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週刊誌スクープ大賞

宝塚歌劇団は“悪の花園”なのか――動き出した木原事件ほか、スクープ10本

宝塚歌劇団は悪の花園なのか――動き出した木原事件ほか、スクープ10本の画像1
阪急宝塚駅から宝塚大劇場を結ぶ「花の道」。(写真/Getty Images)

今週の注目記事・第1位「宝塚は5年前の飛び降り事件も隠蔽していた」(「週刊文春」10/26日号)

同・第2位「木原事件遂に刑事告訴! 遺族が明かす決断の訳」(「週刊文春」10/26日号)
同・第3位「まだ『決められない』櫻井翔が再契約を渋る訳」(「週刊文春」10/26日号)
同・第4位「横浜BC河村勇輝 高校の同級生だったアイドル練習生と『タワマン半同棲』」(『FRIDAY』11/3日号)
同・第5位「薬がなくなる! 日本を襲う未曽有の『医薬品不足』」(「週刊新潮」10/26日号)
同・第6位「初告白 田原俊彦のマネージャーが性被害『16歳にブランデーを口移しで…』」(「週刊文春」10/26日号)
同・第7位「全冠独占『藤井聡太』それでも『AI』には勝てないのか?」(「週刊新潮」10/26日号)
同・第8位「脱ジャニ『紅白歌合戦』今年は観るか! 出演交渉の舞台裏」(「FLASH」10/31日号)
同・第9位「天井のない監獄『ガザ』からの緊急証言」(「週刊新潮」10/26日号)
同・第10位「笑ってエロ哲学を語った『谷村新司』の粋」(「週刊新潮」10/26日号)

 今週は現代とポストがお休み。

 私事で恐縮ですが、手術のために入院するので、しばらくお休みをいただきます。申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

 さて、『昴』といえばこの人。シンガーソングライターの谷村新司が亡くなった。享年74。

 この人、知る人ぞ知るアダルトビデオの収集家。何でも自分の目や足で確かめないとすまなかったという。

 意外な趣味だが、谷村は中国でも超人気だったから、彼らを相手に日本のAVの神髄についても語っていたのかもしれない。合掌。

 またも海の向こうで戦争が始まった。イスラエルとハマス――不倶戴天の敵同士の激突でガザは死屍累々。

「天井のない監獄」といわれる地に住む民は、果たしてどれだけの苦難を強いられているのか。がれきの中を脱出し、水も飲めない……。新潮が現地から緊迫証言を報じている。

「イスラエルのパレスチナ自治区・ガザを実効支配するイスラム組織『ハマス』。彼らによって、突如イスラエル各地に計2500発ものロケット弾が撃ち込まれたのは、今月7日のことだった。ハマスは同時に武装組織を送り込み、無差別殺りくや人質の拉致を行った。イスラエル側の死者は1400人に上るといわれる。

 もちろんイスラエルも黙ってはいない。即座にガザに反撃の空爆を6000回も見舞い、ハマス壊滅を狙って地上戦を行うことも宣言。市民に対しては、ハマスの拠点である北部から南部へと避難するよう、勧告を出したのだ。地区の死者は既に2700人を超える。

 ガザ地区は、福岡市ほどの面積に220万人が住む、世界有数の人口密集地。そこで空爆が行われている中、住民が大移動する――阿鼻叫喚の逃避行となるのは想像に難くない」(新潮)

「紛争が勃発した7日、私はたまたまヨルダンにいて、難を逃れました」

 ガザ地区で支援を続けてきたNGO「日本国際ボランティアセンター(JVC)」のパレスチナ事業現地調査員・大澤みずほはいう。

「普段からガザでお世話になっている人たちとはFacebookやワッツアップで安否確認をしています。その一人、アリさんは家族で南部に避難しましたが、水が底をついてしまい、もう2日間、水を飲んでいないそうです」

 イスラエルが物流を止める「完全封鎖」を行っているため、ガザ地区では電気がほぼストップ。ポンプでのくみ上げができないため、水道も使えないそうである。

「ニュースも見られないので、何が起きているのかさえわからない。違う国に来たみたいだ――と彼は言っていました」(大澤)

