ラランド・サーヤの実体験コンテンツ「お母さんヒス構文」が大ブレーク中
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お笑いコンビ・ラランドが公式YouTubeに公開した動画『お母さんヒス構文解説 ~実践編~』が話題だ。公開からわずか2日で40万回に迫る視聴回数を数え、各SNSでも大きな評判を呼んでいる。
「お母さんヒス構文」とは、ラランドのGERA(ラジオアプリ)番組『ラランドの声溜めラジオ』の一コーナーから始まった企画だ。もともとはサーヤが実母とケンカした際に、実母から投げかけられたヒステリックな言動をフリートーク内でネタにしたことから始まり、投稿コーナーとして募集されるようになると、リスナーからハイクオリティな「お母さんヒス構文」が寄せられ、大いに番組を盛り上げた。
サーヤが披露した実母とのエピソードは、以下のようなもの。
サーヤがある日、実家に帰ることになる。実家では保護ネコを飼っている。サーヤはネコアレルギーがあり、自分が帰っている日だけでも誰かに預けられないかと相談を持ち掛ける。すると、母親からこんな返事が返ってくる。
「何? 捨てろっていうの? この子猫2匹を、今すぐ捨てろっていうの?」
こうした論理の飛躍や、論点のすり替えによって相手を悪者にする言葉をヒステリックに発するお母さんの様子を指して、サーヤは「お母さんヒス構文」と名付けたのだ。
ラジオでの盛況を受けて、ラランドのYouTubeでは今年1月に『お母さんヒス構文解説』という動画を公開。今日までに300万回近く再生され、「お母さんヒス構文」は瞬く間にネット上で拡散した。さらにラランド自身が「お母さんヒス構文」をテーマにしたドラマ『HYSTERIC FAMILY』を制作すると、ネット掲示板ユーザーや有名インフルエンサーがオリジナルの「ヒス構文」を創作して公開するなど、ラランドの手を離れて一種の社会現象になりつつあった。
そんな中での、今回の『お母さんヒス構文解説 ~実践編~』の公開。ここでサーヤは、格の違いを見せつけることになる。
「見知らぬインフルエンサーによって道を外れていったヒス構文を正しく直す生みのお母さんの姿に感動」
「高品質ヒス構文を大量に産み出して海賊版との力の差を見せ付けていく始祖の鑑」
「インフルエンサーがよく分からないヒスを流行させてる中、公式にちゃんとしたヒス構文を発信してくれるの嬉しい」
この動画につけられたコメントの引用である。原点にして頂点。サーヤの発する「お母さんヒス構文」のクオリティは、やはり他を寄せ付けなかった。
繰り返しになるが、「お母さんヒス構文」というコンテンツは、サーヤの実体験から生まれている。サーヤの口から流れるようにあふれ出るオリジナルの「お母さんヒス構文」は、これまでサーヤが実母から浴びてきたヒスの甚大さを示す証拠だ。
こういうときだ、お笑いはいい。そう思う。
サーヤ自身が、母親から浴びせられてきたヒステリーに傷ついてきたはずだ。だが、それをコンテンツに仕立て上げることで、傷は浄化され(浄化され、などと安易に言ってしまうが)、金を稼ぐこともできる。
さらに、サーヤの「お母さんヒス構文」は、単なるお笑いのコンテンツとして世間に受け入れられていたわけではない。実際にこうした親の言動に苦しみ、悩んでいた人々に共感を与え、世の中には同じ被害を受けている人間がたくさんいるのだという情報を与え、そのうえで笑えるものになっている。
立川談志は「落語とは、人間の業の肯定である」と言った。サーヤの「お母さんヒス構文」は、決して母親の業を肯定しているわけではない。その業によって涙を流してきた人々の「被害」を、多くの他者と共感を分かち合うための「財産」へと転化させているのだ。
サーヤの発明した「お母さんヒス構文」は、確かに多くの人の心を救っている。そして、もっと多くの人を、ただシンプルに笑わせている。
(文=新越谷ノリヲ)
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