佐久間宣行、食レポマイスターになる 「初食レポ」から、わずか2年での急成長
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バラエティ番組を見ていて、新人タレントの成長を目の当たりにするのは楽しいものだ。その気持ちは、若者に対してだけでなく、年上のおじさんに対しても同じであることを知った。
その新人おじさんタレントの名は、佐久間宣行という。『ゴッドタン』(テレビ東京系)や、Netflixの『トークサバイバー』などで知られるテレビプロデューサー・演出家である。
Tverで独占配信されている関西テレビ制作の『美味いには理由(わけ)がある~名店の職人技~』に、千原ジュニアとともに、佐久間は出演している。第1回では、1年以上予約が取れないという東京・日比谷の寿司店「鮨 なんば」を訪れ、その絶品料理に舌鼓を打った。
当然だが、ここでは日本最高峰の寿司が提供されることが約束されている。出演者には、その味を視聴者に伝えるという役割がある。実際に料理を食べてレポートする、いわゆる「食レポ」という仕事だ。
例えばジュニアと佐久間の前に供されたのは、厳選された食材に丁寧な仕事を施された、あん肝のつまみ。
これを口にしたジュニアは、「すごいわ、これは……ケーキや……すごい……」と、言葉を失ってしまう。トークに関しては達人中の達人であるジュニアでさえ、目を丸くして圧倒されるしかないその味について伝える作業を、ここで佐久間が引き取る。
このとき、おそらくは佐久間の中で、「ジュニアさんのリアクションで衝撃は伝わったはず、あとは具体的な味の説明をしなければ」という責任感が生じたのだろう。タレントとしては新人でも、番組作りについてはエキスパートだ。
このあん肝について、佐久間が驚愕の食レポを披露する。
「口に入れた瞬間から原型をなくし始めるのに、味だけはずっと口の中で爆発し続ける……」
なんという、具体的で感情的な表現。しかも、あん肝が舌に触れてから飲み込むまでの時系列まで感じさせてくれる。ここまでパーフェクトな食レポは、あまり記憶にないほどだ。
さらに、白イカのにぎりには「舌中に(味が)まとわりついて、旨味がくっついてくる。新次元のイカ」、毛ガニのにぎりには「カニの旨味が爆発してる中に、つなぐ感じでシャリの旨さがくる」、シマエビに対しては「エビを3、4噛みしたところで味噌の旨味が回ってきて、しかも味噌の香りが立つ」と興奮して見せたかと思えば、マグロの赤身には「……酸味と……バランスがすごくいい……」と声を潜めて感慨を演出する。まるで次々に出てくる寿司のコースに寄り添うような、食レポのフルコースである。
ずっとテレビの仕事をしているのだから、佐久間ならそれくらいできても当然だろう。そう思われるかもしれない。
確かに、毎週1時間半の生放送である『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』(ニッポン放送)は5年目を迎え、今春からは深夜バラエティ『オールナイトフジコ』(フジテレビ系)のMCも務めている。数々のCM仕事も舞い込み、先日の『ワイドナショー』(フジテレビ系)では、東野幸治が「マツコ・デラックス以来の衝撃」と評するほどの存在である佐久間。出役としての実績も、重ねてきてはいる。
だが、それでもやはり、今回の寿司の食レポには、佐久間のタレントとしての成長を感じずにはいられないのだ。
2年前、佐久間は生まれ故郷である福島・いわき市にいた。地元テレビ局が制作するロケ番組『サクマ&ピース』(福島中央テレビ)に出演していたのだ。共演は、同郷のアルコ&ピース・平子祐希。詳細は省くが、佐久間が“出役”として活動し始めるきっかけを作った人物でもある。
この番組で佐久間は、生涯初の食レポを披露している。その年の「お弁当お惣菜大賞」を受賞している日本一のおにぎりを試食することになったのだ。場所は地元のスーパーの一角、おにぎりの具は、しまほっけだ。
「いや~、うれしいなぁ~」などと、のん気におにぎりのパッケージを開けようとする佐久間だったが、平子から「もう始まってっから」と叱られ、そのパッケージに海苔の湿気らない細工がされていることを伝えそびれていたことに気づく。
「もう一回やらせてくれ」と泣きを入れるが、テーク2では、そのパッケージを紹介しなければならないタイミングで「あ~、しまほっけ……」と謎に具材の説明をしてしまい、天を仰ぐ。
ようやくおにぎりを口にすると「うわ、めちゃくちゃ美味い! 見て、具の量」と具材を平子に見せるが「俺じゃなくてカメラに見せてください」と注意されてしまう。
味の説明についても「なんて言えばいいのかな……」と言ったきり6秒ほど沈黙し、「ごはんと……」と言いかけたところで、「ハイ遅い!」と平子に切られてしまっていた。
その後、平子がプロの食レポを実践してみせると「上手いな……」と素直に感心していた佐久間だった。
あれから、まだ2年だ。佐久間がこれほどまでの食レポマイスターになるとは、誰が想像しただろう。何しろ「カニの旨味が爆発してる中に、つなぐ感じでシャリの旨さがくる」とか言うのである。2年前、その量についてしか言及されなかった、しまほっけに謝ってほしい。
(文=新越谷ノリヲ)
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