『M-1グランプリ』準々決勝・大阪 若手にとっての「NGKに立つということ」
#M-1グランプリ #Dr.ハインリッヒ
今年も『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)の全日程と放送予定が発表され、予選もいよいよ佳境に入ってきた。
20日には大阪で準々決勝が行われ、38組の漫才師が火花を散らした。結果は21・22日の東京準々決勝を待っての発表となるが、関西で活動する若手芸人にとって、準々決勝はひとつの夢舞台だ。なぜなら、会場がなんばグランド花月(NGK)だからだ。
漫才の聖地、笑いの殿堂、その通称はさまざまだが、関西の漫才師にとってNGKは憧れの舞台であり、目標である。今年も多くの芸人が準々決勝進出によって初となるNGKの舞台を体験することになり、その思いを明かしている。
MBSアナウンサーとして知られる「ヤングタウン」の福島暢啓は、取材に対し「NGKの舞台に立つのが夢だったので、今日それが叶いました」と答え、相方でピン芸人・末高斗夢としても知られた落語家の錦笑亭満堂は、X(旧Twitter)に「NGKの舞台!震えました。しびれました!漫才楽しい!ただ辛い!4分なのにむちゃくちゃつかれる!」とポストしている。
また、8年目のコンビ・ボニーボニーの花崎天神は自らの「note」を更新。「ずっと立ちたかったNGKで漫才をさせていただいて死ぬほど嬉しかったです!」と喜びの声を記し、「初めてNGKで漫才をさせていただいて、その立場に恥ずかしくない漫才をしなくちゃあいけないな!とそんな思いで(3回戦の)合格者発表からこの20日間を過ごしてきました。」と、そのプレッシャーも明かしている。
2020年、そんなNGKの『M-1』準々決勝で、涙をのんだコンビがいる。双子の女性漫才師、Dr.ハインリッヒだ。
その年、ラストイヤーだったDr.ハインリッヒの準々決勝は、ウケにウケた。誰もが準決勝への進出を確信する出来だったが、結果は敗退。GYAO!とYouTubeで公開されたネタ動画は圧倒的な再生数となり、ファンの間では審査員に対する批判が沸騰した。
「何!? って言うときあるやんか。ウケたのに。通ったと思ってん、ラストイヤーの準々決勝。いけたいけたと思ってたら、(合格者リストに)入ってへんくて、なんじゃこれって。ホンマ腹立ったよな」(彩)
「悔しいより腹立ったよね。ムカつくなっていうのが最初やったな」(幸)
今年3月、ラジオ『AマッソのMBSヤングタウン』(MBSラジオ)にゲスト出演したDr.ハインリッヒが、当時を振り返った言葉である。その悔しさは察するにあまりあるところだが、Dr.ハインリッヒは、それが終わりではないことを証明してみせた。
22年2月、Dr.ハインリッヒは、そのNGKで初の単独ライブを打つ。ラストイヤーの「M-1準々決勝敗退」が界隈にインパクトを与え、2人は多くのファンを獲得していた。結果としてNGKの800席を埋めて見せる。
「NGKを満席にすると、(吉本)興業の幹部からチーズケーキをもらえるんですよ」
同じラジオで、誇らしげに明かした裏話。勝者ばかりではない。『M-1』準々決勝のNGKは、敗者にも夢を与える。
(文=新越谷ノリヲ)
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