『キングオブコント』準決勝2日目 配信レポ【ネタバレなし】
#キングオブコント
今年もコントの季節が佳境を迎えています。16回目を迎える『キングオブコント』の準決勝が9月20日・21日の両日に行われ、22日・23日に配信されることに。
ここでは、配信をもとに全コンビのネタをショートレビューで紹介。当然、ネタバレはしないものの、ルール上、この2日間で披露されたネタがそのまま決勝ネタになるので、まっさらで本番を迎えたい方は読まないほうがいいです。
なお2日目のネタの中ではサスペンダーズ、ザ・ギース、ザ・マミィが音楽権利の関係上、配信カット。ロングコートダディは1日目に続いて体調不良による欠場となっています。
それでは2日目、張り切っていきましょう!
●ダウ90000「喫茶店」
蓮見くん得意の若者の恋愛会話劇。この手のシットコム書かせたら若手の中で右に出る者はいないと思ってましたが、ホントに巧妙にやってくるし、メンバーもコント演技よりこっちのほうが持ち味出まくりますね。
●ファイヤーサンダー「毒舌散歩」
昨日今日の2本とも芸人が芸人役のコントを演じるという設定。発想もテンションも脂が乗り切ってきた感じがします。ああ、おもしろ。決勝行ったら、その日まで仲良くね。
●レインボー「バイトのヘルプ」
昨日の女形と打って変わって、池田はオタク役。猛烈に上手いんですが、逆にキャラ一辺倒に見えてしまうのが損してるかなー。いわゆる「もうひと展開」系かもしれません。
●クロコップ「エメラルド戦士」
ファンタジー設定で大真面目にバカバカしいことをやる、クロコップらしいネタです。地味に伏線回収してたり、音楽もうまく生かしてミュージカルっぽくなったり、ホントに楽しいコンビだなーと思いました。
●コットン「ワンダフルランド」
AirTag的なガジェットを使った新しいネタ。丁寧に書いてるなーという印象ですし、何度も舞台にかけて叩きまくったんだろうなという、細かいところに努力が感じられました。その努力の跡がどういうふうに審査員に受け取られるか、でしょうかね。
●やさしいズ「バイトの面接」
相変わらずやさしいネタ。こういう地道に自分たちのキャラを育ててきたコンビにも、そろそろもう一度決勝の表舞台に立たせてあげたいと思わせる2人です。タイって、リアリティの線引きがうまくて、どういう知能レベルの人間でもちゃんと変に演じられるのがすごい。
●ゼンモンキー「墓参り」
ああ、おもしろ。おもしろい設定。2人の時点で、もうおもしろい。笑いながら荻野の登場を待ってる間の幸せ時間。いいんじゃないですか。
●かが屋「電車」
リュックの背負い方ひとつで人柄を表現しちゃう手際の良さ。変な人と変な設定なのに、リアリティがあるので、この先、何が起こるんだろうという期待が止まりません。そして、しっかりその期待に応えてくれる実力。この2人には、ちょっと違うものが見えてる感じがします。
●伝書鳩「反抗期」
堂々としてんなー。1日目と比べると設定は弱いと思うけど、「反抗期」という概念の使い方が、やっぱりちょっと若者はこういう感じなんだ、と伝わってくるところも新鮮でうれしくなります。
●ラブレターズ「引きこもり」
うわぁ、いい導入。いろいろエスカレートしていく展開も気持ちいいですねー。2人ともうるせえし最高でした。途中、配信の都合でオチまで無音でしたが、これは間違いなくウケてたでしょー。
●そいつどいつ「魔物」
そいつどいつ、昨日今日のネタ見て、やっぱりちょっと変わろうとしてるんだろうなと思いました。特に竹馬のほうの「決勝行くだけじゃダメなんだ」という意志を感じるネタ。まだ爆発には至らなかったけど、どういう地平に着地するのかホントに楽しみ。
●や団「舞台演出家」
つっよ! 3人の役割分担が完璧すぎて、ため息がでちゃう。緊張感あるし、テンション高いし、小ネタも冴えてるし、いやー文句ないでしょう。おめでとうございます。
●シカゴ実業「ギャンブル狂」
うん、納得感のある設定ですし、いちいち全部笑えました。声もいい。でもこれも「もうひと展開」ですかね。
●滝音「ウソ発見器」
よくある設定ですが、ひとひねりが効いて新しいネタになってました。おもしろいこと考えるなーと思います。ワード担当を秋定に持ってきてサスケをブレさせない、ということは、配役と設定によってはサスケのワードが邪魔になることもあると理解した上での台本ということで、充実してきてるなーと感じます。
●隣人「チンパンジー」
2日続けてチンパンジー。壮大な未来を感じさせる設定もいいですが、1日目ほどバカバカしさに突き抜けてなかったような。チンパンジーが結局なんなんだ、どうなんだというところまでオチ切ってほしかったという。
