トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > 『クロナダル』クズ芸人同士の“対消滅バラエティ”はどこへ向かうのか

『クロナダル』クズ芸人同士の“対消滅バラエティ”はどこへ向かうのか

絆を深めるチャレンジ シンクロナダル!PART1 | TVer

 テレビ朝日系の深夜帯で挑戦的な企画を打ち続ける「バラバラ大作戦」枠。そのラインナップに10月から加わったのが、安田大サーカス・クロちゃんとコロコロチキチキペッパーズ・ナダルの2人をメインキャストとした『クロナダル』だ。

 昨今、バラエティ界は空前の“クズ芸人”ブーム。岡野陽一、空気階段・鈴木もぐら、相席スタート・山添寛、ザ・マミィ・酒井貴士など、次々にクズを売りにしたニュースターが誕生している。

 その中でも、2大巨頭といえるのが、今回の『クロナダル』に抜擢されたクロちゃんとナダルだろう。しかも2人は、ほかのクズ芸人のように多額の借金を公言しているわけでもなければ、ギャンブルにのめりこんでいるわけでもない。「性格が悪い」「キモい」という理由でクズ呼ばわりされているシンプルクズなのだ。

 確かに、2人の出演歴には、性格の悪さをクローズアップした企画が数多くある。クロちゃんは『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、Twitter(現X)にウソの投稿をしていることが暴かれたことがきっかけでクズキャラが覚醒。その後、数々のドッキリにかけられては性格の悪さを露呈していった。

 ナダルのほうも、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「ひんしゅく体験!ナダル・アンビリバボー」が毎年のように企画され、そのたびに芸人仲間からその非常識で失礼な言動を暴露されている。さらには相方・西野創人の発案でコンビの公式YouTube『よろチキチャンネル』でもたびたびドッキリにかけられ、TKO・木下隆行らの悪口を流ちょうに述べ続けたこともあった。

 共に、「人を悪く言う」ことにかけてはスペシャリストである2人。普段は先輩やスタッフ、果ては視聴者に向けられているその悪口の砲台を、向き合わせてみたらどうなるか。『クロナダル』は、そんな2人の“対消滅”を楽しむ番組となっていた。

 2日に放送された第1回では、薄手の全身タイツに身を包んだ2人がビリビリイスに座り、2人で質問に対する答えを合わせる企画が放送された。例えば「おでんの具の定番といえば?」という質問に対し、2人が違う答えを出せばイスに電気ショックが流れるという、見慣れた展開である。

 2人は悪態をつき合い、ビリビリを受けて同時に跳びはねる。痛みにもだえながら、まだ互いの悪口を言っている。当然、強すぎるビリビリイスを仕込んだスタッフにも当たり散らす。

 スタッフは爆笑している。スタジオは、企画段階で見えていたものが初回の初手で実現されたという安堵感に包まれているように見える。

 クロちゃんとナダル。この組み合わせで、こうならないはずがないのだ。そう確信させるほどにキャラクターを確立したタレントが、今のテレビ界にどれだけいるだろうか。

「バラバラ大作戦」はテレビ朝日による若手制作陣の実験番組という位置付けだ。経験の浅いスタッフにとって、これだけ意図通りに企画を成立させてくれる2人は、実に頼もしい存在だろう。若手だけではない。『水曜日のダウンタウン』(TBS系)の藤井健太郎、『アメトーーク!』の加地倫三という、ほかならぬバラエティのトップランナーたちが、現に2人を信頼し、重用しているのだ。

『クロナダル』は、例えれば格闘技に似ていた。そこは、相手を堂々と痛めつけていい舞台だった。鍛錬を重ね、覚悟を決めた者しか立てないリングだった。格闘技でも、ルールをはみ出して相手を傷つければ非難の的にさらされるし、二度とそのリングに戻ることが許されなくなることもある。クロちゃんとナダルは、そのルールの際を攻めながら相手の攻撃も逃げずに受けきる、正真正銘の戦士だということだ。

 次週は互いにゴムの両端をくわえたゴムパッチン対決だという。第2ラウンドのゴングが待ち遠しい。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2023/10/04 16:00
ページ上部へ戻る

配給映画