「もう一人、現地パートナー団体のウィサムさんは、子どもと共に南部に避難しましたが、水はギリギリあるものの、食料がないと。別の知人の家には、寝る場所を求めて100人もの人が押し寄せているそうです。退避しろと言われても、避難民が乗るトラックに爆弾が直撃し、70人が亡くなったなどのニュースも流れていますから、パレスチナ人はもう何も信じられない状態。“自宅で死ぬのが本望”と、残る人もそれなりにいるそうです」(同)

 電力供給の停止に伴って、医療機関も機能停止状態。安置所から溢れた遺体は、道端に無造作に並べられているという。

「75歳の母と、兄弟姉妹6人がガザに住んでいます」

と声を震わせて語るのは、さる東京在住のガザ出身女性である。

「毎日、FaceTimeやワッツアップで電話をしたり、メッセージを送っていますが、1分程度しか話せず、安否を確認するくらい。“大丈夫?”“気を付けてね”“安全を祈っている”くらいしか伝えられません。その間も、後ろでは爆撃音や子どもたちの泣き叫ぶ声がひっきりなしに聞こえています」

 母親は自宅にいたまま、避難していないそうだ。

「逃げろと言われてもどこに逃げればいいのか。妹の友人は実家に逃げたものの、そこが爆撃に遭って両親ともども亡くなってしまった。安心できる場所なんてありません」

 イスラエルはさらなる攻勢に出てくるといわれる。世界の火薬庫にまた火がぶち込まれる。

有吉弘行の紅白歌合戦司会は“ハズレ1位”

 お次はFLASHの今年の紅白予想。

 今年は「脱ジャニ」化が進み、キャスティングに波乱が予想されるなかで、いち早く発表されたのが「司会・有吉弘行(49)」だった。

「昨年まで司会を務めていた大泉洋さん(50)については、じつは視聴者から『うるさい』『(3年連続司会を務め)またか』などと、さんざんな意見が寄せられていました。今年の司会が変わるのはかねてから確実視されていましたが、有吉さんと聞いて腰を抜かしましたよ。

 当初、松本人志さんや新しい地図の3人なんて案が挙がっていたそうですが、それを聞くと有吉さんはどう考えても、ドラフトでいう『ハズレ1位』。局内外から疑問の声がこれほど多く上がった人選はありません」(NHK職員)

 橋本環奈(24)と「W女性司会者」に抜擢されたのは、女優の浜辺美波(23)だ。9月末まで放送された、NHK朝ドラ『らんまん』のヒロイン好演が記憶に新しいが……。その撮影現場で、こんな心配の声が上がっていたという。

「撮影の合間に、浜辺さんはスタジオでよく居眠りをしていました。それがあまりの頻度なので、スタッフの間でも『また寝てるよ』と囁かれるほど。それほど多忙でお疲れということでしょうが、『紅白』の緊迫する長丁場に、精神的に耐えられるのか……」(同)

 ではジャニーズはどうなるのか。

「ジャニーズとしては、これまでの貢献度を盾に、昨年の半分である3枠でも出場枠を獲得したいところでしょうが、では誰を残すか、頭を抱えています。一方、LDHは昨年1組も出演させられなかった雪辱を果たそうと、EXILEの復帰を目論んで猛プッシュしています。

 NHKとしては、香取慎吾らの“辞めジャニ”を起用するといった『脱ジャニーズ演出』の計画が進んでいるそうです。話題性を狙って、新事務所TOBEから、平野紫耀のソロデビューを『紅白』で、なんて話も聞こえてきます」(同)

 こうした“トラブル”に見舞われた際に設けられてきたのが、「サプライズ枠」だという。

「ジャニーズの空けた穴を埋めるため、当然大幅に増えるでしょう。その枠では今年、のんさん(旧:能年玲奈・30)がおそらく登場します。大ヒット朝ドラ『あまちゃん』で主演を務めた後、事務所移籍トラブルで“干され”ていましたからね……。NHKとしては、“脱・忖度”をアピールできる。

 彼女以外にも『ウクライナから生中継』など、さまざまな“突飛案”が検討されています。なかには、『紅白の組分けを撤廃する』なんて案も」(同)

