トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 社会 > 事件  > 山口組がLINEを使用禁止に

山口組がLINEを使用禁止に…ますます日常が奪われるヤクザの現実

 10月1日にLINEとヤフーが統合したことに伴って、新たな規約に同意をしなければ、11月1日以降からLINEのサービスが使えなくなるのではないかという噂が世間を駆け巡った。

  LINEといえば、世代を問わず日常的に使用している、もはやインフラ化したサービスだ。そのため、使用停止の情報に世間の多くが困惑の色を強めたのだが、これに敏感に反応を示して見せたのは、反社会的勢力といわれるヤクザ組織の組員たちだったようだ。特に日本最大の組織である六代目山口組は、配下の組員たちにLINEの使用を禁じたという情報までもが飛び交ったというのである。

 犯罪事情に詳しいある専門家が、その背景を説明する。

 「これには少し語弊があるんです。LINEはヤフーと統合する以前から、利用規約に、反社会的勢力の使用についてはお断りするという条文が入っていたんです。つまり、ヤクザがこの規約に反して使用していると、法的なペネルティを課せられる可能性があった。なにもヤフーと統合に際して、新たな利用規約に加えたわけではありませんでした。ただ、これまでは大きく問題視されていなかったことが、昨今の反社を取り巻く状況、つまりは厳罰化が進んだことを受けて、今回の利用規格の更新に際して、山口組としては、LINEの使用を控えることを考えたのではないでしょうか」

 それに対して、ある組織関係者はこのように話す。

 「うちの組織は、前々からLINEは使用しないように組からは言われてきた。LINEは履歴のデータ復元できると言われていたので、都度削除していたとしても、逮捕されたときに過去のログを漁られて、当局に足元を救われかねない。そのため、LINEをやらないという山口組系組織の幹部クラスは少なくなかった。そうした流れの中、この機会にもうLINEを利用しないように配下の組員にまで言い渡しただけだ」

 その代わりに、組織内の通信においては、秘匿性の強いアプリを使った対応方法や必要最低限の情報に絞ってショートメールを使うなどの向きが出てきたというのである。

 「全員が全員、11月1日からLINEを退会したわけではありませんが、大勢のヤクザが退会したのは事実です。何らかの容疑で逮捕されたときに、LINEの履歴から別の事件に繋がる可能性もあるでしょう。ただし、日常的なLINEのやりとりの中に、犯罪行為の証拠に繋がるような会話があるかといえば、ははなはだ疑問だという声も上がっているのは確かです」(ヤクザ担当記者)

 また、“現場”ではこういう声も上がっている。

 「例えば、飲みに行った店の若い女の子から『連絡先を聞いて良いですか?』と聞かれたら、教えるのは、ほとんどがLINEだわな。別の通信アプリなんか言えるか。別に悪いこと使っているわけではないのに、なんでヤクザというだけで使っちゃいけないんだ。全くわからん。マンションの賃貸はダメ、車の保険もダメ、銀行口座の開設もだめ、携帯のローンもだめ、挙げ句にLINEもダメって。犯罪を犯して、パクられたら、ヤクザやから刑期がカタギよりも高い(重い)というのはわかるけど、普通に生活していくための権利を奪って、それで治安が本当によくなるのか。ただ単に締め上げればよいってもんでもないやろ。半グレのほうがよっぽど、のびのびと悪いことやってるやないか」(某組織組員)

 たしかに暴力団排除条例が施行されて以来、当局が目をつければ、ヤクザは、どのような微罪の容疑で逮捕されてもおかしくない状況になった。規約を破って、ヤクザがその身分を偽る形でLINEを使用した場合も詐欺行為に当たると当局が判断する可能性はありえる。上記の組員のコメントにもあるように、基本的人権を侵すようなことがあるのも否定できないだろう。だが、このようにヤクザを十把一絡げに反社会的勢力として締め上げ続けることが、必ずしもよい成果をもたらすとはいえないのではないだろうか。

 また一方で、ヤクザネタを積極的に取り上げいる「アサヒ芸能」「週刊実話」「週刊大衆」の実話誌3誌が先週揃って、六代目山口組に関する同じ内容の「訂正文」を掲載するという異例の事態が起こった。これは、2カ月連続で「神戸山口組の組員を切り崩しせよ」という通達を六代目山口組が出したと報じた3誌が、これを事実ではなかったと訂正したものだ。

 なぜ、このような“誤報”が生まれたのか。その背景には何が存在しているのか。山口組分裂問題は、六代目山口組の圧勝で幕を下ろそうとしている中で、さまざまな思惑が渦巻いているといえそうだ。

(文=山口組問題特別取材班)

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年の山口組分裂騒動以降、同問題の長期的に取材してきた。共著に『相剋 山口組分裂・激動の365日』(サイゾー)がある。

やまぐちぐみもんだいとくべつしゅざいはん

最終更新:2023/11/09 13:57
ページ上部へ戻る

配給映画