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日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > 渋谷凪咲「大喜利力」の神髄

NMB48・渋谷凪咲、その「大喜利力」の神髄と、タレントという職業の大原則

吉本の先輩・後輩!?コンビでは初のFUJIWARA&卒業を控える渋谷凪咲が現在の心境を吐露 | TVer

「関西に、大喜利が異常に強いアイドルがいる」

 そんなウワサを頻繁に耳にするようになったのは、2019年あたりだっただろうか。

 翌20年の7月には『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「小物MC芸人」で、麒麟・川島明が当時全国的にはまったくの無名だった渋谷凪咲の名前を「アノ人がいると助かる!!」のコーナーで紹介。並びで紹介されたのは平成ノブシコブシ・吉村崇と松村邦洋だった。

 その後、NMB48の冠番組『NMBとまなぶくん』(関西テレビ)でMCを務めていたかまいたちが上京、大ブレークを果たすと、2人に引っ張られる形で在京バラエティへの出演が増加。21年にはテレビ朝日系の新人枠「バラバラ大作戦」で初の個人冠番組『~凪咲と芸人~マッチング』がスタートし、同年下半期の「ブレイクした女性タレントランキング」(アーキテクト調べ)では1位を獲得した。

 そんな渋谷の大喜利への評価を確かなものにしたのが、21年11月に『100%!アピールちゃん』(MBS)で放送された「渋谷凪咲の24時間大喜利」だった。24時間にわたって30分ごとに出題される48問に、大喜利で答えるという芸人でも音を上げそうな企画だったが、渋谷はこれにも期待以上の瞬発力と回答のクオリティで応えてみせた。

 現在、渋谷が「大喜利最強アイドル」の名を冠することに異を唱える者は、業界内外にほとんどいないだろう。

 そんな渋谷のイメージを生かしたドッキリ企画が、YouTube「佐久間宣行のNOBROCK TV」で25日に公開された。

 ドッキリの仕掛け人は、渋谷とNMB48の後輩にあたる坂田心咲。取材現場で普通にインタビューに答えようとする坂田に対し、渋谷が大喜利回答を強要。必死に絞り出す坂田に罵倒ともいえるダメ出しを繰り返すというもの。そのやり取りを新人アイドル・ラフ×ラフのメンバー2人の目の前で行い、新人たちが怯える姿を楽しもうという企画だ。

 基本的には佐久間からの指示に従って動く渋谷だったが、坂田にダメ出しをした後の模範回答は自分で考えたもの。その回答のクオリティと渋谷の坂田に対するスパルタぶりに、ラフ×ラフの2人も震え上がるしかなかった。

 同じ日の深夜、同じく佐久間がプロデューサーを務める『あちこちオードリー』(テレビ東京系)に出演していた渋谷が、大喜利に対する考え方を披露する場面があった。

 大喜利の仕事には常にプレッシャーを感じているという渋谷。特に本職の芸人と共演する際には、「失礼のないように、でもひよったらアカンから、皆さんをブッ潰す、絶対その気持ちを持たないと申し訳ない」と、およそアイドルとは思えない覚悟を明かし、共演していた「大喜利NG芸人」のFUJIWARA・藤本敏史(活動自粛発表前の収録です)から「アプローチの仕方教えて」と問われると、「お題に対してボケようと思うんじゃなくて、本気でどうしようって考える。欲しがったらアカン」とその技術論まで明かしていた。

 この言葉に、渋谷のタレントとしての特性が詰まっているように感じた。

 もともと渋谷の大喜利力が評判になったのは、クイズ番組『そんなコト考えた事なかったクイズ!トリニクって何の肉!?』(テレビ朝日系)だった。この番組で渋谷は、誰も想像できないような珍回答を連発。当初は、よくいる「おバカ枠」という扱いだった。

 だが、共演していた麒麟・川島らが、その「おバカ回答」が、大喜利回答として成立していることを発見。その後、数々の大喜利企画を振られ、それに回答していくうちに現在の地位にたどり着いているのだ。

 つまり渋谷には、最初から大喜利アイドルとして活動しようという意思はなかった。周囲から自分の強みを教えられ、それを素直に受け取って努力したからこそ、その名声を確かなものにしたのだ。

 個性やキャラクターは、自分で決めて他人に押し付けるものではない。他人からの見え方そのものが、自分のキャラクターなのである。アイドル界という自己主張の砲弾が飛び交う戦場で、他者に自分の在り方を委ねるという行為は容易ではなかっただろう。渋谷が、タレントという仕事の大原則が「他者に見られること」であるという真理を、無名時代から理解していた証左といえそうだ。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2023/11/16 15:13
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