 一方「今年は正真正銘のサプライズを期待できる」と語るのは、芸能事務所関係者だ。

「デビュー25周年を迎える“歌姫たち”へのオファーに注目が集まっています。浜崎あゆみ(45)、aiko(47)、MISIA(45)、宇多田ヒカル(40)、椎名林檎(44)の5人です。

 なかでもいちばんの有望株は、浜崎あゆみのカムバックです。2013年まで15回連続出場を果たしており、その記録が途絶え、本人は“『紅白』卒業”と思っていたようですが、今年はメモリアルイヤーとあって出演オファーに前のめりなんです。

 宇多田ヒカルは、2016年にロンドンからの中継を最後に出演していませんが、今年はNHKホールで生出演してほしいと局が懇願しています。また、デビュー30周年を迎えたTRFは、NHKで今年3度にわたって特番を放送していることから出場濃厚とみられています」

 となると、気になるのは大トリ。これだけの大物の出演が濃厚視されているが、もうひと組、大物バンドがメモリアルイヤーを迎えていたのである。

「大トリは、今年デビュー45周年を迎えたサザンオールスターズで決まりでしょう。そもそも近年の『紅白』は“アミューズ頼み”になっており、『脱ジャニ』の今年は、さらにその流れが加速します。実際、アミューズ組では、昨年大トリを務めた福山雅治(54)や、15年連続出場中のPerfumeからは、すでに出演の許諾が得られているそうです。

 サザンもアミューズですし、今年はNHKで特別番組が放送されましたから、好待遇でオファーが来ているのは間違いない」(同)

 ジャニーズが出ないほうが視聴率が上がる?

藤井聡太、未知の領域「八冠」はどこまで強くなるか

 ついに未知の領域へと到達した藤井聡太八冠(21) 。かつて7冠を達成した時の羽生善治九段(53)よりも4歳も若く、もはや人類に敵なしといったところだが、AIと対戦した場合どうなるのだろう?

 AI搭載の将棋ソフト「水匠」の開発者で弁護士の杉村達也がこういっている。

「現在のソフトはいっそう進化しており、名人を破った6年前のボナンザに対し、計算上は99%以上の確率で勝つほどの強さ」

 2021年に出版されたノーベル生理学・医学賞受賞者の山中伸弥との共著『挑戦』(講談社)で、藤井はこう語っている。

「囲碁や将棋といった空間が限られた世界のボードゲームでは、競争という点では完全にAIのほうが強くなっています。だからこれからはコンピュータを活用することで、逆に人間がどんどん強くなっていくという段階に入っていく気がします」

 これは藤井八冠の“弱音”か?

 ところで、10月17日、ジャニーズ事務所はその看板を下ろして「SMILE-UP.」と社名を変更した。

 ジャニー喜多川による性加害の補償をするための会社になるが、ジャニーズ事務所によると、9月30日までに478人から連絡があり、そのうち補償を求めている被害者は325人で、11月から補償をスタートさせるという。

 今回、ジャニー喜多川からの性被害を明かすのは、田原俊彦やシブがき隊のチーフマネジャーを務めた板野俊雄(67)。

 1975年に3人組グループ「ジャニーズ・ジュニア・スペシャル(JJS)」のリーダーとしてレコードデビューした元所属タレントでもあり、ジャニーズ事務所の表も裏も知り尽くした人物だ。告白した理由は、

「事務所って商品であるタレントを守るところでしょう。会見で、その商品を加害者のように矢面に立たせて、ジュリー(藤島ジュリー景子前社長)と白波瀬(傑前副社長)は逃げた。そこが一番許せないんです」

 1972年、フォーリーブスの付き人募集に応募した板野が事務所で働き始めたのは16歳のときだったという。住み込んだのは、当時渋谷にあったジャニー氏の自宅兼合宿所である。

 付き人の寮は恵比寿にあったが、彼だけがフォーリーブスの北公次と郷ひろみが住む合宿所で暮らすこととなった。板野が寝る和室の布団にジャニー氏が忍び込んできたのは、住み始めて2、3日目のことだそうである。

