『キングオブコント』決勝10組の「世代間闘争」を徹底分析! 超若手の逆転はあるか
#キングオブコント
27日に発表された『キングオブコント2023』(TBS系=以下、KOC)の決勝進出者10組。そのうち初出場が5組、2年連続は2組のみと、比較的目新しいメンバーがそろった。
漫才の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)と『KOC』とのもっとも大きな違いは、芸歴制限がないこと。『M-1』は現在、コンビ結成から15年以内とされているが、『KOC』は無制限となっている。また、従来は出場不可だった即席ユニットの参加も解禁され、昨年はピン芸人の吉住と岡野陽一によるユニット「最高の人間」が決勝に進出、今年も相撲芸人5人が結成した「連合稽古」が準決勝まで勝ち残った。
年齢制限のない『KOC』には、さまざまな芸歴の芸人がエントリーしているが、決勝に残った10組は、大きく3つの世代に分けられる。
今回は、その世代ごとにファイナリストを紹介してみたい。
■超若手世代
ゼンモンキー
結成4年目のゼンモンキーが、超若手世代から唯一勝ち上がった。準決勝には、えびしゃ、伝書鳩という後輩のトリオも進出していたが、なんとか面目を保った形だ。
芸歴同期で売れている芸人に自衛隊芸人・やす子がおり、学年でいうと四千頭身の3人、ヨネダ2000の愛らと同い年になる。
今回の『KOC』で優勝すれば、一躍世代のトップとなる可能性も。「ゼンモンキー世代」を築けるか。
■充実の霜降り世代
蛙亭
隣人
ニッポンの社長
芸歴10~15年の、いわゆる「霜降り明星世代」にあたる3組。隣人は決勝初出場、蛙亭は2年ぶり2回目、ニッポンの社長は4年連続4回目となる。
昨年のビスケットブラザーズ、21年の空気階段、18年のハナコ、15年のコロコロチキチキペッパーズと、『KOC』王者を多く輩出している世代でもある。
3組とも大阪で芸歴をスタートさせており、世代のトップを走る霜降り明星をはじめとして前出のビスブラ、コロチキ、さらには男性ブランコ、ZAZY、マユリカらとの関係も厚く、互いのエピソードトークに事欠かないことから、優勝すれば一気に露出を増やすことになる可能性が高い。
特に今年4月に上京したばかりのニッポンの社長にとっては、タイミング的に千載一遇のチャンスとなりそうだ。
■第1回から出場しているベテラン世代
カゲヤマ
ジグザグジギー
ラブレターズ
サルゴリラ
や団
08年に始まった『KOC』の第1回から予選に参加しているベテラン世代(サルゴリラはトリオ「ジューシーズ」として)。
や団は昨年に続いて2年連続、ジグザグジギーとラブレターズは7年ぶり、サルゴリラとカゲヤマは初出場となる。
この世代になると、たどってきた道のりもさまざまだ。
ラブレターズは結成4年目の11年に初の決勝進出。このとき披露した「西岡中学校」は大きなインパクトを残し、いまだにラブレターズと言えば「学ラン」のイメージを思い浮かべるファンも多い。その後、14年、16年にも決勝に進出しており、4回目の決勝はニッポンの社長と並んで今回最多となる。
ジグザグジギーも13年と16年の2度、決勝の実績を持つ。当時は各賞レースを席巻する勢いでブレークに手をかけていたように見えたが、その後、長いトンネルを経験しての捲土重来となった。
上記2組以上に「売れる寸前」を経験しているのが、今回初出場となるサルゴリラだ。トリオ「ジューシーズ」時代にテレビ朝日の深夜で『333トリオさん』に出演。4年半にわたって看板レギュラーを務めた。だが15年の番組終了を経て、共演していたジャングルポケット、パンサーが全国区になっていくのを後目にトリオは解散。残った2人のコンビで表舞台に再浮上するまで、実に9年の年月がかかったことになる。
そして、や団とカゲヤマ。や団は昨年の決勝で3位に入るまで、カゲヤマは今の今まで、売れそうになったことなど一度もなかった。華のない3人と2人にとっては、賞レースでの実績だけが芸能界へのチケットとなる。かつての『KOC』王者・バイきんぐやシソンヌがそうであったように、結果次第でその道が開ける可能性は、十分にある。
* * *
準決勝に残る確率は「35/3,036組」だった。準決勝から決勝は「10/35組」、決勝で3組のファイナルに残り、2本のネタを披露できる確率は「3/10組」。決して低い確率ではない。
このチャンスを、誰がつかむだろうか。
(文=新越谷ノリヲ)
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