ラバーガールが「Tik之介Tok太郎」に!? コント大喜利で、さすがの独壇場
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「もう、メガインフルエンサーって言われますから」
なんのてらいもなく、ラバーガール・飛永翼はそう言った。
TikTokフォロワー数は65万5,000人を数え、昨年にはTikTokで活躍したクリエイターを表彰する「TikTok Awards Japan 2022」のMCを務めたラバーガール。名実ともに、芸人界を代表するTikToker、もしくはTikTokを代表するお笑い芸人となった。
6日に公開されたテレビ朝日公式YouTubeチャンネル「動画、はじめてみました」の「まいにち大喜利」に、ラバーガール、ラブレターズ、や団が出演。モグライダーをMCに大喜利バトルを繰り広げた。この日は「キングオブコント決勝常連バトル」とされ、ラバーガール・飛永翼は「そもそも僕ら、誰かの代わり?」と謙遜したが、ラバーガールは10年、14年と2度の決勝を経験しており、れっきとした常連ファイナリストである。
そんなラバーガールが本領を発揮したのが、バトル後半の「コント大喜利」コーナー。シチュエーションと大喜利のお題を発表し、即興でオチがついたコントを発表するという内容だったが、これがまさにラバーガールがTikTokで公開しているショートネタそのもの。ワンターンでフリオチが決まる彼らの独壇場となる。次々に回答を披露すると全弾が命中し、「Tik之介Tok太郎にしてくださいよ、名前を!」というモグライダー・芝大輔のツッコミが冴えた。
そもそもラバーガールは、ショートコントのコンビではない。どちらかといえば10分、15分の長尺コントを得手とし、単独ツアーを全通する固定ファンも少なくなかった。
そんなラバーガールの転機となったのが、21年11月に始めたTikTokだった。といっても、本人たちが意図を持ってTikTokに進出したわけではない。TikTok上に違法アップロードされたテレビ番組でのコントが人気を集めていることを知り、試験的に自ら公式動画を公開し始めたのがきっかけだった。
もともと「つかみが早い」ことに定評があったラバーガールのコントは、そのつかみ部分だけで盛大にバズった。若者の間で急速に知名度が高まり、それが本業であるテレビや営業の仕事量に反映されるのにも時間はかからなかった。
所属事務所のプロダクション人力舎にとって、ラバーガールは“最後のエース”だった時期がある。
ごく最近まで、人力舎の売れっ子といえば、92年のスクールJCA開校から5年以内に在籍した芸人に限られていた。00年代前半にブレークしたアンジャッシュ、アンタッチャブル、ドランクドラゴン、それに、同時期にスクール外から所属したおぎやはぎらの活躍によって事務所を東高円寺の雑居ビルから西新宿の副都心エリアに移転するも、その後は新人の発掘に難儀。キングオブコメディやリンゴスター、巨匠といったコント師を『キングオブコント』決勝に送り出すも、ことごとく解散していくという時期もあった。その間、桜塚やっくん(故人)、三四郎、うしろシティの阿諏訪泰義などの元スクール生が他事務所で次々にブレークしていく。人力舎自前のテレビスター誕生は、20年代のザ・マミィ、岡野陽一、吉住、真空ジェシカといった新世代組の出現を待たなければならなかった。
ドランクドラゴン以降、新世代組以前。この10数年の間、ラバーガールは人力舎の「売れている芸人」の中で最若手のまま、「知る人ぞ知る実力派」どころか「いぶし銀」と呼ばれる存在になっていった。
そんなラバーガールが、スマホ世代にとっての人力舎芸人“最初のエース”になり、認知を広げていく。地道に単独ライブを打ち続けたことで、業界内のリスペクトも蓄積されている。『ゴッドタン』(テレビ東京系)プロデューサーの佐久間宣行氏ら、ラバーガールを再評価する声も大きくなり、大水洋介は今クールの月9ドラマにもレギュラー出演している。
ラバーガールのコントは、台本を作らないことで知られている。そして、そのキャリアもまた白紙に描かれた自由曲線のように、奔放なカーブを描いている。
(文=新越谷ノリヲ)
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