「身体を触ってきて、あそこに手が伸びる。パンツを脱がせると、おしぼりで綺麗に拭いて(口で)します。田舎から出てきたばかりで童貞だし、わけわかんないですよ。でも男だから出せば気持ちいいわけです。その異様さといったら……。一旦、ジャニーは洗面所へ行く。ペッて吐く音が聞こえるんです。温かいおしぼりを持って戻ってきて綺麗に拭いてくれる。その後に今度はお尻を触り出して、何かヌルヌルしたものを塗られ、今度は痛いわけです。地獄の日々です」

 行為の最中にジャニー氏はこう囁いたという。

「ユーのために…」

 ジャニー喜多川から受けた仕打ちは性加害だけではなかった。

「タバコの煙やブランデーを口移しで飲まされることもありました。キスしながらこっちの口に煙を吐くんですよ。ジャニー本人は普段、酒を飲まないんだけど、こういう時だけ口に含む。僕らは未成年ですから、頭がクラクラしていましたよ」

 ジャニーズ事務所に板野の性被害について問うたが、「個別の告発内容についてはコメントを控えております。これは10月2日に発表した被害者救済の方針に則り、性加害に遭われた方々を保護し、その人権に配慮しているからでもあります」と回答したという。

医薬品不足は厚生労働省の人災か

 さて、10月6日に日本医師会が発表した「医薬品供給不足緊急アンケート」の速報結果は衝撃的だった。

〈医療機関で入手困難な医薬品の有無を聞いたところ、「入手困難である」と回答した割合は90.2%と全国で医薬品が困窮している〉
〈(薬品を取り扱う)卸に発注した医薬品の納入状況については、「発注しても納品されない」状況が49.7%であった〉

 その上74.0%の医療機関が、処方箋をもとに調剤する院外の薬局などから「在庫不足」を訴える連絡を受けたとも書かれているという。

 実際、東京世田谷区にある処方箋薬局に聞くと、

「例えば解熱鎮痛剤の『カロナール』や『ロキソニン』といった、皆さんに馴染みのある薬でさえ品薄状態です。

 私は薬剤師を30年ほどやっていますが、こんなに薬の在庫が足りない状況は初めて経験。熱さましから咳止めの薬や抗生物質まで、ありとあらゆる分野の薬が不足しています」

 サイエンスライターの佐藤健太郎もこういう。

「少子高齢化で生じた医療費高騰を抑えるため、国は半ば強引に安価なジェネリック薬品の普及を推し進めてきました。その政策によって、2010年代初頭まで薬品に占めるジェネリックのシェアは3~4割でしたが、今では約8割と倍近くになった。医薬品メーカーの起こした各種トラブルは、企業体質によるところも大きいですが、急拡大による無理な増産と、過剰な薬価の押さえ込みによる設備投資不足なども要因の一つでしょう」

 これは厚労省による人災ではないのか。

 お次はFRIDAYのバスケのお話。

「リアル『SLAM DUNK』かよ!」

 バスケファンがそう沸き立った『FIBAバスケットボールワールドカップ2023』。日本代表はアジア1位の成績を収め、48年ぶりに自力でパリ五輪出場権を獲得した。

 その偉業達成から1ヵ月。10月初旬の夜風が肌寒い夜9時頃、1台のSUVが横浜市街を走り抜けた。慣れた手つきで車を運転していたのは、五輪進出の立て役者で、チーム最年少の河村勇輝選手(22)だという。チームの司令塔となるポイントガードである。

 FRIDAYによると、河村の運転する車は、とあるタワーマンションの前へ。街灯の明かりに河村の車が照らされると、助手席にはピンク色の服を着た色白な美女がチョコンと座っている。河村が駐車場へ車を停めると、女性は先に車を降りて足早に近くのスーパーへ入っていった。

「河村には現在、交際中の女性がいます。相手は、もともと美人双子ユーチューバーとして活動していた中森美琴さん(21)です。河村とは同い年で、今は『JO1』や『INI』などを輩出した人気番組のシーズン3、『PRODUCE101 JAPAN THE GIRLS』というオーディション番組に練習生として参加しています」(河村の知人)

