YOASOBI「アイドル」のレコード大賞選考漏れの理由は「会場での生歌唱」か
#レコード大賞 #YOASOBI
芸能界における「謎のパワー」を感じた人も多かったようだ。
12月30日にTBSが放送する年末恒例の『第65回 輝く!日本レコード大賞』の候補曲が発表された。「優秀作品賞」には今年話題を呼んだ新しい学校のリーダーズの「オトナブルー」やAdoの「唱」がノミネートされたが、あの楽曲が入っていなかったことに関係各所では大ブーイングが飛び交っている。
「2023年のナンバーワンヒット曲といえば、YOASOBIの『アイドル』一択です。4月にTVアニメ『推しの子』のオープニング主題歌に起用されるや、あらゆるチャートで異次元の数字を叩き出し、レコード大賞での最優秀作品賞が確実視されていました。しかし、フタを開けてみれば選外となり、『作曲賞』のほうに回されてお茶を濁された格好です」(音楽ライター)
これにはファンも唖然とさせられたようで、「誰がどう考えてもYOASOBIのアイドル以外ない」「レコード大賞というものがいかに茶番かがわかる」などの声が上がっている。
その一方で、音業業界ではかねてから「アイドル」が「優秀作品賞」にエントリーされる可能性は低いだろうといった見方も多かったという。スポーツ紙の音楽担当記者は語る。
「レコ大は授賞式の中継番組を放送しているTBSが後援に入っていることもあり、受賞アーティストの生歌披露が暗黙の了解となっています。特に大賞楽曲のパフォーマンスは番組の最大の見せ場ですからね。今年もNHK紅白歌合戦への出場こそ決定しているものの、元々YOASOBIは民放テレビ局の音楽番組でのパフォーマンスに関しては消極的な姿勢を貫いており、その点が『大賞』受賞のネックになるだろうと見られていたんです」
そうした中、今回、YOASOBIの「アイドル」が「優秀作品賞」の選考から漏れたことで、こうした見方が現実となった格好だ。
「『レコ大』サイドとしても中継番組の高視聴率獲得のために何とかYOASOBIを引っ張り出そうと水面下で交渉を続けていたようです。YOASOBIのレーベルはレコ大とは何かと縁の深いソニー・ミュージックエンタテインメントということもあり、大賞受賞=生歌披露の可能性も取り沙汰されていたのですが、アーティストサイドが乗り気ではなかったんでしょう」(前出のスポーツ紙の音楽担当記者)
「レコ大」といえば、1970年代から1980年代には『NHK紅白歌合戦』と並び称される大晦日の国民的音楽番組として認知されていた。しかし、2016年に賞の買収疑惑を「週刊文春」(文藝春秋)が報じ、さらに翌年には同誌でかつてレコード大賞の最高責任者であった作曲家の叶弦大が「大手芸能事務所バーニングプロダクション周防郁雄社長がレコ大を私物化している」と暴露。これにより権威は失墜した格好だ。
その後も、2017年には星野源の「恋」やRADWIMPSの「前前前世」が、2018年には米津玄師の「Lemon」やDA PUMPの「U.S.A.」がそれぞれ国民的ヒットなったものの、いずれも大賞には乃木坂46の楽曲が選ばれるなど、世間の印象とはかけ離れた選考が批判を浴びている。
沢田研二の「勝手にしやがれ」が大賞を受賞した1977年には視聴率50.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録したが、昨年はワースト2位の10.7%にまで落ち込んでしまった。世間から「価値のない賞レース」と認識されれば、視聴率も1桁台……となりそうだ。音楽業界最大の賞レースとして知られる「レコ大」だが、それでも“旧態依然”でいるのだろうか。
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