ジャニーズ問題当事者の会、新会社の利益も「補償に充てられて然るべき」と要望で波紋…タレントへの影響続く可能性も
#ジャニーズ #SMILE-UP
「ジャニーズ性加害問題当事者の会」が16日、ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)宛てとしては最後となる要望書を公式サイトで公開。「新会社の利益の一定額を被害補償などに充てるべき」「SMILE-UP.と救済委員会に当事者の会が推奨する複数名を参加させる」といった要望があったことで、ファンを中心に波紋が広がっている。
故ジャニー喜多川氏による性加害問題を受け、ジャニーズ事務所は16日をもって消滅し、同社は17日付で被害補償を主業務とするSMILE-UP.に名称を変更。芸能業務については、近いうちに新たなエージェント会社を立ち上げ、旧ジャニーズ所属のタレントたちと個別に契約する新体制へ移行すると発表されている。
これについて、当事者の会は要望書の中で「エージェント会社へ引き継がれる事業活動は、旧ジャニーズ事務所から引き継ぐ所属タレントや各種の版権などによって賄われると考えられ、実質的にジャニー喜多川氏の遺産の基に成り立っている」と指摘。タレントの肖像権や版権、グッズなどを含め、ジャニー氏の遺産を基に生み出された新会社の利益に関しては、「被害者への補償および救済の実施に充てられて然るべき」とした。
要望書では「エージェント会社が、ジャニー喜多川氏の遺産に依存しない全く新たなる事業で生み出す利益に関しては、タレントの皆様の活動における権利と、支援されるファンの方々の利益のためにも、これを補償等の対象としない」と明言されているが、ジャニーズ時代から活動しているグループは大半が新体制にスライドするだけで、ふつうに考えれば版権等もそのまま移行するとみられるため、新会社の事業においてジャニー氏が関わっていないものはほとんどないのが実情だ。
さらに、当事者の会は「もしも新会社が各遺産を継承するのであれば、その利益の一定額を、被害者の補償および救済、更に、性加害の被害者を支援する団体、身寄りのない未成年者を支援する団体、経済的に恵まれない子供たちの就学を支援する団体などの、わが国の信頼できる慈善団体に寄付することにより、恒久的な社会貢献を実現されることを要望します」と希望。この要望書の通りになれば、新会社は売上の一部を「恒久的」に、被害補償や慈善団体への寄付などに充て続けることになる。
当事者の会といえば、副代表の石丸志門氏が10月初旬にライブ配信で、ネット上で「金目当てか」との批判があることについて「あえてここで言わせていただきたいのは、お金目当てです」と断言。さらに「これは高額請求をするために闘ってきたものであります。これまでの日本の判例に従ったような金額では納得しません。海外で起こった場合と同じレベルの金額を要求します」と、海外クラスの高額補償を求める方針を宣言した。石丸氏は「(抑止力として)性犯罪を起こしたらこれだけ痛い目を見るんだ、会社が廃業になるくらいなんだという前例をつくらないと」などと意図を説明していたが、インパクトの大きい「お金目当て」発言は波紋を呼んだ。
要望書には、これに絡んでいるとみられる項目もあり、SMILE-UP.に対して「被害補償の予算」を公表するよう要求。端的に言えば、「いくら払えるのか」を明確化したいという意図があるとみられる。
さらに、性加害事件などで示談書が取り交わされると、以降は被害者側が新たな補償請求などができなくなるケースが一般的だが、要望書では「性加害問題においては、被害者は、長期間にわたって幼少期の辛い記憶と向き合うことを強いられるため、将来のメンタルヘルスの不調やこれによる就労不能状態が続くことも十分に考えられます」と指摘。過去に性加害事件で慰謝料や弁護士費用だけでなく、後遺障害(PTSD)による慰謝料1000万円、就労不能による逸失利益約3500万円を含めて計6000万円の損害賠償が認められた事例を挙げ、将来的な損害という観点が不可欠であるとして、示談書の書式を公表するよう求めている。また、被害者の家族も苦しんでいるとして、要望書では「補償されるべきは、被害を申告した被害者本人はもちろんのこと、被害者のご家族にもその範囲を広げて対象とすべき」と提言された。
そのほか、要望書では「SMILE-UP.と被害者救済委員会に当事者の会が推奨する複数名を参加させる」ことを要請。対立的な構図ではなく、融和的に被害補償を進めていくべきとの認識のようだ。
この要望書をめぐっては「どこからどこまでを『ジャニー氏の遺産を基に成り立っている』と判断するのか分からない」「新会社が被害補償に関わったら、罪のないタレントたちへの影響が今後もずっと続くのでは」といったファンからの疑問や心配の声もあり、ネット上で物議を醸している。
ただ、いずれにしてもジャニー氏の行為が「人類史上最悪の性虐待」と呼ぶべき悪質なものだったのは間違いなく、本人が他界している以上、金銭補償しか救済の手段がないのは事実だ。当事者の会からの一連の要望に対して、SMILE-UP.の東山紀之社長らはどのように対応するのだろうか。
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