『ジャニーズ帝国60年の興亡』ジャニーズとマスコミの“共犯関係”を暴く
#ジャニーズ
結局は外圧でしか動かないのか、この国は。
今年3月7日、イギリスの公共放送BBCが、ジャニー喜多川によるジャニーズ事務所所属タレントに対する性的虐待疑惑を特集した番組『J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル』を発表。その衝撃的な内容は瞬く間に海を渡り、数々の実名匿名証言が明るみになり、ジャニーズ事務所を崩壊させるまでそう時間はかからなかった。
芸能界どころか日本社会そのものに激震を与えたこのドキュメンタリーの制作に、秘密裏に協力していた出版社がある。長年、ジャニーズ事務所とジャニー喜多川の非道を追及し続けてきた零細出版社・鹿砦社だ。
先月23日、その鹿砦社から一冊の書籍が発売された。『ジャニーズ帝国60年の興亡』。同社が四半世紀あまりにわたって警鐘を鳴らし続けてきたジャニーズ問題、その記録の総決算である。
本書は、同社がジャニーズ問題に取り組むにあたった経緯や、BBCの報道に協力するに至った過程から始まり、90年代に同社から刊行されたジャニーズ告発本について、さらには「週刊文春」(文藝春秋)が大キャンペーンを張ったジャニー喜多川による未成年性虐待告発とそれに対する法廷闘争についての詳細、その「文春」の報道を受けて00年4月13日に開かれた第147回国会「青少年問題に関する特別委員会」の議事録まで、まさしく「ジャニーズ告発」における正史といえる一冊だ。
何故、週刊誌が大キャンペーンを張り、国会で審議されてもなお、ジャニー喜多川の非道行為が糾弾されなかったのか。それは、テレビ・新聞をはじめとしたメジャーマスコミが、この問題を無視し続けてきたからに他ならない。無視どころか、事実上はジャニーズ事務所と結託して揉み消してきたといっても差し支えないだろう。
ジャニー喜多川の犯罪の歴史は、メジャーマスコミの共犯関係なくしてはありえなかったのだ。
ジャーナリズムが正常に機能していれば、いったい何人の少年が救えたのだろう。外圧ではなく、国内のマスコミが良識に基づいて仕事をしていたら、何人の少年が人生を狂わせずに済んだのだろう。
「なぜもっと早く、今のように取り組まなかったのか、マスメディアのご都合主義を嗤う」
本書の前書きの一説だ。本書の内容は、圧倒的であり、情熱的であり、実に示唆的だ。鹿砦社にとって、本書がジャニーズに対する告発系、スキャンダル系の最後の書籍となる可能性が高いという。
この国のジャーナリズムは今、託されている、試されている。
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