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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > フェイクニュースを見破るのが大変な時代に突入

蒼井優、山本美月らの“事実無根”の発言拡散…テレビ局は生成AIめぐり混乱で「フェイクニュース蔓延」のおそれ

※イメージ画像:GettyImagesより

 女優の蒼井優が特定の政党を支持しているかのようなコメントがフェイクサイトに掲載され、所属事務所が「全くの事実無根」と否定する事態が起きた。SNSで拡散されたことから一部では信じてしまった人もいたようで、生成AIの登場などもあり、今後も同じような「フェイクニュース」問題が多発するのではと懸念されている。

 問題のフェイクサイトは「れいわ新選組」を名乗り、蒼井、女優の山本美月、俳優の加藤清史郎の3人が同党の山本太郎代表を支持していると紹介。さらに、蒼井の意見だとして「私は、れいわ新選組の政策に共感します。太郎さんは、若者に対して、真摯に向き合ってくれています。私自身も、太郎さんのように、社会に貢献できるよう、これからも努力していきたいと思います」などといったコメントが本人の発言であるかのように掲載されていた。

 SNSやまとめサイトでも拡散されていたが、これに対して蒼井が所属する芸能事務所「イトーカンパニー」は公式ホームページなどで「本日、某まとめサイトにて掲載され、Xにて拡散されております弊社所属の蒼井優のれいわ新選組、および山本太郎氏に対するコメントですが全くの事実無根です」と否定する声明を発表。「このような掲載に対して弊社と致しましても毅然とした対応をしていく所存です」と続けた。

 蒼井の夫である南海キャンディーズ・山里亮太も反応し、Xで「古舘さんの教えを守り、いつでもジャーナリズムをと、家庭でも発動!ちょうど奥さんが政治的な発言をするというレアな記事を見つけたので、インタビューしたら、しっかりフェイクニュースだった。『事実無根すぎる』との答えが返ってきた。確かに、一度も聞いたことなかったもんな…フェイクニュース恐るべし…」とつづり、フェイクニュースであることを強調している。

 また、山本美月が所属するインセントも公式ホームページで「山本美月が特定の政党を支持するようなコメントを出したことは一切ございません」との声明を出し、加藤もスタッフ名義のSNS投稿で「そのようなコメントを出した事実はございません」と完全否定した。さらに、れいわ新選組も「『れいわ新選組支持者の有名人まとめ!』と称し、れいわ新選組を応援しているという芸能人とその応援メッセージを、さも事実であるかのように公表しているサイトも確認されています。しかし、このサイトに記載された内容について、れいわ新選組は全く承知しておらず、そのような事実もないと考えております」などとし、法的措置を検討していると発表した。

 今回は単に迷惑な騒動というだけで終わりそうだが、これが選挙期間中などであればフェイク情報が票の行方に影響していたおそれもある。かつてロシアや東欧を発信地としてドナルド・トランプ氏に関するフェイクニュースが大量に生産され、米大統領選に影響を及ぼしたことが問題になった。生成AIやディープフェイクの登場によって、来年の米大統領選は「フェイクニュースでめちゃくちゃになる」と危惧されているが、日本も他人事ではないようだ。

 生成AIによるフェイク情報は真偽を見分けるのが難しいレベルになっており、TBSは5日に放送した情報番組『サンデーモーニング』で、イスラム組織「ハマス」の幹部をめぐってネット上で拡散された画像について「生成AIで作られたフェイク画像」と伝えていた。しかし、この画像は現在のような生成AIが誕生していない2014年以前からネット上で出回っていた可能性が高く、番組公式サイトで「よってこれらの画像は近年普及が進む『生成AI』を使って作られた画像ではないものと考えられます。『生成AIでつくられたフェイク画像』とお伝えしたのは誤りでした」と訂正した。

 また、番組では「灰にまみれたパレスチナの子どもたち」とされる画像についても「生成AIが作ったもの」と伝えていたが、現段階で「生成AIが作った」と断定できる根拠はなく、こちらも「断定した表現は誤りでした」と訂正している。

 先日は、岸田文雄首相がニュース番組でみだらな発言をしているように見せかけたフェイク動画がSNSなどで拡散され、ニュース映像を加工された日本テレビが「看過できない」「然るべき対応をしております」などと憤りのコメントを発表したことが話題になった。投稿した20代の男性はSNSで自分が作ったものだと名乗り出ており、わずか1時間ほどで作った動画で「軽い冗談のつもりだった」という。

 問題の動画は内容が荒唐無稽で映像やイントネーションなどに違和感もあったのですぐにフェイクだと気づいた人は多かったが、パッと見は実際のアナウンサーや岸田首相が話しているかのように見える。たった1時間で作ったものがこのレベルであれば、プロ並みの技術を持った悪意ある人物が時間を十分にかけて制作すれば、もっと精巧な映像ができるのではと危惧される。

 生成AIは爆破的なスピードで進化していくとみられ、今後は芸能から政治まであらゆる分野において、フェイク情報が蔓延する世界になっていきそうだ。

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

さとうゆうま

最終更新:2023/11/10 15:00
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