トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ  > デパートの催事でテレビ番組がなぜ人気?

『ぶらり途中下車』『ヒルナンデス』『せっかくグルメ』…デパートの催事でテレビ番組が人気の理由

『ぶらり途中下車』『ヒルナンデス』『せっかくグルメ』…デパートの催事でテレビ番組が人気の理由の画像1
TBS『バナナマンのせっかくグルメ!!』公式サイトより

 コロナ禍を経て、ようやく業績が回復してきたデパート業界。インバウンドの復活や、コロナ期間中に消費を控えた富裕層の購買意欲の高まりに支えられ、各百貨店は軒並みコロナ前を上回る売上を記録しているが、各店舗の目玉となる催事コーナーで人気となっているのがテレビ番組とのコラボだ。

 7月に日本橋三越で『ぶらり途中下車の旅』(日本テレビ系)とのコラボ企画が開催されると、今月には東京・新宿の京王百貨店が『ズームイン!!サタデー』と『ヒルナンデス!』(同)の名を冠した物産展を開催。さらに現在、京都の高島屋では『バナナマンのせっかくグルメ!!』(TBS系)で紹介された店の食品が集うイベントが開催されている(30日まで)。

「テレビ界でここ数年、非常に人気なのがデパート特集。富裕層の爆買いに密着したり、百貨店が力を入れるコンシェルジュサービスを紹介したり、贅を極めた商品ラインナップと最高級のおもてなしを見せたりと、その切り口はさまざまですが、やはり強いのはグルメです。

“デパ地下”が人気なのは言うまでもありませんが、最新のトレンドは全国各地で逸品を探し求めるバイヤーへの密着。『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)、『プロフェッショナル』(NHK)、『マツコの知らない世界』(TBS系)など、いろいろな番組でバイヤーがひっぱりだこになっています。

 バイヤーの熱心な仕事ぶりを紹介すれば、物産展への集客に繋がるのはもちろん、店舗に並ぶ商品選びへのこだわりも伝わります。テレビ的には、やはり食べ物には“画力”があるので、視聴率が稼ぎやすい。デパート側は宣伝ができ、テレビ局側も数字が見込めるということで、Win-Win(ウィンウィン)の良好な関係が出来上がっています」(キー局関係者)

 両者の距離が縮まれば当然、「何かイベントを仕掛けようか」という話にも繋がるということ。長らく続いたコロナも、関係強化に働いたという。

「コロナ禍におけるデパート業界の売上は、まさに悲惨の一言。売上が6割、7割減るのは当たり前で、断末魔の叫びが上がる状況で、ささやかながら手を差し伸べたのがテレビ局です。コロナ禍ではテレビ局もロケが難しくなり、番組作りに大きな制約が生まれた。ピーク時には県をまたぐことさえはばかられるようになり、いよいよ手詰まりになるなかで、目を付けたのがガラ空きの商業施設です。

 普段なら多くの客でごった返すデパートのロケは、開店前に済ませるか、平日の開店直後にやるしかありませんが、コロナ期間中は店内はガラガラ。いつでもロケが出来るような状態で、ロケ先としてデパートが重宝されました。通常だとテレビに出るのを嫌がる店員さんは多いですが、マスクをしているので抵抗感も下がるようでしたね」(民放バラエティ番組制作関係者)

 そしてたどり着いたのが、テレビ番組とコラボした催事の開催。これも両者にとっては良いこと尽くめだという。

「デパート側としては、番組とコラボして催事をやればテレビで必ず紹介されますし、出演者はいろいろな場所で告知してくれる。もともと番組で紹介された店が出店することで、デパートには新たなコネクションも生まれますし、普段はあまりデパートを利用しない層の来店が期待されます。 

 一方、テレビ局側としては、高級デパートとコラボすることで番組の品位や格を高められますし、平素からデパートを利用する富裕層に番組の存在をアピールできるのも嬉しい。グルメ番組や旅番組はまだまだいくらでもありますから、これからもいろいろな番組の催事は行われるでしょう」(前出・キー局関係者)

 厳しい言い方をすればテレビもデパートも斜陽産業だが、手を携えれば、まだまだ勝機はあるかもしれない。

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2023/11/04 09:00
ページ上部へ戻る

配給映画