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映画『アントニオ猪木をさがして』公開館が激減&閑古鳥が鳴いてしまった本当の理由

映画『アントニオ猪木をさがして』公開館が激減&閑古鳥が鳴いてしまった本当の理由の画像1
アントニオ猪木(写真/Getty Imagesより)

 2022年10月に79歳でこの世を去ったプロレス界のスパースター・アントニオ猪木さんのドキュメンタリー映画『アントニオ猪木をさがして』が10月6日に全国約130館で公開された。だが、それから1カ月ほどで全国の公開館は10館前後(11月7日時点)にまで激減しているという。

 レスラーのみならず、実業家や政治家としても活動した猪木さんの軌跡を、その人柄を知るさまざまな人物へのインタビューやファン視点による再現ドラマ、そしてアーカイブ映像を通して製作された同作品。猪木さんが設立した新日本プロレス創立50周年を記念して作られたドキュメンタリー映画でもある。

 公開後、猪木さんの愛弟子で元プロレスラー・格闘家兼タレントの高田延彦は、10月21日に自身のインスタグラムを更新。《俺個人の見解》としたうえで、《こりゃないわな! スーパーヒーローを満喫! 出来ず。何度席を立とうとしたか。観る側に何を伝えたかったのかサッパリ分からん》と私見をつづった。

 さらに、ファンのコメントに返信する形で、《観客は私を含めて3名でした。狙いは相変わらずで大功労者である猪木さんを使った新日本のプロモーション動画でした。プロモにもなっていませんが笑! ここまで酷いのは中々無いですね》などと酷評したのだ。

 これに対して、新日本所属の永田裕志は、自身のX(旧ツイッター)に高田の写真を貼り付け、《老害!!》と反発したのだが……。

「作品を視聴したファンからは、《猪木をさがしたら迷子になった》など、高田と同じような酷評が殺到、観客がわずか数人だったという報告も目立ちました。通常、全国の各劇場では2週間ほど経過して客入りが悪いと公開規模を縮小し始めるが、このままだと、今月中旬ごろにも公開が打ち切られる可能性もゼロではない」(映画業界関係者)

 劇中では猪木さんの愛弟子である藤波辰爾、藤原喜明、新日の現役レスラーであるオカダ・カズチカ、棚橋弘至、海野翔太らのインタビューも収録。そのうち、藤原は4日にWEB版に記事が掲載されたスポーツ報知のインタビューで同作への思いを告白している。

《あの人の人生を1本にまとめるのは大変だからな。どうやってまとめるんだろうって思ったけど、うまくまとまったんじゃないかなと思う》と藤原は作品を評価したが、全国の劇場で閑古鳥が鳴いてしまったのは、それなりの理由があるというが……。

「再現ドラマのパートがあるが、猪木さんの人生とはまったく関係のない内容だった。さらには、幼少期の猪木さんが暮らしたブラジルでの現地取材を行っているが、特に内容もなく、いずれも時間の無駄に見えた。藤原さんも口にしたように、猪木さんの壮絶な人生をたった108分という上映時間にまとめるので、なるべく無駄なシーンは削り、猪木さんの〝功績〟を中心に振り返るべきだった。さらに猪木さんの死後、関係者による関連本が何冊も発売されたが、どれもあまり売れていない。猪木さんのファンたちはそれぞれが好きなように追悼しているので、『1本の映画であっさりまとめられても……』という心境のはず。さらにネットでの低評価が多くのファンの足を劇場から遠のかされている要因だろう」(元プロレス担当記者)

 天国の猪木さんが同作を見たらどう評価するかが気になるところだが、この作品により彼の功績に傷が付くことはないだろう。

黒崎さとし(編集者・ライター)

1983年、茨城県生まれ。ライター・編集者。普段は某エンタメ企業に勤務してます。

Twitter:@kurosakisatoshi

くろさきさとし

最終更新:2023/11/13 08:00
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