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日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > 『M-1』ワイルドカード「なぜそのネタを?」

『M-1グランプリ』ワイルドカード開幕! 「なぜそのネタを……?」な2組

パンプキンポテトフライ | TVer

 年末の漫才頂上決戦『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)のワイルドカードが27日、開幕した。

 惜しくも準々決勝で敗退した93組が準決勝の最後のイスをかけて争うワイルドカード。そのメンバーの中にはインディアンスやミキなど、ファイナル常連組も含まれる。

 このワイルドカード、今年から大きくシステムが変更になっている。昨年までは動画配信サービスGYAO!上で最多再生回数を競ったが、今年はGYAO!のサービス終了に伴い、その舞台をTVerへ移行。再生回数ではなく、SMSによる電話番号認証を伴った投票制となり、期間中1人1票のみが有効となる。

 今年の結果を見るまでもなく、『M-1』の準々決勝といえば、ファイナル常連組も容易く振り落とされる“鬼門”。各漫才師とも、いわゆる勝負ネタをここに持ってくるのが定石となっている。

 それだけに、このワイルドカードは各組の勝負ネタが見られる格好の機会というわけだ。

 そんな中、準々決勝終了直後から、ファンの間で「なぜそのネタを……?」と訝しがられていたコンビが、2組ある。

 毎年、準決勝進出を確実視されながら今年もその軍門に下ったカナメストーンと、“ネオクズ”として知名度を上げつつある谷拓哉を擁するパンプキンポテトフライだ。

 カナメストーンが披露したのは、「裏拍」と呼ばれるネタ。東峰零士の歌に合わせて手拍子を打つ山口誠が徐々に暴走し、客席を煽りながら「裏の拍」を撮り続けるという、およそ賞レース向きとは思えないお祭り漫才だ。

 パンプキンポテトフライのほうは、もっと賞レース向きでない。『M-1』がゴールデンで放送されるテレビバラエティであることを完全に無視した、比類なき下ネタである。幸い、TVerでノーカットで配信されているので、実際に確認してみてほしい。

 カナメストーンとパンプキンポテトフライは、準々決勝で当然のようにバカウケをさらい、当然のように敗退してワイルドカードに回った。

 2組のネタ選びについて、25日更新のPodcastラジオ『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』の中で気になるエピソードがあった。

「まさかカナメさんが、裏拍のネタをやるとは……」そう切り出したのは、真空ジェシカの川北茂澄。体調不良のガクに代わって出演していたママタルトの2人も、笑いながら賛同している。この3組は、営業やライブで頻繁に共演する間柄だ。

 ママタルト・檜原洋平は、カナメストーンが『M-1』に向けた調整ライブという位置付けである舞台でも「裏拍」を何度も披露していたことを指摘し「なんてカナメさんは常にお客さんを楽しませてくださる、素晴らしい先輩なんだ」と感じていたといい、それが『M-1』に向けた本ネタの調整だとは思っていなかったと明かした。

 また、大鶴肥満も準々決勝直前のライブで出演者のほとんどが『M-1』用のネタを叩く中、カナメストーンがまた「裏拍」だったため、「もう『M-1』用の(別の)ネタは調整しきっていて、この場のお客さんを笑わせるためだけにやっている」と感じ、感銘を受けたのだという。

「まさか、準々決勝で、やっちゃダメですよ!」

 それが3人の総意だった。

 パンプキンポテトフライも同様に、「谷もね、あんなのやるわけないでしょって言ってたんだよね」(川北)というド下ネタだが、「やっていく中で、仕上がってしまったんだろうね」(同)と語り、真空ジェシカの伝説的下ネタ「吉住」と比較して、「ああなっていたかもしれない」と震え上がっていた。

「仕上がってしまう危険がある」

 それは、実際に『M-1』を戦っている漫才師にしかわからない感覚だろう。舞台の下から見ていれば「もっといいネタあるだろう」と感じても、実際、本人たちの感覚はまるで別なのかもしれない。

 例えば2009年『M-1』決勝、ファーストステージで「鳥人」を披露し、審査員・島田紳助から100点を引き出した直後、誰もが目を疑った笑い飯の2本目のように。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2023/11/27 22:53
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