元ホームチーム・檜山豊が語る「コラムが終わる元芸人の心境」とは?
#芸人 #檜山豊
以前このサイゾーさんで書かせていただいたコラムで「推し活」について述べたものがあった。内容は「生誕祭を開いたけど、お客さんが1人しか来なかったアイドル」として話題となった「うしおゆりな」さんを題材としたもの。たった1人のお客さんの応援がどれだけ力になるか、そして芸能人の引退や解散は突然訪れる……だから推し活は時間を惜しまず、自分が出来る範囲で全力でしてくださいというものだった。
なぜこの話を再度書いたのかというと、なんと今回のコラムで何年もサイゾーさんで書かせていただいていた僕のコラムが一旦終了となってしまうからだ。なので今回は「コラムが終わる元芸人の心境」というテーマでコラムを書いていこうと思う。
まずは今の心境を率直に言うと「今までありがとうございました」という感謝しかない。もちろん突然終了を伝えられた直後は、本当に寂しく、自分の力の無さを嘆いたりもした。しかし逆に何の栄誉も経歴もない、ただの元芸人を数年にわたり使っていただけたこと自体が奇跡であり、感謝してもしきれない。
このコラムを書くきっかけとなったのは、後輩芸人からのメッセージだった。携帯を変えてしまった為にメッセージの詳細は思い出せないのだが、確か「知り合いの雑誌社の編集長さんがライターを探してまして、檜山さんやりませんか?」的なものだった。
今思えば当時の僕はうつ症状が発症し始めた時期だった。なぜかというと、2019年に僕が主宰している劇団において心が傷ついてしまう出来事があり、演劇をすることが少しだけトラウマのようになって何も手につかない状態に陥っていたからだ。
しかし劇団員たちの後押しもあり、新しい台本を書き上げ、2020年に今までとは形が違う公演をすることにした。公演本番まであと少しのところでコロナ禍により公演中止。それが起爆剤となり、やる気とは裏腹な行動をとるようになり、前に進みたいけどしゃがみ込んでいるようなそんな感覚になった。気が付くと夜寝ていても10分くらいで起きてしまうような不眠状態になってしまっていた。さらに今までなら飛びついていたような仕事のチャンスも棒に振ってしまう有様。
明らかに自分が自分でないということに違和感を感じ、思い切って病院へ行ってみると、やはり「鬱」と診断されてしまったのだ。僕的には「やっぱりか」という気持ちと同時に、何か先が見えないトンネルに入っているような不安にも襲われたのだ。
そんなとき、先述したように芸人時代の後輩からこのコラムの仕事の話が来たのだ。お笑いや芸能関係に特化したコラムを書いてほしいと言われたのだが、僕は少し迷っていた。元々コラムなど書いた経験がなく、自分が出来るかどうかもわからない。さらにその時の僕は本来の僕ではなく、せっかく頂いた仕事も完遂出来ない状態にあったからだ。ただこのチャンスはもしかしたらトンネルの出口に繋がっているかもしれないと思い、ほぼ二つ返事でやらせていただくことにしたのだ。
最初の頃は、このコラムを書くという仕事は僕にとって本当に難しく、めちゃくちゃ苦労した記憶がある。芸人時代やお芝居も含めて僕が書く文章は口語体、つまり口で話すような文章がほとんどだった。なので口語体の文章を書くことには慣れているものの、逆に文語体のような書き言葉で文章を書くことに慣れていなかったのだ。元々僕が本が好きで文章慣れしていればこんな悩みは無かったかもしれない。
しかし残念ながら僕はディスクレシア(識字障害)の傾向があり、書くことは出来るのだが文章を読んで文字の意味をすぐに理解することが出来ず、読むという行為に対してかなり体力を消耗してしまうのだ。例えば洋画などを字幕で見た場合、字幕の意味を理解することに時間がかかり、ほとんど映像を見れなかったりもする。なので文語体の基礎らしきものが僕の体には備わっておらず、人が読む為の文章を書くということが困難だったのだ。
ちなみに自分が書いた文章を読むことも出来ないので、誤字脱字も多い。本当ならこんなポンコツな元芸人の記事など1、2回見てもういいやとなりそうなものだが、僕を担当してくれた編集長の平野さんのお陰で何とか3年以上もやることが出来た。
ここからは平野さんに対しての感謝を綴るブロックにする。元々平野さんはお笑いが大好きで、若かりし頃にライブなどへ足を運んでいたような人物だ。そんな平野さんは僕がコラムを書くことになったとき、とても喜んでくれた。芸人に対してのリスペクトを持っていて、元芸人に対してもそのリスペクトの姿勢は変わらない。なので書く側のモチベーションも上がりっぱなしで、どうやったらもっと良い記事が書けるのか、どうやったらもっとサイゾーに貢献できるのかということを常に思いながらコラムを書くことができた。
ただ芸人にリスペクトを持っているからといって甘やかすわけではない。読者からの需要と、コラムを書く側のキャラクターやバックボーンを踏まえつつ、書く側がそれに見合わないものを書いたり、需要が低いものを書こうとすると、きちんと理由と共に指摘をし、ライターとして間違った方向へ行かないようにしてくれた。
そのお陰で僕の記事を楽しみにしてくれているという人が徐々に増え、最初は不安だったコラムを書くという仕事が、自分にとってライフワークと呼べるまでになった。断言する。平野さんがいなければ、今の僕はいなかった。
今回でこのコラムともしばしお別れになってしまうが、サイゾーで書かせてもらったこの3年強は僕にとってターニングポイントであり、とてもかけがえのない時間になったのはまごうことなき事実である。
これが「コラムが終わる元芸人の心境」を元芸人目線で分析し文章に起こしたコラムだ。今まで楽しみに読んでくれていた読者の方、今回初めて読んだ方、途中を飛ばして最後を読んだ方、ほぼ読んでいない方、読んでいない方、全ての読者へ感謝の言葉を述べたいと思う。
僕の拙い文章にお付き合いいただきありがとうございました。皆様のお陰で頑張れました。今後自分発信で何かやるかもしれないので、その時はまた読んでいただけたら幸いです。
そして最後にこれだけ言わせてください。調子に乗って「まごうことなき」なんて使ったばっかりにその文章に違和感が生じてしまいました。ごめんなさい。
それではまたいつかお会いしましょう。それまでさようなら~。
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