 秋鮭や梨を買い10分ほどでスーパーを後にすると、河村が待つマンションへ向かった。この日は、お泊まりデートを楽しんだ2人。

 翌日の夜7時過ぎ、河村がチームの練習へ出かけた後、中森と思われる女性は別の服に着替えてタワマンの外へ。河村が練習から戻る少し前にスーパーへ行き、彼の身体を気遣ってか前日と同じく鮭と梨を購入していた。

 FRIDAYが中森との交際について確かめるべく、河村を直撃すると……。

「プライベートのことなんで申し訳ないです。すみません」

 そういうと、見事な足さばきで記者をかわし自宅マンションへ。恋愛でも華麗なアシストをみせたという。

櫻井翔の動向と動き出した木原事件

 ジャニーズ事務所消滅で、これまでいたタレントたちは新事務所に移籍するか、独立するかを迫られる。

 中でも大物「嵐」の櫻井翔に注目が集まっている。

 新会社を設立し、タレントの個人事務所とエージェント契約を結ぶ。

「エージェント契約の最大の狙いは、性加害問題で失ったCMの仕事を受けやすくするためです。ポイントは、契約を交わす当事者は事務所ではなくタレント本人になり、性加害問題を切り離せること。企業側は契約しやすくなるし、ジャニーズ側もコミッションの収入が得られるのです」(ジャニーズ事務所関係者)

 大物たちはどうするのか。

「エージェント契約方式を発表した十月二日の記者会見前に、その説明を受けたのは、嵐のメンバーなど(藤島)ジュリー(景子)氏と近いタレントだけ。会見の翌週からようやく契約についての説明が始まりました」(所属タレントの知人)

 嵐の櫻井翔は会見当日の『news zero』(日本テレビ系)で契約について、

「全ての選択肢をテーブルに乗せてじっくり考えていかないといけないなと」

 と熟慮する考えを示した。

「それはあくまでポーズで、ジュリー氏最側近の嵐は、すぐに契約を結ぶと見られていました。ただ、櫻井自身は『まだ決められない』と本当に契約を渋っているのです。事務所の今後に不安を抱いているのでしょう。仲のいいタレントにも、先輩・後輩を問わず、様子見したほうがいいとアドバイスをしています」(事務所関係者)

 キムタク、櫻井の去就が注目のようである。

 さて、木原誠二前官房副長官(53)の妻X子の元夫が怪死した「木原事件」が再び動き出した。

 2006年4月の事件発生当初は不審死とされたこの事件は、2018年に再捜査が開始されたが、それも突如として中断。それから今に至るまで、警察が捜査に動き出す兆しは見えなかった。

 そんな中、亡くなった安田種雄(享年28)の遺族が、ついに刑事告訴に踏み切ることが文春の取材でわかったという。

 告訴状は10月18日付。告訴人は安田さんの父母、姉2人の4人で、告訴趣旨は「被疑者不詳の殺人」だ。告訴状は、事件発生当初の捜査を担当した警視庁大塚署に提出されるそうだ。

「木原事件」については、X子さんの取調官だった佐藤誠元警部補が実名で文春の取材に応じ、木原が「手を回しておいたから」とX子に語りかける様子が映ったドライブレコーダーの存在について証言するなど、異例の経過を辿ってきた。

 だが、警察側は、トップの露木康浩警察庁長官が7月13日の会見で「事件性が認められない」とコメントするなど「他殺ではなく自殺」という主張を貫いている。

 今回提出される告訴状が受理されれば、警視庁は捜査を尽くし、その結果を検察庁に報告しなければならない。つまり、事件性がないと主張するのであれば、自殺である証拠を揃えなければならないのだ。

 安田さんの遺族がこう語る。

「2018年に始まった再捜査が突然止まったとき、私たちは絶望しました。今度こそ捜査を尽くし、犯人を見つけ出してほしい。種雄が亡くなったことは、私たち家族にとって、一生の問題なんです」

