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日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > ハライチ岩井“M-1青春感”をブッタ斬り

ハライチ・岩井勇気、親友・サンシャイン池崎の“M-1青春感”をブッタ斬り

『ハライチのターン!』TBSラジオ

 漫才師が「漫才師になる」とは、どういうことなのだろう。

 9日深夜放送のラジオ『ハライチのターン!』(TBSラジオ)で、印象的なやり取りがあった。話題は、岩井勇気の事務所の同期で、親友でもあるサンシャイン池崎が、吉本興業のピン芸人・バイク川崎バイクと組んだユニット「シャウト!!」の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)挑戦について。結果、シャウト!! は2回戦で敗退しているが、後のラジオで池崎自身がその際の話をしていたのだという。

 いわく、池崎は「ネタは、笑い待ちを考慮して短めに調整した」「出番前に拳を突き合わせて、ブンブン! と言い合った」「ネタ後は、ウケた喜びからハイタッチをした」などなど。

 この青春感あふれるエピソードに、岩井は「やってんねえ」とひと言。さらに「この2人はまだ、お笑い芸人に憧れてる人なんだろうな」とブッタ斬った。

 これに相方の澤部佑は「ピンでやってて、漫才で『M-1』に出てるっていうのもあるだろうね」と理解を示すも、岩井は、常日頃から漫才を描いたマンガやドラマでそういうシーンが出てくるたびに「机上の空論だな」と思っていたことを明かした。

「だんだんね、物理的にそういうことをしなくても、そういうことをやってる状態になっていきますから」と岩井。わざわざ拳を突き合せたりしなくても、漫才師はコンビとして気持ちを高められるようになってくると、実感を込めて語っていた。

 こうした岩井の語り口を聞いていて思い出すのは、やはり2021年の『M-1』、ハライチのラストイヤーだ。

 この年、ハライチは準決勝で敗退し、本戦当日の敗者復活戦に回っている。負ければ終わりの敗者復活戦に、岩井は前日に書き上げた新ネタで挑み、見事に勝ち抜いた。

 そして、決勝の舞台袖。ドラマやマンガなら、いわゆる「拳を突き合せたり」「ハイタッチをしたり」という青春感を盛大に描きそうな場面だ。

 出囃子が鳴り、せり上がりに2人が立つ。この瞬間の心境を、岩井は大会直後の『ハライチのターン!』で明かしている。

「もう袖まで行ったら、なんかもう楽し過ぎて。『よし! これはもう楽しもう!』って思ったね」(岩井)

 澤部によると、岩井はいつになくはしゃいでいたのだという。

「M-1の舞台にさ、せり上がりに立たされたときに、もうテンション上がってるし。澤部に『もういいよな?』みたいな感じで言ったんだよな」(岩井)

「あんなのはなかったね、今まで」(澤部)

 そして本番の漫才中、岩井は楽しすぎて「M-1っていうことが、意識から逸脱していた」とまで語った。

 このときハライチが披露したのは、会話の中で岩井が激昂するパターンを繰り返すという、ハライチとしてはまったく新しいスタイル。岩井は「このネタができたから『M-1』の決勝で披露したくて出場を決めた」と語っていた。ハライチには、『M-1』への出場権を残しながらも、18年~20年の3年にわたって『M-1』を無視し続けていた時期もあった。

 卒業アルバムに「将来の夢:M-1優勝」と書いていた岩井。ラストイヤーでの敗退が決まり、楽屋で見た他のファイナリストの漫才が「お笑いを始めてから、あんなに『M-1』を楽しく見れたことはない」と語るほど、もうめちゃくちゃに面白かったのだという。

 その『M-1』を終え、岩井は「これから漫才が始まるんだ」と言った。それは、子どものころから憧れていた爆笑問題を含め、すべての漫才師たちとの戦いが始まるという意味だった。

 ユニットとしては3回戦出場が最高成績であるシャウト!! と、決勝に5度進み、漫才師として15年を戦い抜いたハライチ。その鮮やかなコントラストを描き出した『M-1』の舞台でしかし、もう8年も前説を続けているピン芸人がいる。ほかでもない、シャウト!! で池崎とコンビを組む、バイク川崎バイクだ。

 いつかもしシャウト!! が決勝に進むことがあったなら、そのときも岩井には『ハライチのターン!』で率直な感想を聞かせてほしいと思う。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2023/11/10 17:00
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