●さすらいラビー「募金」
2日目も宇野女子。中田が宇野に惚れてて振り回されるという構図も同じ。中田が声を張り上げて動き回ってるだけで楽しいのがラビーの強みではありますが、ストーリーでなく宇野の心境の変化とか、そういうので展開したほうが盛り上がるかなと思いました。
●ニッポンの社長「手術」
また変なことやってる(笑)。1日目同様、やってることは理解できるけど、まったく意味が分からない。最高。
●蛙亭「別れ話」
1日目もそうですが、中野が十分に変なので自分は変じゃなくてもいいんだという、イワクラの覚悟というか、開き直りが見えて感動します。コンビのおもしろを中野に全部背負わせるわけで、演者としておいしくなくていいという決意なわけで。でも、こういうイワクラも、これはこれで魅力的なのがいいですね。
●連合稽古「お葬式」
1日目のネタを知ってる客がネタフリから笑ってしまう幸せな導入。やってることは2本とも同じですが、2本くらいじゃ到底飽きない独特の世界を描いてます。見てて何がおもしろいのか全然わからないですが、まあ全国のみなさんにも笑いと困惑を届けてくれますように。
●かたつむり「ドラマ撮影」
後半を映像に託すわりに、いまいち乗り切れなかった感じです。前半がネタフリに終始しすぎなのか。逆にネタフリなのにいろいろ詰め込み過ぎなのか。
●カゲヤマ「部長宛ての郵便」
1日目とはまた違う、それでもちゃんとニンに合った中年ネタ。こういう不条理もできるんですねカゲヤマって。めちゃくちゃいいネタ作ってきたと思うし、1本目とのコントラストが鮮やかすぎて、これも行ってほしいと思わずにいられません。
●都トム「施術」
ああ、これは面白い設定。展開に必然性がなさすぎて全然伝わってなかったですが、どうにでもなりそう。結成2年目のコント師が2年目らしい粗さを見せるのも、また『キングオブコント』のよさだと思います。えびしゃとか達者すぎて怖いんだよ。
●天才ピアニスト「ガールズバー」
ちゃんと天ピが実力を発揮して、ちゃんとウケて、それでも普通におもしろいだけじゃ決勝まで行けなそうな感じに見えるのが、今の『キングオブコント』なんですかね。という印象でした。厳しいなぁ。
●ジグザグジギー「市長」
うわー、やるなぁ。やるわ。覚悟決まってるわ。これに参加してるってことは松ちゃんに見せる前提でやってるということで、ジグザグジギーもいろいろあったけど、ここにたどり着いたかー。中田のあっちゃん見てるか、これが芸人のやり方です。
●シティホテル3号室「映画のオファー」
いいネタ。当たり前だけど、コントって演者に当て書きするものですよねと思い出しました。天ピもそうだけど、こうやって正しく作って正しく演じて、それがウケるだけじゃしんどいんでしょうねえ。今の賞レースはホントに大変だ。
●えびしゃ「タチバナさん」
はー、これは見たことないコント。すごいなぁ。トリオコントというジャンルをちゃんと進化させようという気概を感じます。「03待ってろ」くらいの気持ちでがんばってほしい。
●TCクラクション「山姥」
ぜんぜん笑えるんですが、古家の山姥が設定としてかわいいだけで、存在があんまりかわいくないのがもったいないかなーと。いや、ぜんぜん笑えるんですよ。なんかこの準決勝の厳しさに嫌気がさしてきました。全員合格でいいよ、もう。
●男性ブランコ「引っ越しの挨拶」
1日目のネタが好きすぎるんで、決勝行ってほしいという願望ばかりが先走り。もっと、もっとだと思いながら見てしまいました。こういう見方はよくないですね。ごめんなさい。
●ななまがり「赤ちゃん」
やっぱり、ななまがりはこっちですねー。ホントいろいろ余計なことしないでこれだけやってればいいと思います。いやー、笑いました。笑ったわ。なんなんだよ。
●サルゴリラ「マジシャン」
ここにきてサルゴリラが、意外と発想勝負のネタを持ってくるんか。芝居のテンポとかさすがですし気楽に笑えて楽しいんですが、ホント最近の賞レースは(以下略)。
●ジャングルポケット「部長」
1日目は毛色の違うニュータイプでしたが、2日目は安定のジャングルポケット、安定の太田という感じ。もう一度「03待ってろ」という気持ちで悔しがってほしい。いや、当落線上だと思うけど。
* * *
というわけで、2日目の配信分でした。とにもかくにも準決勝が終わりまして、決勝進出者の発表を待つのみ!
『キングオブコント』準決勝が日本で一番面白いお笑いライブだと言われますが、緊張感あるしたくさん笑えるしで、もう、疲れますね。芸人のみなさん、ありがとうございました!
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