『M-1』ワイルドカード投票制に GYAO!の「最多再生回数争い」が生んだ不公平と感動ドラマ
#爆笑問題 #M-1グランプリ #太田光 #ウエストランド #井口浩之
今年はクリスマスイブの放送となった年末の漫才頂上決戦『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)。その放送時間が17日、発表されている。
今年の『M-1』は12月24日の午後3時から6時30分まで「敗者復活戦」、その後6時30分から10時10分までが決勝となり、通して7時間10分の生放送になるという。
また、今月20日~22日に行われる準々決勝に出場する123組のうち、準決勝へ進めるのは30組となり、敗退した出場者から1組が準決勝へ進む「ワイルドカード」は今年も実施されることになった。
昨年までは動画配信サービス「GYAO!」で最多再生回数を競ったワイルドカードだが、GYAO!のサービス終了もあって、今年は「TVer」で実施。準々決勝敗退者の全ネタが公開され、もっとも面白かった1組に1票を投じるシステムとなる。投票には電話番号によるSMS認証が必要となり、従来より厳密なシステムといえそうだ。
もともと、単純に再生回数を競うGYAO!時代のワイルドカードには賛否があった。
18年には結成2年目の魔人無骨(現・令和ロマン)がワイルドカードを勝ち抜いて準決勝に進出したが、この際にはGYAO!の画面レイアウトの最上段に同コンビが表示されており、「上から見ていく」という慣習のある視聴者を多く獲得したとして、批判を集めた。その後、レイアウトはランダムになるなど改善は図られたが、組織票的な視聴方法や知名度による有利不利など、さまざまな問題が指摘され続けてきた。
だが、再生回数を競うワイルドカードだからこそ生まれたドラマもある。毎度のことで恐縮だが、またウエストランドの話だ。
2016年、ウエストランドは初めて進出した準々決勝で敗退。ワイルドカードによる準決勝進出に最後の望みをかけていた。とはいえ、当時は知名度も人気も皆無だったウエストランドにとって、最多再生数の獲得は絶望的。本人たちも、翌年に向けて心を切り替えていたはずだ。
その敗退後のワイルドカード期間中、ウエストランドは事務所のボスである爆笑問題・太田光に会うことになる。その顛末が、2016年12月8日配信のYouTube『ウエストランドのぶちラジ』で語られている。
『M-1』準々決勝での敗退が決まった後、ウエストランドが太田と初めて顔を合わせたのは、太田の実母の葬儀の場だったという。井口浩之は、母を亡くしたばかりの太田に『M-1』の敗退報告をするのもはばかられると感じ、挨拶だけして帰るつもりだった。ところが、井口が喪主である太田の控室を訪ねると、太田はおもむろに井口を指さし、こう言ったのだという。
「おい、毎日50回以上(GYAO!のネタ動画を)再生してるぞ。どうやったら勝ち上がれるんだよ!」
重複するが、実母の葬儀の喪主である太田が、井口の顔を見ての第一声がそれだったのだ。
「本当に僕は感動して、この人に一生ついていこうって思う気持ちって、あるんだなって。本当にすごいじゃないですか、あんな忙しい方が……」
いろいろ批判のあったGYAO!のワイルドカードだが、このエピソードが聞けただけで、その価値はあったなと感じさせるほどの『ぶちラジ』だった。
ちなみにこの回、河本太は開始30秒ほどで収録マイクが音を拾うほどの屁を放ち、『R-1グランプリ』(フジテレビ系)の話題になると、即座に「R-1が、あ~る」とダジャレを繰り出すなど、こちらも本領を発揮していた。
(文=新越谷ノリヲ)
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