スタジオ・ジブリ日テレの子会社化による財政の透明化と今後の展望
#日本テレビ #スタジオ・ジブリ
宮﨑駿監督作品のアニメ映画『となりのトトロ』(1998年)、『千と千尋の神隠し』(2001年)、公開中の『君たちはどう生きるか』などで知られるアニメ制作会社『スタジオジブリ』が21日、都内の同社で会見を開き、日本テレビが同社の株式を取得し、ジブリが日テレの子会社になることが発表されたことを、各メディアが報じた。
既報によると、この日に行われた両社の取締役会で決定。ジブリの鈴木敏夫代表取締役社長は「宮﨑駿は82歳、僕は75歳、長らく悩んできたのが後継者問題でした」と切り出し、創業者である宮﨑氏の長男である宮崎吾朗氏が何度か候補に挙がっていたが固辞されてきた経緯があったことを説明。宮﨑氏も吾朗氏が同社を継ぐことを反対したという。
日テレは1985年に『風の谷のナウシカ』(84年公開)をテレビ初放映して以来、映画番組『金曜ロードショー』を通じてスタジオジブリ作品を放送し続けたことなどから、日テレの子会社化を両社の取締役会が了承。
子会社化に伴い、宮﨑監督が取締役名誉会長、鈴木敏夫プロデューサーが代表取締役議長、日テレの取締役専務執行役員の福田博之氏が代表取締役社長にそれぞれ就任。
ジブリといえば、宮﨑監督による長編作品では2013年公開の『風立ちぬ』以来10年ぶりとなった『君たちはどう生きるか』では、事前のPR活動がなく、声優陣や主題歌などは公開後に情報解禁というジブリ史上前例のない戦略に出た。
今月18日までに累計動員546万人、興収81億6000万円(興行通信社調べ)を突破。鈴木氏は会見で「ちゃんと採算とれました」と無事、製作費が回収される見込みであることを明かした。
「宮﨑氏は次回作製作に意欲をみなぎらせているようだが、『君たちはどう生きるか』は “思ったほどの……”といった数字だったようだ。ここ数年『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『SLAM DUNK』などジブリ以外のアニメの劇場版がことごとくヒットを記録。宮﨑氏は新たなヒット作を世に送り出すには、経営を気にせずに製作に専念する必要をヒシヒシと感じ、会社が生き残るためのほぼ一択として日テレにジブリの未来を託すことを決めたのだろう」(映画業界関係者)
もともと、ジブリ社外であった日テレの人間が幹部となることで、財政も透明化されることになるが、ジブリ、そして鈴木氏にとっては朗報なのだろうか。
「鈴木氏といえば、今春、長年にわたり私的な関係のタイ人女性に対し、〝ジブリマネー〟を流用して援助している疑惑が報じられた。本人は否定しているが、そうした疑惑が出ることすら、親会社が日本テレビになったことで看過されづらい環境になるだろう。とはいえ、鈴木氏は『代表取締役議長』という聞き慣れない肩書き。『代表取締役社長』の福田氏とどちらが上のポジションかが気になるところ」(同)
いずれにせよ、日テレのジブリ子会社化により、宮﨑監督が次回作の製作に専念できる環境が整ったようだ。
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