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霜降り明星・粗品のYouTubeチャンネルは「ツッコミのふりした悪口」後輩芸人が面罵!?

「粗品を笑わせろ」フースーヤ編 – YouTube

「ギャンブル、カントン包○、ツッコミのふりした悪口! 子どもに見せたくないYouTubeチャンネル第1位、粗品オフィシャルチャンネル!」

 当の粗品を眼前にそう言い切ったのは、霜降り明星の後輩にあたるお笑いコンビ・フースーヤの谷口理だ。これに粗品は、「やかましわ」とツッコミながら楽しそうに笑い転げた。

 粗品の個人チャンネル「粗品 Official Channel」の26日更新分は、後輩芸人をゲスト出演させる「粗品を笑わせろ」企画の5回目。この日のゲストが、フースーヤだった。

「粗品を笑わせろ」は、笑いに厳しく「最近笑ってない」という設定の粗品が後輩芸人を呼びだし、「俺を笑わせてみろ」と迫る企画。過去には20世紀、からし蓮根、三遊間、イノシカチョウといった、からし蓮根以外は比較的無名な後輩の名前が並ぶ。

 サムネイルだけ見ると普通に後輩芸人を紹介するトーク企画のように見えるが、その内容はとことんストイックだ。本ネタの披露に始まり、「爆笑トーク」「爆笑特技披露」「大喜利」と続く。「爆笑トーク」と「爆笑特技披露」は、トークが結果的に爆笑につながるというものではなく、粗品から後輩に直接的に「爆笑トークをしろ」と命じるもの。「爆笑特技披露」も同様だ。

 さらに「大喜利」では、「悪口を言われるのが好き」という粗品が「俺の悪口を遠慮なくツッコミ口調で答えてくれ」というお題を与えている。冒頭のフースーヤ・谷口のセリフは、この大喜利の回答である。

 毎回同じフォーマットに若手を押し込み、なんのヒネリもなく「爆笑させろ」と迫り、それに対して「笑わない」と断言する粗品のやり口は一見、パワハラとも取ることができる。だが、この企画が決してパワハラと断罪されることはない。粗品は「笑わない」と言っているだけで、実によく笑うのだ。ネタでもトークでも特技でも、もちろん大喜利でも、ゲラゲラとやかましいくらいに笑う。そんなに笑うんかというくらいに笑う。

 要するにシンプルなフックアップ企画なのだが、粗品はプライベートで仲のいい仲間内の芸人を呼んでいるわけではない。第1回に出演したイノシカチョウにいたっては、劇場で顔を合わせたことがある程度で、まともに会話もしたことがなかったという。単にネタを見たことがあり、面白かったからという理由だけで呼んでいるのだ。

 昨年1月、粗品の主催で「粗品に勝ったら10万円」というライブが行われたことがあった。新宿・ルミネtheよしもとに粗品は140万円の現金を持参し、14組の後輩芸人を集めた。14組がくじ引きで決まった順にネタをやり、最後に粗品がピンネタを披露する。2名の審査員(吉本社員と、平成ノブシコブシ・徳井健太)と、観客がネタに票を入れ、粗品に勝てば10万円を持って帰れるという企画だ。粗品には、何の得もない。出演芸人は立錐の余地もなく埋まったルミネの観客の前でネタを披露できる上、粗品に勝てば10万円が手に入る。観客はもちろん粗品のファンも少なからずいただろうが、ほかでもない粗品のファンが、粗品が金を守って安心する様子など見たいはずもない。できれば140万丸々奪われて、絶叫悶絶してほしいと願っているファンばかりだ。おのずと、審査はガチになる。

 結果は1位・真空ジェシカ、2位・パンプキンポテトフライ、3位・オダウエダ、4位に粗品が入り、出費は30万円に抑えられた。粗品は狂喜乱舞しながら、110万円を持ち帰った。

 このときも粗品は、顔見知りではない芸人を平気で呼んでいた。自分に勝つ可能性のある芸人でなければ、この企画は成立しない。慣れ合いや遠慮があっては、面白くない。客観的に考えればそれはそうなのだが、では誰がこんなライブを主催しようと考えるのかといえば、粗品以外にはそういないだろう。

 粗品を見ていると、最近、感じることがある。この人には「私」がないのではないか。自分自身を「笑いのための公共物」か何かだと思っているのではないか。自身から発せられる表現というものに、あまりにも隷属しすぎていやしないか。

 売れかけていたころは、ラジオでその孤独を吐露したこともあった。だが、売れ切った今の粗品は、暴力的、自傷的なまでに自らの笑いに身を捧げているように見える。スターってそういうもんだろと言われれば、そうなのだが。うーん、失礼な話なのだが。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2023/11/16 15:13
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