『霜降りバラエティX』せいやvs熊元プロレスが、令和の「山崎vsモリマン」になる日
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霜降り明星がMCを務めるバラエティ番組『霜降りバラエティX』(テレビ朝日系)の21日深夜放送分は「せいやVS熊元プロレス 完結編」。霜降り明星・せいやと紅しょうが・熊元プロレスが激闘を繰り広げた。
身長163cmと小柄のせいやに対し、熊プロこと熊元プロレスは165cm、101kgの巨躯。芸歴はせいやの2年後輩になるが、たびたび小競り合いを繰り返すのが“くだり”になっていた。
番組では、2週続けてこの「せいやvs熊プロ」企画を放送。互いにキムチや納豆を食べた後に息を鼻先に吹きかけ合い、「うぇ~」となったほうが負けという「うぇ~キングダウン」、向き合ってブチ切れ合い、リアクションを取ったほうが負けになる「ブチ切れ迫力対決」、しりとりをしながら、回答ごとに鼻フックに吊るしたカゴにペットボトルを追加していく「鼻フックしりとり」、高校時代にハンドボール部でゴールキーパーを務めていた熊プロの特技「ハンドボールPK」、そして最後はシンプルにプロレス対決が行われ、強烈なフォール勝ちを決めた熊プロの総合勝利となった。
小柄な男性と屈強な女性の対決といえば、思い浮かぶのはやはり「山崎vsモリマン」だろう。
長寿番組『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)で行われた「山崎vsモリマン」では、「ずっと裏番長で、本当はケンカが強い」と言い張る山崎邦正(現・月亭方正)が本当に強いのかを検証する企画。対戦相手にはお笑いコンビ・モリマンのホルスタインモリ夫が選ばれ、過激な闘争が繰り広げられた。
当初はパンツを脱がし合う程度だったが、企画が人気を集め、後楽園ホールに観衆を集めての公開収録が行われるころには、熱々のあんかけを互いにかけ合ったり(本当に熱そう)、ゴボウでしばき合ったり(本当に痛そう)と、エスカレートしていった。
2008年には大みそかにも放送された人気企画だが、山崎の老化とともに対決の機運は立ち消えに。だが、視聴者の記憶には強く刻まれている“レジェンド”企画だ。
『霜バラ』で今回行われたせいやvs熊プロも、当然「山崎vsモリマン」を意識した企画だろう。だが、令和に入り、テレビ界は高いコンプライアンス意識を求められている。「山崎vsモリマン」では許されていたどころか、最大の魅力であったのが、女性から男性への「本当に熱そう/本当に痛そう」な暴力だった。だが、現在では到底、そのままトレースすることはできない。あっという間にネットで炎上し、2人ともにあらゆる方面から非難が殺到するはずだ。
では、どうしたか。
おそらく『霜バラ』が選んだのは、「山崎vsモリマンみたいなことをやりたいけど、時代も時代だし、なかなかあそこまではできないよな。でも、自分たちは自分たちで令和なりのアレをやりたいから、いろいろ模索しながらやってみようかな」と戸惑いながら、なんとか番組を盛り上げようとする2人の姿を、その頑張りも失敗もすべて含めて視聴者に見せてしまうことだったように思う。
結果、上京したての熊プロの緊張と元来の天然な返し下手に加えて、せいやの人の好さもあって、対決はおおむねグダグダとなった。「山崎vsモリマン」のガチ感には、まったく及ぶものではなかった。
だが、自分がスベったことを瞬時に察して本当に落ち込んでしまう熊プロや、思わず吹き出してしまったり、つい優しくフォローしてしまうせいやの姿は実に愛嬌に満ちており、全編、ほほえましく仕上がっていた。
この熊プロ&せいやのコンビ芸が、どこまで育つかわからない。もしかしたら今回限りかもしれないし、もう一度くらいチャンスがあるかもしれない。
いずれにしろ『霜バラ』の放送は現在、日曜深夜3時からという明らかな実験枠だ。令和の時代をけん引するエースである霜降り明星を存分に使って、さまざまな企画に挑戦してほしいところだ。
(文=新越谷ノリヲ)
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