チュートリアル・徳井義実が語ったダイアン・ユースケの「引き芸」論
#チュートリアル #ダイアン
毎回、芸人同士がいたって真剣なトークを披露してくれる『やすとものいたって真剣です』(ABCテレビ)の「劇場合間メシ」コーナー。普段、話す機会が少ない芸人同士が劇場の合間にランチをしながらトークする企画だが、12日放送分にはダイアン・ユースケが登場。対談の相手にチュートリアル・徳井義実を指名した。
ユースケにとって、徳井は5年先輩にあたる。ともに「baseよしもと」の出身だが、チュートリアルの上京時期が早かったこともあって、意外にもほとんど話をしたことがないのだという。
それを裏付けるように、2人のトークは徳井の「西澤は何を食べて生きてんの?」「何を主食としてんの?」という生物としての基本的な質問からスタート。西澤が「ユースケ」に改名してからすでに4年、当初の違和感もだいぶ消えてきたころだが、やはり旧知の徳井にとっては「西澤」のほうが馴染み深いのだろう。
そんなユースケに「ミステリアスすぎて、感情がわからへん」という徳井。めちゃくちゃ普通であることを自覚しているユースケは「めちゃくちゃ普通ですよ」と返すしかなかった。
その後、話題はネタ作りや相方についてなど、「合間メシ」ならではの芸人トークに。そして終盤、ユースケの芸風についての話になると、徳井が熱を込めた。
「メンタルがすごいなというか、最近珍しく引き芸やん」
ユースケは「そんなつもりはない」というが、実際、売れるのに時間がかかると周囲から言われ続けてきたのだという。先輩である千鳥・ノブからも「プロレスで言うたら黒パン一丁やから」「サーベル持ってたりとか毒霧吹いたりするのを、みんな使いやすいから使うけど」「時間はかかるけど、がんばるしかないな」と助言を受けたことを明かした。
自覚的に引き芸を選んでいるわけでもなく、ノブに言わせても「がんばるしかない(引き芸から変えようがない)」というユースケの芸風。結局のところ、ユースケもほかの芸人と同様に、これしかできないからやっているだけということだろう。
ダイアンは売れた。これはもう、誰も否定できない事実ではある。
だが、ユースケの引き芸が売れたのかといえば、そこには疑問符が残る。
事実、バラエティのひな壇でユースケが地蔵になっている姿を見ることも少なくない。「太秦俳優・岸大介」のキャラに入ると爆発するが、素のユースケの単体稼働を見ることもほとんどない。
客観的に見て、ダイアンは津田篤宏のコンビだ。00年代後半からの数年間、関西の劇場で中川家とともに無双を誇った漫才も、大所帯のひな壇でも、笑い声の前にはいつもあの津田の甲高い大声が響いている。宣材写真でゴイゴイスーする津田の後ろで、なんとなく腕を広げているユースケの、その腕の角度がどれくらいだったか、どうにも思い出せないくらいだ。
おそらくダイアンは津田がいなければ売れていなかった。だが、ダイアンのそのすべてを作ったのも、またユースケだった。
草むらかどこかから津田を刈り取ってきて、人様に見せられる姿に調理したのはユースケだった。「どんな店員やねん!」「走ってる途中のクルマぁ~」漫才におけるスベリ知らずの津田のツッコミも、一言一句ユースケの指示によるものだ。「津田が、電気が流れている鉄パイプに触って、死んだ」のエピソードを筆頭に、ユースケによる津田に関する絶品トークは枚挙にいとまがない。
ユースケが引き芸で売れたのだから、ユースケのように振る舞ってもいい。そう考える若手がいたなら、それは極めて危険だ。
ユースケは黒パン一丁のふりをして、ドデカいサーベルを持っている。誰よりも鮮やかな毒霧を常に身にまとっている。津田は、ユースケがたったひとりで精錬し尽くした強靭な武器なのである。
だからこそ、ユースケに聞いてみたいことがある。昨年の『お笑いの日』(TBS系)で、津田史上最強クラスの爆笑をかっさらったランジャタイ・国崎和也による津田プロデュースを、どう見たのかと。
(文=新越谷ノリヲ)
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