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「私人逮捕系YouTuber」が相次ぎBANに…YouTube運営が「一斉締め出し」か

イメージ画像:Getty Imagesより

 最近、痴漢や盗撮、チケット転売などの疑いのある人物を「私人逮捕」するYouTuberが増加し、ネット上で物議を醸している。その是非については賛否あるが、YouTubeの運営会社からは「アウト」と判断され、BAN(アカウント停止)される事態が相次いでいるようだ。

 私人逮捕系YouTuberをめぐっては、当人たちは「犯罪撲滅」「世直し」を掲げた自警団のような役割であると称しているが、無実を主張している人を強引に取り押さえたり、追いかけられた男性が階段から転げ落ちて危うく大事故になりそうになったり、転売行為をしているという女性を複数の男性で囲んで腕や衣服をつかんだりといった「行き過ぎ」とも思える行為が散見され、ネット上で批判が噴出していた。

 識者からも「冤罪を生み出している可能性がある」「世直しだろうと法から逸脱すれば単なる不法行為で、自分が加害者になる」といった指摘があり、過激な動画を投稿すれば再生数やチャンネル登録者数が伸びるため、内容がエスカレートしてくことを危惧する声も上がっている。

 そうした意見に対して当人たちは私人逮捕の正当性を主張していたが、ついにYouTubeが規制を開始したのではないかと騒がれているようだ。

 8日の夕方までに、迷惑系や炎上系としても知られるYouTuberの煉獄コロアキのチャンネルがアカウント停止に。コロアキについては、9月に投稿した動画でチケット転売をしている疑いがあるという一般女性に詰め寄り、肩をつかむなどしてタクシーから引きずり下ろそうとしたことで批判の声が続出。さらに、10月31日に埼玉で起きた立てこもり事件で、現場からのNHKの生中継に「今、生放送されてます?」などと乱入したことでも話題を呼んでいた。

 現在、コロアキのチャンネルにアクセスすると「嫌がらせ、いじめ、脅迫を目的としたコンテンツを禁じているYouTube ポリシーに対する度重なる違反または重大な違反のため、このアカウントを停止しました」と表示される。つまり、YouTube側は彼の私人逮捕系動画を「嫌がらせ、いじめ、脅迫」と判断したようだ。

 10月20日ごろには、元陸上自衛官で登録者数36万人を誇っていた「令和タケちゃん」こと後藤たけし氏のYouTubeチャンネルがアカウント停止に。社会問題の現場に突撃する“パトロール系”と称していた同チャンネルでは、路上喫煙やポイ捨てなどを注意する動画をはじめ、「不法投棄して逃走する外国人を私人逮捕!」「怪しい不動産投資の勧誘者に殴られたので私人逮捕!」といった過激な内容の動画が話題となり、2021年に北海道旭川市で起きた女子中学生いじめ凍死事件をめぐって教頭の自宅に突撃したことでも物議を醸していた。

 「令和タケちゃん」についても、現在はアクセスすると「嫌がらせ、いじめ、脅迫を目的としたコンテンツを禁じているYouTube ポリシーに対する度重なる違反または重大な違反のため、このアカウントを停止しました」と表示される状況だ。YouTubeは基本的に複数回のガイドライン違反警告を受けるとチャンネル削除になる通称「スリーストライク制」となっているが、同チャンネルは警告なしの「一発BAN」だったとみられる。

 似たような事例としては、迷惑系YouTuberの「追放」がある。迷惑系の代表格だった「へずまりゅう」はチャンネルをBANされ、何度新しく作り直しても一発BANされる「永久追放」状態になった。また、暴露系YouTuberとして世間を騒がせた元参院議員の「ガーシー」こと東谷義和も、同じくYouTubeから「永久追放」状態で追い出され、Twitter(現X)やInstagramなどのSNSアカウントも停止となった。

 それらの事例と同じく、YouTubeが「私人逮捕系YouTuber」の締め出しに本腰を入れ始めたのか。ただ、登録者数26万人を誇る「ガッツch」のように私人逮捕系動画を投稿していても存続しているチャンネル(9日時点)もあり、規制が本当に始まったのか、アウトとセーフの線引きはどこにあるのかといった部分には疑問も残る。

 ネット上では「私人逮捕系は一斉締め出しだろう」「BANは規約以外にもいろいろ要因があるから何とも言えない」といったさまざまな見方が噴出しているが、相次ぐアカウント停止が私人逮捕系動画のエスカレートに歯止めをかけてくれることを期待したい。

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

さとうゆうま

最終更新:2023/11/09 18:00
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