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ジブリの日テレ子会社化は絶妙のタイミング!ジャニーズとの違い見せ評価爆上がり

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鈴木敏夫氏(写真/Getty Imagesより)

 民放テレビ局として、長く視聴率で王者の座に君臨し続ける日本テレビが、アニメ制作会社のスタジオジブリを10月6日付で子会社化すると発表した。日本テレビは、1985年に『風の谷のナウシカ』をテレビ初放送して以来、『金曜ロードショー』で多くのジブリ映画を放送してきた。どの作品も高視聴率を記録し、日本テレビは『魔女の宅急便』から映画製作に出資を行い、「三鷹の森ジブリ美術館」の設立を支援するなど長くサポートを実施。

 今回の子会社化では、議決権ベースで42.3%のジブリ株を取得して、社長には日本テレビ放送網の福田博之取締役専務執行役員が就く予定。これで、今後はさらに日本テレビのジブリ作品の囲い込みが激化すると言われる。

 「日テレは、ジブリ作品を放送するために、40年近くにわたって多額の資金を投入してきた。そのおかげで、いまではジブリ作品と言えば日テレというイメージが視聴者にしっかりとうえ込まれイメージアップにも繋がっている。今後は子会社化したことで、ジブリ作品を日テレ関連の動画配信サービスなどでも展開でき、さらにコラボグッズや番組使用などのハードルが一気に下る。逆に、他局はいま以上にジブリ作品が使いづらくなる可能性が高い。映像の使用に関して、かなり厳しく日テレから審査されることになりそうです」(民放関係者)

 過去の権利問題などもあり、現状では日本テレビの動画配信サービス「Hulu」において、ジブリ作品の配信は明言されなかった。ただ、確実に会員数を獲得できるコンテンツなので、日本テレビはどんな手段を使っても配信を実現させることだろう。

 「最新作の『君たちはどう生きるか』については、全国の劇場公開が終了したら『Hulu』での配信をすぐ行う調整を目論んでいるとか。ジブリ作品はDVDやBlu-rayの売上も好調ですが、それを差し引いても配信で会員を増やすことのほうが重要課題になる。今回の子会社化も、『君たちはどう生きるか』に合わせたと言われています。特に、今後CM料金が確実に減っていく中で、ジブリは日本テレビの救世主になる可能性が大きくなっています」(スポーツ紙記者)

 テレビ業界を揺るがすような日本テレビの英断に、民放各局は戦々恐々としているようだ。

 「ジャニーズ事務所の性加害問題で揺れている中で、テレビ局はNHKを含めて視聴者から信頼を失っている。そんな時に、絶妙なタイミングでジブリの子会社化を発表してイメージアップができた。運も味方につけ、王者の風格といったところ。特に地方部では日テレ系の放送局が絶大な力を持っていますし、販促などで積極的にジブリとのコラボを行えば今後も経営は安泰になる。全国の系列局では、今後は定期的に『ジブリ祭り』のようなイベントも日テレ主導で開催するようで、完全に民放では一人勝ち状態が続いていきそうです」(民放関係者)

 世界にほこるジブリを手に入れた日本テレビだが、子会社化に至った経緯も両者にWin-Winになるよう巧妙な仕掛けが仕組まれていたという。大手広告代理店のテレビ担当者が裏話を明かしてくれた。

 「今回、日テレの立場が上という買収ではなく、ジブリが制作に集中できる手伝いをするという目的を公表した。制作に口出ししないと明言したようなもので、日テレの評価は瀑上がりし株価も急上昇している。また、ジブリにおいても、長く懸念された後継者問題を解消できる。宮崎氏の長男である吾朗氏が何度か候補に上がっていたが、本人が『一人でジブリを背負うことは難しい』と固辞したと、会見でジブリを取りまとめる鈴木敏夫氏が明かした。駿氏も同様で、息子が受け継ぐことに反対の立場。ようは、同族経営は悪しきものという理念を持っていることをアピールできた。現在、ジャニーズ事務所の性加害問題では同族経営が問題視されバッシングされている中で、ジブリファンにも好印象を与える会見になりました。ジャニーズが記者会見で自分たちの評価を落とした直後ということもあり、さすがはジブリだと絶賛されています」

 評価を上げることになったジブリと日本テレビだが、今後は「協業」することで世界展開が急速に進むだろうと言われている。

 「配信サービスへのジブリ作品の展開もそうですが、日本テレビはジブリのコンテンツやキャラを世界展開して儲けるつもり。特にアジアにはジブリファンが多いですし、版権ビジネスなどを日テレが取り仕切って進めていくとか。また、日テレが資金を調達することで、アジアにジブリパークを建設する可能性も高い。現在も三鷹の森ジブリ美術館や愛知県のジブリパークを運営していますが、ジブリのファンの多さと人気を考えれば圧倒的に関連施設が少ない。日テレが主導で施設の開業をすれば、テレビ番組でも紹介できますし効率がいい。放送外収入の目玉として、ジブリの子会社化は日テレの救世主になる可能性が大なんです」(民放関係者)

 オワコンと言われ続けて長い時間がたったテレビ業界だが、日本テレビがジブリの買収という一手で新たな歴史を作り出そうとしている。もしかしたら数十年後には、日本テレビはテーマパークがメインの企業で、テレビ放送はついでにやっているなんて未来があるのかも知れない。

小林真一(フリーライター)

テレビ局勤務を経て、フリーライターに。過去の仕事から、ジャニーズやアイドルの裏側に精通している。

こばやししんいち

最終更新:2023/09/25 11:00
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