歴史大作映画『ナポレオン』がより面白くなる妻、ジョゼフィーヌへのドン引きラブレター
#ナポレオン
歴史超大作『ナポレオン』が12月1日(金)に公開される。
英雄と呼ばれる一方で、悪魔と恐れられた男、ナポレオン。その壮大な生涯を、総勢8000人を超えるエキストラと、多額な製作費をかけて描き出した本作は、観客にまるで歴史の中に入り込んだような感覚を与えてくれる、没入感たっぷりの傑作に仕上がっている。
監督は、『エイリアン』『ブレードランナー』のほか、『グラディエーター』『キングダム・オブ・ヘブン』『エクソダス 神と王』といった歴史大作の数々でも知られる巨匠、リドリー・スコット。主人公、ナポレオンに扮するのは、『グラディエーター』での主人公と対峙する皇帝や、『ジョーカー』での怪演が記憶に残るホアキン・フェニックス。そして、ナポレオンの妻、ジョゼフィーヌには、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニングPART ONE』(23)や『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(19)で注目されるヴァネッサ・カービーが扮した。
フランス全土からエジプト、ロシアまでを舞台とした戦場シーンの数々を縦軸に、妻、ジョゼフィーヌとの愛憎劇を横糸に展開される本作。ヨーロッパを戦乱の渦に巻き込みながら、すべてを求めすぎたあまりに愛した女性と一生共に添い遂げることも叶わなかった人生の悲喜劇も、見どころのひとつとなっている。
6歳年上の子持ち女性だったジョゼフィーヌのことを熱烈に愛していたナポレオン。ふたりの関係性に興味を抱いた人は、ぜひ『ナポレオン言行録』(岩波文庫)を読んでほしい。
ジョゼフィーヌあての手紙で「私は一日たりとも君を愛さずに過ごしたことはない。一晩たりとも君を腕に抱きしめずに過ごしたことはない。一杯のお茶でさえも、いとしい君から私を遠ざけている栄光と野心を呪わずに飲んだことはない」とか、ジョゼフィーヌが手紙を4日おきにしかくれないことを責め、「私を愛しているのなら日に二度は手紙を書くはずだ」となじるその熱烈な文面に、ドン引き、もといナポレオンに親近感を抱かずにはいられない。
ナポレオンの人生をより詳しく味わいたいという人は、歴史小説家、佐藤賢一の小説『ナポレオン』全3巻(集英社文庫)もお勧めだ。絵画のような壮大な歴史絵巻を大スクリーンで堪能したあとは、映画の尺には収まりきらなかった細かな歴史的背景を、書物で味わうのもまた楽しい時間となるに違いない。
『ナポレオン』
監督:リドリー・スコット/脚本:デヴィッド・スカルパ/出演:ホアキン・フェニックス、ヴァネッサ・カービー、タハール・ラヒムほか。12月1日(金)全国公開。
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