めても、使っていた時の状態を止めてから10年ほどは筋肉の細胞が覚えている。結果、使用していない人と同じトレーニングをしても効果がぜんぜん違うので完全な“シロ”とは言い切れない。なので、2回も引っかかった木村を復帰させるのはスポーツ界の常識ではあり得ないだろう」(薬物に詳しいスポーツライター)

 復帰のリングでは、木村に盛大なブーイングが浴びせられることになりそうだ。 

黒崎さとし(編集者・ライター)

1983年、茨城県生まれ。ライター・編集者。普段は某エンタメ企業に勤務してます。

Twitter:@kurosakisatoshi

くろさきさとし

最終更新:2023/12/02 09:00
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