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バイデン大統領の再選断念はあるか?民主支持者の3分の2が「他の人の方がいい」

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バイデン大統領(写真/Getty Imagesより)

 米大統領選は年明けから始まる州の予備選に向け、民主、共和両党の候補者が各地を飛び回っているが、民主党の最有力候補である現職のバイデン大統領に対する不安が民主党支持者の中で高まっている。高齢による健康不安が最大の要因で、CNNの世論調査では民主党支持者の約3分の2が、バイデン大統領を党の候補者にすべきではないと答えている。

 米大統領選は、2024年11月5日に本選の投開票が行われる。本選の前に、共和党は2024年1月から、民主党は同2月から、州ごとの予備選を実施する。予備選の結果を踏まえて共和党が7月に、民主党が8月に党大会を開いて、党としての候補者を決める。

 現時点で共和党の候補者は13人。ドナルド・トランプ前大統領やフロリダ州のロン・デサンティス知事、ニッキー・ヘイリー元国連大使、投資家のビベック・ラマスワミ氏、マイク・ペンス前副大統領、ニュージャージー州のクリス・クリスティー前知事らだ。当初、次世代のリーダーとして注目を集めたデサンティス知事が討論会で存在感を示せずに支持率を落とし、世論調査でトップを走るトランプ前大統領の安定感が際立つようになった。

 一方の民主党は、現職が再選を目指すとあって候補者は現時点でわずか3人。無風状態と言える。バイデン大統領のほか、暗殺されたジョン・F・ケネディ元大統領のおいで同じく暗殺されたロバート・F・ケネディ元司法長官の息子であるロバート・ケネディ・ジュニアと自己啓発作家のマリアン・ウイリアムソン氏だ。

 ロバート・ケネディ・ジュニアは名門家の出身で弁護士でありながら、「新型コロナワクチンが自閉症の原因となる」など根拠不明の発言を繰り返したため、多くの有権者から「変人」と見られている。ソーシャルメディアのインスタグラムからアカウントを停止されたこともある。

 このままいくと民主党の候補者にバイデン大統領がなる確率が高いが、この流れに民主党支持者が不安を強めている。

 CNNの9月の世論調査ではバイデン大統領の支持率は39%で、この1年で最低となった。さらに党員を含めた民主党支持者の67%が、今回の大統領選ではバイデン大統領以外の人物を党の候補者にするべきだと答えた。

 AP通信の8月の調査によると、調査対象者の77%が、さらなる1期4年を務めるにはバイデン大統領は「高齢すぎる」と考えている。民主党支持者だけでも69%が同様の意見だった。

 バイデン大統領は現在80歳。誕生日は11月20日なので来年の大統領選の本選には81歳で臨むことになる。大統領選に勝利すれば、2期目の大統領就任式を82歳で迎える。すでにバイデン氏は歴代最高齢の大統領だ。歴代2番目のロナルド・レーガン元大統領が大統領職を終えたのが77歳だったことを考えると、バイデン大統領の2期目に米国市民が不安を抱くことも理解できる。

 カメラの前で、バイデン大統領の年齢を感じさせるアクシデントが相次いでいることも支持者の意識に影響を与えている。

 昨年6月18日、自宅近くで自転車に乗っていたバイデン大統領が転倒した。シークレットサービスを伴ってサイクリング自転車を走らせていたが、カーブで沿道の市民に声を掛けようとブレーキを握ったところ、バランスを崩して右側に倒れた。

 今年6月1日には、コロラド州の米空軍士官学校の卒業式に出席した際、ステージ上にあった機材を固定させるための小さな土のうにつまずいて転倒した。卒業生に卒業証書を渡した後、小走りで自分の席に戻ろうとしたところでのアクシデントで、シークレットサービスと空軍将校に抱えられて起き上がった。

 9月20日には、ニューヨークでの国連総会の行事でステージ上に一緒にいたブラジルのルラ大統領と握手するのを忘れてしまった。国際労働機構(ILO)のフンボ事務局長が労働者の権利についてスピーチしたが、労働者に近い立場の指導者としてバイデン大統領とルラ大統領がフンボ事務局長を挟む形で立っていた。スピーチが終わるとバイデン大統領はフンボ事務局長とだけ握手し、手を伸ばそうとしたルラ大統領との握手を忘れ、ステージから消えてしまった。

 ルラ大統領は「南米のトランプ」と言われたボルソナロ前大統領の再選を阻んで当選した。民主党政権にとっては外交上、極めて重要なリベラル派大統領だ。ルラ大統領は伸ばしかけた腕を振り回して不快感をあらわにしていた。

 バイデン大統領が高齢不安をどう払拭するのか、今後の選挙戦略の重要なポイントになるが、バイデン大統領の選挙戦からの撤退を予想する声も出始めた。 実際、過去の大統領選で、再選を目指した大統領が本格的な選挙戦を展開しながら、途中で撤退したケースはある。

 1968年の大統領選で再選を目指したリンドン・ジョンソン元大統領は、予備選に突入した後の1968年3月に選挙戦から撤退した。ベトナム戦争の只中で民主党内の反戦派と激しい指名争いをしていた。ベトナム戦争への反発から支持率が急落したことや健康上の問題などが撤退の理由だが、ジョンソン氏を引き継ぐ形でヒューバート・ハンフリー副大統領が大統領選に参入し、民主党の指名争いで勝利した。本選では共和党のリチャード・ニクソン氏に破れた。

 ジョンソン元大統領はケネディ元大統領が暗殺されたため、副大統領から大統領になった。1968年の大統領選ではロバート・ケネディ・ジュニアの父、ロバート・F・ケネディ元司法長官が民主党候補者レースに名乗りをあげ、選挙期間中に暗殺されている。

 大統領の大統領選からの撤退の先例としてあげられる1968年の大統領選は、今回の大統領選と因縁めいたものがある。無風と言われる民主党の指名争いが、無風で終わるという保証はない。

言問通(フリージャーナリスト)

フリージャーナリスト。大手新聞社を経て独立。長年の米国駐在経験を活かして、米国や中南米を中心に国内外の政治、経済、社会ネタを幅広く執筆

ことといとおる

最終更新:2023/09/27 20:00
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