 告訴状にはこうあるという。

〈告訴人らは、愛する家族を第三者の殺害行為によって失っただけでなく、犯人の検挙を17年以上待たねばならず、この間、何度も絶望を味わった。(略)告訴人らには、時的限界なく犯人検挙のための捜査を求めることが許されなければならないし、かかる告訴人らの行為を阻害することが許されるのであれば、我が国の刑事司法は最早死んだも同然である。

告訴人らは我が国の警察は世界有数の能力と良心を持ち合わせていると信じている〉

 私は信じていないがね。

退団希望者は半数にも……宝塚歌劇団の暗部

 今週の第1位は、文春の宝塚の暗部をえぐった連続追及に捧げる。

 自殺者を出した宇組の退団希望者は全体の半数に近い30数人に及ぶという。宝塚という劇団は、なぜ冷たく虚しい場所になり果てたのかと文春は問う。

 文春が取材を進めたところ、5年前の2018年6月に、宝塚音楽学校に入学したばかりの予科生A子が、苛烈なパワハラを苦に寮のバルコニーから転落し、兵庫県内の病院の集中治療室に搬送され、全治3週間の全身打撲を負っていたことがわかったというのである。

 倍率24.1倍という狭き門を突破したA子は、夢の舞台への第一歩を踏み出した。同年4月17日、106期生40人の1人としてグレーの制服に身を包んだ彼女は、不安と期待が入り混じった表情で入学式に臨んだ。

 だが、それから1ヵ月余りが経った5月27日、

「1ヵ月ぶりに見た彼女はキラキラ感が失われ、顔色が悪いように見えた。実は、この時点で彼女の心は折れかけていたのです」(A子の知人)

「彼女を苦しめたのは『予科事』と呼ばれる厳しい不文律でした」(同)

 上級生と向き合う際は、眉間に皴を寄せて口角を下げる『予科顔』を作る。遠方の上級生に大声で挨拶をする。ルール違反した予科生が本科生に謝る際、他の予科生も違反を自己申告して一緒に謝る『連続謝り』。その他『予科事』は多岐に渡る。学校内にはこうしたパワハラの根が張り巡らされていたという。

 元劇団スタッフがこう明かす。

「イジメられた予科生が一年後に本科生になれば、今度は予科生をイジメる側になる。タカラジェンヌは全員が被害者であり、同時に加害者なのです」

 こうした合理的根拠のない本科生の指導を受けたA子は次第に追い詰められていく。

 そして6月17日夕刻、A子が2階のバルコニーから飛び降りて全身を強く打ち、兵庫県内の病院の集中治療室に搬送された。

 診断の結果は全治3週間の全身打撲。だが、この“事件”は学内で巧妙に秘密にされ、その後すぐに通常通りのレッスンが行われたという。

「事件翌日、伊木常雄校長代行が寮生を集めて『口外しないように』という趣旨の指示を出した」(学校関係者)

 別の学校関係者が明かす

「A子さんの両親は第三者委員会を設置して原因を解明すると共に、保護者会を開催して広く事実を公表することを強く求めていた。しかし、学校側は、調査に対して消極的な姿勢を崩さなかった」

 学校側がA子の家族に詳細な調査結果を示すこともなかったという。

 その後、学校側が代理人弁護士を立てて、同年末に退学したA子に約百万円の見舞金を提示したそうだ。だが、交渉は遅々として進まず、学校側が約2年前に書面を郵送したのを最後に、両者は没交渉になっているそうである。

 文春取材班が宝塚音楽学校に質問状を送ると、以下の回答があったという。

「本事案については、元生徒ご本人のプライバシーに大きく関わるため、詳細の説明は控えさせていただきますが、当時、生徒の自主性を尊重するあまり、指導の状況が十分に把握できておらず、その結果、当該予科生のみならず、全体として、生徒に過度な負担がかかる状況になっていたことについては、学校としての管理責任を強く感じております」

 記者がA子の父親に取材を申し込むと「あの出来事について私の口からは語ることはできません」と口を噤んだ。だが、

「一つ言えることは、宝塚の隠蔽体質は当時から何一つ変わっていない」

 と重い口を開いたという。

 宝塚は悪の花園なのか。(文中敬称略)

元木昌彦(編集者)

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"。

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もときまさひこ

最終更新:2023/10/23 18:30
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