金属バット「どん兵衛」CM起用の快挙! 『M-1』舞台裏カメラの功罪とは
#M-1グランプリ #金属バット #どん兵衛
お笑いコンビ・金属バットが28日、日清食品「どん兵衛」の公式X(旧Twitter)に登場。どん兵衛のキャラクターである「どんぎつね」に扮してきつねダンスを踊る動画が公開されている。
金属バットといえば、昨年『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)のラストイヤーに臨み、ワイルドカードで敗者復活戦に残ったものの敗退。念願の決勝進出を果たせずに挑戦を終えていた。
だが、その裏で毎回話題になっていたのが、友保隼平の「どん兵衛」大量持ち帰り行為。箱ごと持ち帰る姿を『M-1』の舞台裏カメラにたびたび捉えられたほか、友保自身も自らのXアカウントで、その“犯行”を自慢げに披露していたこともあった。
その甲斐もあってか、どん兵衛の公式に補足された金属バット。今年も予選が始まり『M-1』が盛り上がってきたタイミングでのCM起用となったようだ。
2019年に優勝したミルクボーイが「コーンフレーク」ネタをきっかけとして、コンビでケロッグのCMに採用されたことはあった。だが、舞台裏での楽屋ネタがCMにつながるとは、本人たちも予想していなかったに違いない。
20年に『M-1』を制したマヂカルラブリーの野田クリスタルが、かつて『M-1』を目指す後輩に対して、ラジオでこうアドバイスしていたことがある。
「準決勝で負けても、まだ勝ち筋はある。捨てたくないなら、そこでドラマを作れ」
『M-1』の舞台裏では、カメラが回り続けている。敗退後の悔し涙、ブチ切れ、審査員への八つ当たり、それらは『M-1』のオープニング映像や「アナザーストーリー」を彩る重要なエッセンスとなる。昨年、決勝に進んだウエストランド・井口浩之と準決勝で敗退したオズワルド・伊藤俊介との
「どうせ(決勝に)来るんだろ?」(井口)
「当たり前でしょ!」(伊藤)
「待ってるよ」(井口)
という会話や、17年に準決勝敗退が決まった霜降り明星・せいやが、楽屋の床に這いつくばって泣きじゃくるシーンなど、名場面は枚挙にいとまがない。
そうしたドラマチックなシーンが放映されることで、明らかに客ウケが変わってくるのだと野田は言う。実際、マヂカルラブリーも17年に審査員・上沼恵美子に酷評され、20年に土下座でせり上がってくるというドラマチックな伏線回収で一気に会場の空気を自分のものにし、優勝を手にしている。
友保は、おそらくどん兵衛のCMを獲得するつもりでそれを持ち帰っていたわけではないだろう。18年から5年連続で準決勝に跳ね返され、そのたびにブラッシュアップされていった漫才の本ネタからは、彼らが『M-1』にかける意気込みがビンビンに伝わってきた。
胸を裂くような悔しさの中で、友保は「どん兵衛持ち帰りネタ」をこすり続けた。カメラが回っていれば、楽屋だろうがどこだろうが、芸人としてお笑いをやり続けた。その結果が、今回のCM起用につながったということだ。
お笑いに限らず、芸能事務所にとって所属タレントのCM起用は大きな収入源。というより、収益構造としてはCMを獲るためにタレント活動をさせているといったほうが実像に近いだろう。当然、出演するタレントに支払われるギャラも、テレビや営業ギャラとは桁違いのものになる。日清食品のようなナショナルクライアントによるCM起用とは、若手芸人にとって本来、『M-1』優勝のその先にあるものだったはずだ。
昨年、敗退とともにいったん終了した金属バットとどん兵衛のドラマは、第2章に続いていた。
(文=新越谷ノリヲ)
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