趣里、偉大な両親の名を使わず重ねた努力…『ブギウギ』ヒロイン女優の泥臭い激動半生
#趣里
女優の趣里が主演するNHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』が2日にスタートし、初回の世帯平均視聴率が16.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。好評だった前作『らんまん』の初回16.1%を上回る好スタートを切った。冒頭で披露された歌唱シーンの評判がよく、今作をきっかけに趣里が大ブレイクするのではと期待を集めている。
『ブギウギ』は、戦後の歌手で「ブギの女王」と称された笠置シヅ子さんをモデルにしたヒロイン・花田鈴子(趣里)が、底抜けに明るい性格で激動の時代を駆け抜け、人々を笑顔にするスター歌手「福来スズ子」になるまでを描く。
初回の冒頭では、趣里演じる「福来スズ子」がステージに登場し、笠置さんの代表曲でもある「東京ブギウギ」などを歌うシーンが流された。趣里は身体全体を使って元気よく飛び跳ねながら笑顔でチャーミングに歌い、本家に負けず劣らずの迫力あるステージを披露した。放送後、番組の公式YouTubeや公式SNSでは未公開カットを含む歌唱シーンのフルバージョンが公開され、ネット上の視聴者からは「心がワクワクするステージで元気をもらえました!」「笠置さんと声質が重なるところがあってぴったり」「紅白でこれを見たい!」などと称賛の声が続出している。
通常、伝説的な大スターである笠置さんのステージを再現するとなると、ある程度の批判は起きるもの。しかし、現在のところ冒頭の歌唱シーンは歌のレベルも含めて絶賛一色といってもいい状況だ。
その後は朝ドラお決まりの幼年編となり、子役の澤井梨丘が鈴子を演じているのだが、こちらも「趣里と顔がそっくりで歌も演技もうまくて完璧」と多くの視聴者が高評価。早くも名作の予感となっている。
今作の主演を務める趣里は、俳優の水谷豊と元キャンディーズの伊藤蘭の間に生まれた一人娘ということで、ヒロイン役決定直後は「親の十四光」「コネで決まったのでは」といった心ない声もあった。しかし、実際は4度の朝ドラ主演オーディションを経てヒロインの座をつかみ取ったという経緯があり、初回冒頭の圧巻の歌唱シーンによって「実力でヒロインに選ばれた」と証明したともいえそうだ。
趣里は紛れもない「芸能界のサラブレッド」だが、これまでは決して順風満帆だったわけではない。幼少期からクラシックバレエに打ち込み、15歳でプロのバレリーナを目指して本場イギリスのバレエ学校に留学したが、アキレス腱断裂、足首剥離骨折という大けがを負い、医師から「もう前みたいには踊れない」と告げられて夢を断念。絶望して一時は家でふさぎ込んでいたが、引きこもりのようになっても一切責めなかったという両親に励まされ、女優を目指すことを決意した。
大学在学中の2011年にドラマ『3年B組金八先生ファイナル~「最後の贈る言葉」4時間SP』(TBS系)で女優デビューを果たしたが、世間からはどうしても「水谷豊と伊藤蘭の娘」として見られてしまう。親の力を有効活用する二世タレントもいるが、趣里は両親の名前に頼らず、小劇場への出演や映像作品の端役などで経験を積んでいった。
その努力が実って2016年の朝ドラ『とと姉ちゃん』への出演で注目され、2017年のドラマ『リバース』(TBS系)での狂気的な演技や、2018年のドラマ『ブラックペアン』(同)でのクールな看護師役で新境地を開いた。さらに、2018年の主演映画『生きてるだけで、愛。』では、服を脱ぎながら商店街を疾走するヌードシーンに挑戦。一部では「水谷豊が『一度ヌードになると役柄が狭まる』と激怒した」とも報じられたが、趣里は同作で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞するなど評価が高まり、水谷も一安心したと伝えられている。いずれにしても、彼女は決して「いいとこのお嬢様」ではなく、泥臭い努力を続けてきた実力派女優だといえるだろう。
朝ドラヒロインのオーディションに3度落選し、募集年齢上限ギリギリの32歳で臨んだ4度目のオーディションで今作の主演をつかみとった趣里。当初心配されていた歌唱力についても、今作のチーフ演出を務める福井充広氏が「笠置さんを描く以上、プロの歌手を表現する必要があり、最初から(歌が)70点くらいではなく90点くらいの人でないと難しい」「最初、趣里さんはそのギリギリのラインに立っていたが、今の彼女の歌は280点くらい。いや、もっとかもしれない」と太鼓判を押している。
紆余曲折の半生を送ってきた趣里が、波乱万丈の生涯を駆け抜けた笠置シヅ子さんをどう表現するのか。この難しい役柄を見事に演じ切れば、本格派女優として大ブレイクとなる可能性がありそうだ。
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