『マルコポロリ!』東野幸治に見つかった「パンプキンポテトフライ・谷拓哉」という宝石
#東野幸治 #マルコポロリ! #パンプキンポテトフライ
クズ芸人として、パンプキンポテトフライ・谷拓哉の鮮烈なテレビデビューとなった。
お昼の関西ローカルにもかかわらず、絶妙な線の関東芸人を呼びまくっている『マルコポロリ!』(関西テレビ)、12日放送分は「NEXTクズ芸人緊急参戦SP」として、クズとしておなじみの岡野陽一、相席スタート・山添寛、ダイタクに加え、新たなクズとしてパンプキンポテトフライ・谷拓哉が出演した。
番組は前半から、同期である岡野、山添、ダイタクの4クズを中心に展開。MC・東野幸治の軽妙な回しによって、鉄板エピソードの数々が語られた。
そんな中、谷はひとり蚊帳の外に置かれ、ほとんど発言できない時間帯が続く。ただ座って、笑っているだけの谷を差し置いて、番組は終盤に差し掛かる。
ふとした話題で、東野が谷に話を振ったときだった。
「全然関係ないんですけど──」
谷は、「みんなと違うクズ」という自己演出をするために、あえて沈黙を守っていたことを告白。
「それをすごい、後悔してます」
足を踏み鳴らして爆笑する岡野。スタジオの空気は、一気に谷のものになった。
独特の穏やかな語り口で谷が何か言うたびに、拍手笑いが起こるというトランス状態に陥ったスタジオで紹介されたVTRは、「谷は8年間、家がなく、支援者の援助を受けて暮らしている」という、まさしく“新種クズ”な内容。VTR明けも谷の独壇場となり、完全に場を掌握したまま番組は終わっていった。
こういうのを、スター性、タレント性というのだろう。あるいは、アイドル性ともいえるかもしれない。ただただ、誰もが谷の発言を聞きたくなってしまう。谷の言葉を待ってしまう。この日の『マルコポロリ!』は、まちがいなく谷の番組だった。
そんな谷の不思議な魅力が存分に発揮されている動画が、YouTubeに公開されている。チョコレートプラネットの「チョコレートプラネットチャンネル」で今年5月に配信された「マネーのクズ -谷拓哉(パンプキンポテトフライ)編-」だ。
「マネーのクズ」は、往年のバラエティ番組『マネーの虎』(日本テレビ系)のパロディ企画。松尾駿がMCの吉田栄作役で場を取り仕切り、社長役の長田庄平が“クズ相談者”の話を聞いて、納得すれば投資を行うというもの。実際に長田を説得できれば、長田のポケットマネーから金銭を受け取ることができるというガチンコ企画で、社長役には長田に加えて、パンサー・向井慧やシソンヌ・じろうなど金に苦労しなくなった芸人たちが参加することもある。
谷の回では、社長に長田とじろう。谷は「父親に会うため」という理由で70万円の投資を求めてきた。ちなみに谷と長田・じろうは初対面だった。長田は谷の事務所も芸歴も、漫才かコントかも、何も知らないという状態からのスタートである。
長田はこの企画で、金を出すこともあれば出さないこともある。若手芸人が、いかに長田を説得するかというのがこの企画の醍醐味なのだが、結論から言って、谷は70万円を持って帰ることになる。当初の目的だった「父親に会うため」は、いつの間にか「引っ越し資金」にすり替わったが、クライマックスで長田とじろうが「すごいですね」「すごいよ」「彼に惚れました」「感動しました」と繰り返す様子は、谷の話術と人間としての魅力を証明するものだった。チョコプラ長田とシソンヌじろうである。そんなに簡単に人に惚れたり感動したりするような芸人ではない。
さらに、この動画には続きがある。70万円を受け取った谷が引っ越しをせず、まだホテル暮らしを続けているという疑惑が持ち上がるのだ。「マネーのクズ」には、相談した目的以外の使い道で金を使った場合、返済しなければならないという掟がある。
長田は谷を呼び出し、疑惑を追及する。その様子が、「マネーのクズ【特別編】~谷の言い分~」という動画に収められている。ここでも長田を含む共演者は谷の話術に翻弄され、笑いながら頭を抱えるしかなくなる。
どんな形かはわからないが、パンポテ・谷という名前が日本中に知れ渡る日も遠くないだろう。こんなクズがもてはやされる社会がいい社会だとも思わないが、何しろめっぽう面白いのだから、仕方がない。
(文=新越谷ノリヲ)
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